2015年1月28日(水)
2015年1月28日(水)日本経済新聞
クボタ、12月決算に変更
(記事)
2015年1月27日
株式会社クボタ
決算期(事業年度の末日)の変更に関するお知らせ
ttp://www.kubota.co.jp/new/2015/15-07j.html
「決算期の変更」に書いた過去のコメント↓
2015年1月24日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201501/20150124.html
(関連記事)
2015年1月27日(火)日本経済新聞
日立、IFRS任意適用
(記事)
2015年1月26日
株式会社日立製作所
国際財務報告基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ
ttp://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2015/01/f_0126.pdf
【コメント】
海外子会社の決算期に親会社の決算期を合わせることにより、内外一体となった決算・管理体制の強化・効率化を図ることを目的に、
株式会社クボタが「決算期の変更」を行うようです。
法人税法上、決算期の変更は簡単にできるようです。
定款を変更(登記する必要はないようです)して、税務署・都道府県税事務所・市区町村税務課に、「異動の届出」と、
定款のコピーもしくは定款変更の議事録を提出するだけで、決算期の変更の手続きは完了するようです(これだけなら費用はかかりません)。
そして、株式会社クボタでは、決算期変更の経過期間ということで、
当事業年度(2014年4月1日から2015年3月31日)の次の事業年度は2015年4月1日から2015年12月31日までの「9ヶ月決算」となる予定です。
この理由は、端的に言えば「1年を超える決算期の変更はできない」からであるわけですが、
もう少し正確に言えば、法人税法上「1年を超える決算期の変更はできない」からだ、と言わねばならないと思います。
つまり、会社法上は「1年を超える決算期の変更はできる」ようなのです。
他の言い方をすれば、会社法上は、株式会社は1事業年度を1年を超える期間、例えば「1事業年度を2年間」と定めることもできるようです。
同様に、会社法上は、株式会社は1事業年度を1年未満の期間、例えば「1事業年度を6ヶ月間」と定めることもできるようです。
会社法上は、株式会社は1事業年度の長さを全く任意に定めることができるようです。
会社法では、定時株主総会は毎事業年度終了後、一定の時期に招集しなければならない(296条1項)と定められています。
ここだけ読むと、定時株主総会を招集する関係上、株式会社の1事業年度は1年間という意味であると決まるのではないか、
と思ってしまいますが、定時株主総会は1年に1回開催しなければならないとは会社法では定められていないわけです。
例えば1事業年度が2年間ならば、定時株主総会は2年に1回開催すれば会社法上は何ら問題ない、ということになるわけです。
極端に言えば、1事業年度を10年間と定めることも会社法上は可能なのだと思います。
そして、定時株主総会は10年に1回開催すれば事足りる(会社法違反ではない)、ということになるわけです。
しかし、会社法の原則規定では、例えば取締役の任期は2年間と定められていますので、
取締役の選任決議を取る関係上、1事業年度は2年間が最長、といった考え方になるのだと思います。
ただ、取締役を選任するための株主総会決議は、会社法上は臨時株主総会で取ってもよい、ということだと思いますので、
そういったことを考えますと、極端に言えば、1事業年度は100年間でも200年間でもよい、ということになると思います。
この場合、定時株主総会は全く招集しない(必要な時(取締役の選任等)のみ臨時株主総会を適宜招集する)、ということになると思います。
また、いわゆる計算書類(財務諸表)は、会社法上は各事業年度(1事業年度)毎に作成しなければならないわけですが、
1事業年度を100年間と定めた場合は、その株式会社は計算書類(財務諸表)を普段は(=100年に1回しか)作成しない、ということになります。
会社法の条文を解釈すると、以上のような定め・解釈になります。
さて、以上のように書きはしましたが、
現実には(実務上は)、株式会社は1事業年度を6ヵ月間と定めたり2年間と定めたり100年間と定めたりはできません。
株式会社は、「1事業年度は1年間」としか定められません。
その理由は、会社法の定めからではありません。
法人税法の定めからです。
最初の方で、決算期の変更の手続きは、定款変更の後税務当局に「異動の届出」を提出するだけだ、と書きましたが、
これは他の言い方をすれば、
法人税法は株式会社の決算期に関して会社法(に従い株式会社が定款で定めた決算期)を参照している、
ということになります。
法人税法により、特段に株式会社の決算期を定めているわけではないわけです。
「会社法上の決算期、それが法人税法上の決算期です。」、と法人税法は言っているわけです。
ここで、法人税法は、「1年間を1区切りとして法人に課税を行う」と定めているわけです。
そうしますと、法人税法の課税期間はあくまで1年間である以上、
株式会社の1事業年度も1年間と定めないと、会社法と法人税法の整合性が取れないわけです。
つまり、法人税法の制約を受ける形で、株式会社の1事業年度は1年間であると一意に決まるわけです。
他の言い方をすれば、株式会社の1事業年度の長さは、法人税法の縛りを受けるわけです。
2015年1月24日(土)
のコメントで、「会社の剰余金の金額は、年に1回しか確定しない」と書きましたが、
「法人税の金額はどのようにして確定するのか?」を考えれば、
「株式会社の決算(計算書類・財務諸表)は、1年に1回しか確定しない。」ということになります。
これも法人税法が理由になります。
また逆に、法人税法が理由により「株式会社の1事業年度は1年間である」と一意に決まるのに加え、
