2015年3月28日(土)



2015年3月28日(土)日本経済新聞 大機小機
なぜ監査等委員会設置会社か
(記事)





【コメント】
記事には、

>指名委員会等設置会社ではなく、監査等委員会設置会社を選択したのはなぜかという質問に答える必要がある

と書かれています。
しかし、この文はおかしいと思います。
会社がある機関形態を選択したのは、株主が決めたからに決まっているからです。
会社がある機関形態を選択したことについて周りから質問をされねばならないのだとしたら、
例えば取締役達は「あなたはなぜ取締役に就任しているのですか?」という質問にも答える必要があるということになってしまうでしょう。
仮に、周りの誰かが会社に対して質問をしたいと思ったら、会社にではなく株主に質問をしなければならない、
というのが法理上の答えなのかもしれません。

 


The reason why a company acted certain conduct is that shareholders made a decision to do so.

会社がある行為を行った理由は、株主がそうすることを意思決定したからです。

 


2015年3月28日(土)日本経済新聞
株式分割銘柄 個人買い膨らむ OLC、売買代金2倍超
(記事)


2015年3月26日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201503/20150326.html

 


【コメント】
株式分割の意味については、2015年3月26日(木) に書きました。
2015年3月26日(木) に書いた内容が正しいとすると、株式分割を実施しても株式の需給関係には影響は一切ない、
ということになります。
つまり、株式分割を実施しても株価に影響は全くない、ということになります。
売買代金の方はどうでしょうか。
既存株主は所有している株式を小口に分割して売却できるわけですから、売買代金は株式分割の結果小さくなる、
という見方もできるかもしれません。
株式数や単元数から考えると、売買代金は株式分割の結果小さくなるのかもしれません。
議決権割合から考えると、すなわち、例えば1%だけ株式を買いたい、という買い手の投資方針から考えると、
売買代金は株式分割を実施しても全く変化はないのかもしれません。
なぜなら、株式時価総額の1%の金額は、株式分割を実施しても実施しなくても、全く同じだからです。

 


2015年3月28日(土)日本経済新聞
第43期決算公告
株式会社スペース
(記事)




2015年3月10日
株式会社スペース
第43期 定時株主総会招集ご通知
ttp://www.space-tokyo.co.jp/wp/wp-content/uploads/re15_0310.pdf

表紙
(2/39ページ)

 



【コメント】
マスコミなどでは、ファンドと経営陣が株主総会の前日まで委任状争奪戦を繰り広げている、といった報道がなされることがあります。
委任状争奪戦は様々な見方ができると思います。
会社は基準日を定めて株主総会で議決権を行使できる株主を予め確定させねばなりません。
その基準日とは、定時株主総会の場合は当期の貸借対照表日すなわち当期の決算期末日であるわけです。
当期の決算期末日の株主、というだけで、どの株主が株主総会で議決権を行使できるのかが簡単に決まるわけです。
また逆に、どの株主が株主総会で議決権を行使できるのかは一意に明確に決まらなければならないわけです。
ここで、基準日以降の委任状争奪戦、ということを考えてみましょう。
通常、委任状争奪戦というと、株主総会の直前まで行われることが多いため、
委任状争奪戦というと、むしろ基準日以降の話なのではないか、と思われると思います。
また、基準日以前であれば、買収者自身が株式を取得していけば、買収者自身が議決権者になれるため、
委任状などはじめからいらない、ということになるでしょう。
しかし、委任状争奪戦は基準日以降の話だ、とすると、ある法理上の矛盾が生じるでしょう。
すなわち、株主総会で議決権を行使できる株主は基準日の時点で決まっているはずだ、という法理上の矛盾です。
では逆に、基準日以前の委任状争奪戦、ということを考えてみるとどうでしょうか。
買収者が株式を買いもせずに、既存株主に対し「私の希望に沿う議決権を株主総会で行使してくれませんか?」と依頼をする、
という場面を想定してみると、そのおかしさに気付くのではないでしょうか。
そんな依頼をしようものなら、株主は買収者に対し、「買ったらどうだ。」、と忠告することでしょう。
基準日以前の委任状争奪戦、というのも、やはり法理的にはおかしな点があると思います。
基準日以降の委任状争奪戦は法理的にはおかしく、また、基準日以前の委任状争奪戦も法理的にはおかしい、ということになるでしょう。

 


本来は、議決権というのは、株式の所有者に専属するもです。
株式の議決権と株式の所有権とは、本来一体不可分であるわけです。
他の言い方をすれば、議決権は所有権に付随しているわけです。
議決権を他の誰かが行使する、というのは、法理的には所有権の一部が他の者に帰属している、と言っているようなものです。
所有権というのは、ある特定の1人の者だけに専ら帰属している権利であるわけです。
所有権という権利に”他の者にも一部帰属している”というような考え方はないでしょう。
「定時株主総会招集通知」にも書いてありますように、上場企業の議決権の行使は、
@株主本人が会場へ赴く、A所定の議決権行使書用紙に意思表示し会社に郵送する、の2つの方法があります。
仮に、議決権の行使に関して「他の誰かに代理をお願いする」(委任をする)、という場面があるのだとすれば、
「議決権行使書用紙が入っているこの封筒を私の代わりに郵便ポストに投函してきて下さい。」
と他の人に代理をお願いするという場面のみでしょう。
どのように考えても、株式を所有していない人物が、
既存株主に対し「私の希望に沿う議決権を株主総会で行使してくれませんか?」と依頼をする、
などという”委任”などはないわけです。
それに、株式会社では、臨時株主総会はいつでも招集できます。
開催間隔の制限や年に何回までなどといった制限もありません。
買収者が会社に対し本当に自分の意思を通していきたいのなら、たとえ基準日は過ぎていようとも、株式を粛々と買い進めていき、
目標とする株式数の取得が完了すると同時に、臨時株主総会を招集すればよいだけの話であるわけです。
株式をお金を出して買うことはせずに、議決権だけは自分達の希望に沿うような行使を株主にお願いする、というのは、
虫がいいと言いますか、もっと言えば、株式会社の原理にそのような考え方は全くない、と言っていいと思います。

 


A proxy is written by a truster to a trustee, not by a trustee to a truster.

委任状は委任者が受任者に対して書くものです。受任者が委任者に対して書くものではありません。

 


A justice slogan by an imaginary authority: "A proxy not by a fight but by a buy."
A proxy fight should not be done.
An investor should buy the shares and then elect the management (directors) at the meeting.

想像上の当局からの裁きのスローガン:「争奪戦による委任状ではなく、株式取得による経営委任。」
委任状争奪戦はするべきではありません。
出資者は会社の株式を買い、そして株主総会で経営陣(取締役)を選任するべきなのです。