2015年4月20日(月)
第一三共 印社株売却へ 全株なら最大4000億円超す
第一三共は20日、保有するインド製薬大手サン・ファーマシューティカル・インダストリーズの株式を売却すると発表した。
全株を売却する可能性があり、売却額は最大4000億円超となる計算だ。
業績への影響は5月14日に予定する2015年3月期の決算発表で公表するとしている。
第一三共は3月、インド子会社だったランバクシー・ラボラトリーズとサン・ファーマの合併完了に伴い、
サン・ファーマ株の約9%を保有する株主となった。
サン・ファーマとの事業提携は今後も継続するという。
(日本経済新聞 2015/4/20
23:11)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASGD20H9H_Q5A420C1DTA000/
第一三共、印サン・ファーマ株式の売却を決議
[東京 20日 ロイター] -
第一三共は20日、インドの製薬大手サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズの
保有株式の一部あるいはすべてを売却することを決議した。
第一三共は今年3月、子会社の印ランバクシー・ラボラトリーズをサン・ファーマが吸収合併したことに伴い、
サン・ファーマ株式の約9%を取得していた。
第一三共は、株式売却後もサン・ファーマとの事業提携は継続していくとしている。
(ロイター 2015年
04月 20日 22:49
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NB1IT20150420
2015年4月20日
第一三共株式会社
当社所有株式の売却に関するお知らせ
ttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006274.html
(第一三共株式会社についての過去のコメント)
2015年3月26日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201503/20150326.html
それで、サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却方法についてですが、プレスリリースには、
>4.売却方法
>インドの取引所内取引による売却を予定しております。
と書かれています。
「取引所内取引による売却」とのことですが、約9%もの株式を売却を進めていくとなりますと、
株式を売却している最中に株価はどんどん下落していくと思います。
現在の株価がどうであれ、サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式を市場内で一体いくらで売却していけるのかは
全く分からないというのが実態でしょう。
サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却が業績に与える影響についてですが、プレスリリースには、
>5.業績に与える影響
>本売却により発生する売却損益等、業績に与える影響につきましては、2015年3月期決算発表時に改めてお知らせいたします。
と書かれています。
「2015年3月期決算発表時に改めてお知らせいたします。」の意味はよく分かりませんが、
サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却は、
少なくとも2015年3月期の決算には全く影響を与えないことだけは確かです。
なぜなら、2015年3月期の決算期末日は既に過ぎているからです。
サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却の影響は全て、2016年3月期の決算に反映されることになります。
2015年3月期決算発表は、2015年5月14日に予定されているようですが、
第一三共株式会社が2015年5月14日までにサン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式を売却し終わっていれば、
このたびの株式売却損益の金額はその時に明らかになる、ということになると思います。
本日2015年4月20日に第一三共株式会社から発表された「当社所有株式の売却に関するお知らせ」は、
「2015年3月期の決算」にとっては、当期の決算内容には全く影響を与えないいわゆる「後発事象」ということになります。
「後発事象」は英語で、「subsequent
event」と言いますが、他の言い方として、
「after-balance-date event」、「event occurring after
balance sheet date」、「post-balance-date event」、と言います。
この場面での「balance sheet
date(balance
date)」は、「2015年3月31日」です。
「2015年3月期の決算」にとって、サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却は、後発事象なのです。
それから、売却価額がいくらが望ましいかはともかく(両者で適切な価額を決めるしかないと思いますが)として、
第一三共株式会社にとっても親会社にとっても(サン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズの経営や事業運営のためにも)、
第一三共株式会社が所有しているサン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式は親会社が買い取るべきだと思います。
第一三共株式会社が株式市場でサン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ株式の売却を進めていっても、
親会社の所有議決権割合が減少するなどと言うことはもちろんありませんが、
親会社としては、経営戦略上「子会社の意思決定機関を支配し続ける」というのは長期的な目的としてあるでしょうから、
主要株主が所有株式を一度に一定規模以上売却するということであれば、親会社が買うという方が望ましいのではないかと思います。
>3.売却前の所有株式数の状況
>売却前の所有株式数 214,969,058株(2015年4月16日現在)
したがって、これらの数値を使って、これらの数値で株式を売却できると想定すると、第一三共株式会社の株式売却価額は、
1,043.80ルピー/株×214,969,058株×1.89円/ルピー=424,087,088,179円≒4,240億8,709万円≒4,241億円
ということになります。
2015年3月期決算発表が予定されている2015年5月14日に、第一三共株式会社が何と言うかは分かりませんし、
以下の仕訳@〜Bの中でどの仕訳が一番真実を表していると感じるかは人それぞれかもしれませんが、
以上の想定の下、株式売却に関する第一三共株式会社の仕訳を書けば以下のようになります。
2015年3月26日(木)
のコメントも参照しながら見ていただければと思います。
@合併期日である2015年3月24日に、交換差益を認識していた場合の仕訳
(現金) 4,241億円 / (サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式) 4,247億円
(株式売却損) 6億円
A合併期日である2015年3月24日に、交換差益を認識していなかった場合の仕訳
(現金) 4,241億円 / (サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式) 859億円
(株式売却益) 3,382億円
B税務上の仕訳
(現金) 4,241億円 / (サン・ファーマシューティカル・インダストリーズLtd.株式(旧ランバクシー株式))4,883億円
(株式譲渡損) 642億円