2015年6月14日(日)


2015年6月13日(土)日本経済新聞
カプコン、買収防衛可決 外国人の賛成増える
(記事)



第36期 定時株主総会
日時 2015年6月12日(金曜日) 午前10時

2015年定時株主総会招集通知 インターネット開示事項
ttp://www.capcom.co.jp/ir/stock/pdf/2015capcom_d.pdf

2015年定時株主総会招集通知
ttp://www.capcom.co.jp/ir/stock/pdf/2015capcom_a.pdf

 

 


【コメント】
It's exactly a shareholder himself who sells his shares to a potential hostile acquisition-maker, though.
Conceptually speaking, approval of this proposal is equal to
the fact that the majority of shareholders don't sell their shares to a potential hostile acquisition-maker,
and disapproval of this proposal is equal to
the fact that the majority of shareholders sell their shares to a potential hostile acquisition-maker.

将来の敵対的買収者に株式を売るのは、まさに株主自身なのですが。
概念的に言えば、この議案が可決されることは過半数の株主は将来の敵対的買収者に株式を売却しないということと同じであり、
この議案が否決されることは過半数の株主は将来の敵対的買収者に株式を売却するということと同じだ、ということになります。

 

 


2015年6月13日(土)日本経済新聞
ケネオフィス 分配金1303円増 前期1万1363円
(記事)





【コメント】
ケネディクス・オフィス投資法人のサイトには、次のようなプレスリリースがありました↓。


2015年4月27日
ケネディクス・オフィス投資法人
資金の借入れ(シリーズ119)及び金利スワップ契約締結に関するお知らせ
ttp://www.kdx-reit.com/cms/whats/20150427_1529585X6R.pdf


詳しくはインターネット上の解説記事を読んで欲しいのですが、
金利スワップを行うと、A社の借入金(変動金利)の金利支払いをB社が行い、B社の借入金(固定金利)の金利支払いをA社が行う、
ということになります。
さて、2015年6月12日(金) のコメントで、「条件というのは全てその元本に帰属しているのです。」と書いたかと思います。

2015年6月12日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201506/20150612.html

この元本と取引条件の一体性に照らして考えてみると、「金利スワップ」はどのように考えたらよいでしょうか。
「金利スワップ」契約を締結すると、会社の金利の支払い条件が変わるわけですから、元本と取引条件の一体性には反すると言えるでしょう。
ただ、この「金利スワップ」を取引の相手方(資金の貸し手)から見るとどう見えるでしょうか。
「金利スワップ」契約を締結したことにより、A社は確かに固定金利から変動金利へと金利の支払い条件が変わったわけですが、
A社に資金を貸し付けている資金の貸し手から見ると、
資金の貸し手は以前と同じ様にA社から当初の変動金利を受け取っている、という状況ではないでしょうか。
つまり、A社に資金を貸し付けている資金の貸し手から見ると、A社に対する貸し付け条件は全く変わっていないわけです。
この「金利スワップ」契約は、あくまである借入人A社と別のある借入人B社との間の一種の寄附のやり取りに関する契約に過ぎず、
A社に対する貸付人やB社に対する貸付人には何らの影響も与えないものであるわけです(各貸付人の貸付条件には中立な契約)。
その意味では、「金利スワップ」契約を締結しても、元本(借入金)が変わった、という見方は間違いなのかもしれません。
A社、B社がそれぞれ負っている債務の条件そのものには何らの変動も生じていません。
元本から発生する金利自体は全く同じであるわけです。
それぞれが負っている債務の条件について、各人にとって有利だと判断できる契約を、貸付人とは別の人物と締結しただけであるわけです。
取引の対称性や取引の相手方という観点から見れば、「金利スワップ」契約の締結は、借入条件の変更とはやはり根本的に異なる、
という見方になると思います(2015年6月12日(金)の論点に照らしても、借入金に関する仕訳は必要ない)。

 

 


2015年6月13日(土)日本経済新聞
株主総会 2015
トヨタの新型株、何が焦点? 経営チェック、疑問の声も
(記事)


 

2015年6月13日(土)日本経済新聞 大機小機
種類株と経営者の覚悟
(記事)

 


【コメント】
That a company issues another kind of share means that a company and common shareholders create another decision-maker.
In short, there exist two decision-makers in a single company.
All the common shareholders are in the same conference,
but common shareholders and another class shareholdes are not in the same conference.

会社が別の種類の株式を発行するということは、会社や普通株主は別の意思決定者を作り出す、ということです。
簡単に言えば、1つの会社に2人の意思決定者がいる、ということです。
全ての普通株主は皆同じ土俵にいますが、普通株主と別の種類の株式の株主とは同じ土俵にはいないのです。

 

 


2015年6月13日(土)日本経済新聞
宝飾品のTASAKI ファンドから株買い戻し まず100億円、なお大量に残る 安定株主確保が課題
(記事)



2015年6月13日(土)日本経済新聞
多様化する株主還元策 配当性向引き上げやDOE採用など 成長戦略に合わせ変更
(記事)


 