会社法上は「1事業年度毎に計算書類を作成しなければならない」と定められているわけですから、
「株式会社の決算(計算書類・財務諸表)は、1年に1回確定しなければならない。」と一意に決まる、
と会社法と法人税法から言えるのだと思います。
株式会社は、1事業年度の長さだけではなく、計算書類の作成に関しても法人税法の縛りを受ける、ということになると思います。
いわゆる四半期決算(四半期財務諸表)というのは、
会社法上定義される事業年度とは異なる会計期間に区切っているという意味でも、どこか擬似的・仮想的な決算(財務諸表)に過ぎませんし、
法人税法上確定した法人税額とは異なる法人税額を計上しているという意味でも、やはり擬似的・仮想的な決算(財務諸表)に過ぎません。
法律的に確定した計算書類というのは、会社法上も法人税法上も1年に1回しか作成できないものである、ということになります。
会社法そして法人税法の観点から、「決算期の変更」という点に関連してもう一言書きます。
税務理論上は、実は、会社法上も法人税法上も、「株式会社の決算期は12月期である。」と定める、という考え方もあると思います。
会社法上、「株式会社の事業年度は毎年1月1日から12月31日までとする」と定款で定めるということ自体をせず、
法人税法上も、株式会社(法人)は税務当局に「決算期についての届出」を提出する必要も全くない、
という考え方になります。
決算期を株式会社(法人)で個別に定める必要があるのか、という考え方が理論的背景になります。
決算期は12月期で統一する、会社法上も法人税法上もそれで済むのではないでしょうか。
決算期は12月期で統一することにすれば、会社法上も法人税法上も期間損益の公平性・客観性・透明性はさらに増すことになるでしょう。
今日のコメントの一番最初に、株式会社日立製作所が国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するという内容の
記事とプレスリリースを紹介しました。
IFRSの適用に際し、業績の比較可能性を高めるためだ、という理由があります。
しかし、業績の比較可能性を高めることや恣意性をなくすことや変則的な会計期間(9ヶ月間など)の発生を避けることを考えれば、
はじめから全ての株式会社(法人)の決算期は12月期で統一すればそれで済んだ話でしょう。
会社法上、株式会社は決算期を任意に定めてよい、と定めていることが、ちぐはぐのはじまりだったのではないでしょうか。
会社法上、株式会社は決算期を任意に定めてよいことになっていますから、
法人税法が会社法を参照する(会社法上の決算期を法人税法上の決算期とする)、という手間が生じているのだと思います。
仮に、法人税法は会社法を参照しないとして、会社法上は3月期決算、法人税法上は一意に12月期決算だとしますと、
3月では法人税額が確定しないということになりますから、株式会社は計算書類を作成できないことになります。
現代では、決算期に関しては法人税法が会社法に合わせていると同時に、
計算書類の作成に関しては会社法は法人税法の制約を受ける、という形になります。
株式会社(法人)が決算期を任意に定めてよいことを所与のこととしますと、
法人税法の方が会社法に合わせる、ということになるわけです。
要するに、会社法上の決算期と法人税法上の決算期は同じでなければ、株式会社は計算書類を作成できない、
という点を強調したいと思います。
この点は、2015年1月24日(土)
のコメントで「会社の剰余金の金額は、年に1回しか確定しない」と書いたことと本質的には同じです。
明治三十二年商法では、決算期という考え方自体がなかったと思います。
明治三十二年商法における株式会社制度では、現代で言う”株式会社の決算期”は当然に12月期と決まっていたと思います。
明治三十二年当時、商法上株式会社が決算期を定めるということ自体がなかったわけです。
また、明治三十二年商法における株式会社制度では、
株式会社の利益=出資者の利益(株式会社の利益ははじめから直接に出資者に帰属していた)であったわけですが、
当時の所得税法上も、恣意的・意図的な出資者の課税所得額の変更・変動を避けるため、
現代で言う”株式会社の決算期”は12月期以外認めない、
という所得の捕捉の仕方を行っていたと思います(つまり、所得税法は商法を参照するまでもないということになります)。
明治三十二年商法における株式会社制度では、株式会社は当然に12月に決算を行わなければならなかったのです。
この理由は、当時の商法というよりやはり所得税法が理由(出資者に対する公平性・客観性・透明性ある課税が理由)になります。
明治三十二年商法と当時の所得税法はきれいに整合性が取れていたわけです。
現代(現行)の所得税法では、自然人及び個人事業主の言わば”決算期”は12月期と当然に決まっているようです。
自然人が行う商行為の”決算期”は12月期が自然であるのならば、
株式会社(法人)が行う商行為の「決算期」も12月期が自然であると思います。
本来は(税務理論上は)、自然人も個人事業主も株式会社(法人)も、つまり、所得税法上も法人税法上も、
確定申告は、「毎年1月4日から1月31日まで」に行うこととするべきでしょう。
現代では、「e-Tax」(国税電子申告)という納税システムがあるようです。
「e-Tax」(国税電子申告)の利用可能時間は、「毎年1月1日0時0分から1月31日24時0分まで(24時間受付)」とするべきでしょう。
確定申告まで電子化とは、時代は進化したものです。
反比例するかのように、頭の中(理論理解)は退化していなければいいがな、と思っています。
国だけではなく、国民の方もだ、と言いたいと思います。
「納税」の「納」は、「おさめる」という意味です。
しかし、「納」には「受け入れる」(「納得」の「納」)という意味もあります。
同じ義務なら、「へえ、そういう理屈があって課税されているのか。ああ、なるほどね。」と言って納得できた方がいいと思います。