【コメント】
記事には、筆頭株主のファンドが、優先株1株を普通株4株に転換する権利を行使することに関して、
ファンドの優先株式への出資額は70億円だったのだが、
普通株式へ転換すると現在400億円以上(2015年6月12日終値換算)の価値を持つことになった、
と書かれています。
これは端的に言えば、優先株式の簿価と普通株式の時価との間に大きな差が生じているからであり、
ファンドが所有している優先株式にはいわゆる含み益が多額に発生しているからだ、と説明付けることはできると思います。
それはそれは確かに意味は分からなくはありません。
しかし、「転換したら価額が大きくなる」という点については、どう考えたらよいでしょうか。
では、ここで質問です。
TASAKIがファンドから、優先株式のまま株式を買い取るとしたら、一体いくらで買い取るべきでしょうか。
普通株式の時価とやらの400億円で買い取るべきでしょうか。
それとも、優先株式の簿価である70億円で買い取るべきでしょうか。
それとも、何か任意の価格で買い取るべきでしょうか。
答えはないのではないでしょうか。
仮に、優先株式の簿価である70億円で買い取ることを考えても、
今現在のその優先株式の公正な価額が70億円であるという保証はどこにもないのではないでしょうか。
仮にTASAKIが倒産寸前であったとしたら、その優先株式にはとても70億円の価額は付かないはずです。
端的に言えば、優先株式の今現在の価額を計るのに、普通株式の時価は使えないのです。
優先株式の過去の時価、すなわち、払い込んだ時の優先株式の価額、すなわち、優先株式の簿価、ですら、
優先株式の今現在の価額を計るのには使えないのでしょう。
敢えて言うなら、TASAKIがファンドから優先株式を買い取った買取価格、それが優先株式の今現在の時価なのではないでしょうか。

 



以上の考え方は、実は例えばいわゆる借入金についても当てはまるのではないかと思います。
100円借りたから100円返せばいい、というのは、実は「価額」という観点から見ると、間違いなのかもしれません。
なぜなら、今現在の100円と将来の100円とは、表面上の金額(帳簿価額)こそ同じであるものの、
実際には違う価値を持つものだ、と言えるように思うからです。
いわゆるコーポレート・ファイナンスの分野で、「現在価値」という考え方をします。
今現在の100円と将来の100円は違う、金利の分、今現在の100円は将来100円以上の価値を持つ、という考え方(議論の前提)をするわけです。
この考え方を応用するような形で考えてみると、いわゆるインフレやデフレを考えてみますと、
今後インフレが起こるにせよデフレが起こるにせよ、とにかく今現在の100円と将来の100円は違う、
という考え方に行き着くように思います。
もし今後インフレが起こるようであれば、今現在の100円よりも将来の100円は低い価値しか持たないでしょう。
逆に、もし今後デフレが起こるようであれば、今現在の100円よりも将来の100円は高い価値を持つと言えるでしょう。
今後インフレが起こるかデフレが起こるか、誰にも分からないわけです。
分からないから、100円借りたら将来いくら返せばいいか分からないのではないでしょうか。
いわゆる「貸借型の契約」というのは、「借りたものをそのまま返す」という契約であろうと思います。
同じものを返さないといけないわけです。
では、金銭の場合はどうでしょうか。
100円借りたから100円返せばいい、という考え方でよいでしょうか。
今現在の100円と将来の100円は、元本の金額(表面上の帳簿価額)が同じなだけではないでしょうか。
究極的なことを言えば、どんなものでも、「将来において、今現在と同じものは返せない。」ということではないでしょうか。
明治三十一年民法に、そして、明治三十二年所得税法に、金銭消費貸借契約が定義されていなかった理由は、
法理面では「債務不履行が発生した場合の説明が法理上は付けられない。」という理由の他に、
価額面においては「同じものを返したと言えない。」という理由が挙げられるように思います。
明治三十一年民法や明治三十二年所得税法ではインフレを前提としていたというわけではなく、
デフレも含め、「ものの価額が将来どうなるのかは誰にも分からない。」ということを前提としていた、と言えるのだと思います。
明治期の先人達は、同じ金額だったらいい、とは考えていなかったのでしょう。
人間に分かるのは、今現在の価額だけです。
そして、それは今現在の取引によって決まるのです。
他の何かから今現在の価額が決まるわけではないのです。
将来の価額は、誰にも分からないのです。

 


The value of a preferred share is determined by cash itself, not by the value of a common share.

優先株式の価額は現金のみによって決まります。優先株式の価額は普通株式の価額から決まるわけではないのです。

 


Ultimately speaking, what you call a "value" is a value at present.
A value in the past nor a value in the future don't exist.
In other words, what you call a "value" is an amount at present.
An amount in the past is not a value and an amount in the future is also not a value.
The reason for it is that you value a thing exactly at present, I suppose.
A value in the past is different from a value at present.
And you can't value a thing in the future.
"To value something" can be made only at present.

究極的なことを言えば、いわゆる「価額」というのは、今現在の価額のことなのです。
過去の価額もなければ、将来の価額というのもないのです。
他の言い方をすると、いわゆる「価額」というのは、今現在の金額のことなのです。
過去の金額は価額ではありませんし、また、将来の金額も価額ではないのです。
その理由は、まさに今ものに価額を付けるからなのだと思います。
過去の価額は今の価額とは異なるものです。
そして、将来のものに価額を付けることはできません。
「価額を付けること」は、今現在にしかできないのです。