[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

2014年12月24日(水)



今日はまず最初に2014年12月22日(月) のコメントの訂正をしたいと思います。
そしてその後、「減価償却手続き」とは何か、についてコメントしたいと思います。
2014年12月22日(月) のコメントに間違いがありました。


2014年12月22日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201412/20141222.html


2014年12月22日(月) のコメントでは、

>会社計算規則にも、減価償却手続きは行われなければならないとは書かれていないようです。

と書きましたが、これは間違っています。
結論だけ先に書けば、正しくは、

「会社計算規則には、減価償却手続きを行われなければならないと定められている。」

となります。
会社計算規則には、減価償却手続きについて以下のように定められています。


会社計算規則
第二編 会計帳簿 第二章 資産及び負債 第一節 資産及び負債の評価 第一款 通則

(資産の評価)
第五条 第二項
>償却すべき資産については、
>事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この編において同じ。)において、
>相当の償却をしなければならない。

 


”減価償却”という文言ではないのですが、
しかし、この「第五条 第二項」においては、会計帳簿における資産及び負債の評価についての定めであることを踏まえれば、
”償却すべき資産”とは固定資産のことを指し、
”相当の償却をしなければならない”とはいわゆる減価償却を行わなければならないということを指す、
というのは、当然のことであろうと思います。
したがって、正確には「会社計算規則には減価償却手続きを行われなければならない」と定められています。
訂正しお詫びしたいと思います。
間違えてしまった理由を一言だけ書きますと、「会社計算規則」全文を”減価償却”というキーワードで検索したところ、
20件ヒットしました。
検索結果を見ますと、”有形固定資産に対する減価償却”や”固定資産の減価償却の方法 ”といった文言が現にありまして、
「会社計算規則」の条文においても”減価償却”という文言を使用していると思いました。
それで、”減価償却”というキーワードによる検索結果20件を見る限り、
”減価償却をしなければならない ”との文言はなかったものですから、
会社計算規則では減価償却手続きは行われなければならないとは書かれていない、と書いてしまいました。
しかし実際には、今日改めて会社計算規則を読んでみますと、「第五条 第二項」では”償却”という文言が使用されていまして、
上記のように、”減価償却をしなければならない ”という意味の条文があることに気付きました。
今から思えば、”償却”という文言で検索すればよかったと思っているところですが(今検索すると28件ヒットしました)、
”減価償却”という文言で検索して20件もヒットしましたので、「会社計算規則」の条文では”減価償却”という文言で統一されている、
と早合点してしまいまして、それ以上は検索しなかったのです。
”減価償却”という文言で検索しても1件もヒットしなかったならば逆によかったのかもしれません(”償却”で検索し直したでしょう)が、
「会社計算規則」の他の条文では”減価償却”という文言が当たり前のように使用されていましたから、
「会社計算規則」には、直接的には(明文の形で)減価償却手続きを行われなければならないという意味のことは定められていない、
と思ってしまったわけです。
言い訳になってしまいますが、以上が間違えてしまった理由になります。

 


ところで、「第五条 第二項」でいう”相当の償却”とは、より具体的にはどのような償却方法を指すのでしょうか。
法人税法に定めがある減価償却の方法だろうかと思い、
「会社計算規則」全文を”税”というキーワードで検索したところ、75件ヒットしました。
”税”というキーワードで検索してヒットした75件を見る限りは、”法人税法”という文言自体がないようでして、
「第五条 第二項」でいう”相当の償却”とは、法人税法に定めがある減価償却の方法を指すという意味の明文の規定はないようです。
しかし、”法人税”という文言は「会社計算規則」の条文に現にあります(全文検索すると10件ヒットしました)。
また、会社法と法人税法とは、直接的に相互に参照する形は取ってないものの、会社運営上密接な関係にあるのは言うまでもないことでしょう。
株式会社は会社法に従って会社運営をし、そして法人税法に従って課税所得額の計算を行い法人税の納税を行うわけですから。
そうしますと、「第五条 第二項」でいう”相当の償却”とは、法人税法に定めがある減価償却の方法を指す、ということになると思います。
要するに、例えばIFRSのように、会社が任意に減価償却期間を設定してよいものではない、ということだと思います。
昨日は、会計理論上は「税法上の減価償却手続き」には理論的根拠はない、と書きましたが、
「税法上の減価償却手続き」の社会的認知度の高さや、利害関係のない言わば法人からは独立した第三者(=税務当局)が
透明性・公正性・客観性を担保する目的で定めた明確な基準が「税法上の減価償却手続き」であるということを鑑みれば、やはり、
どの文脈においても、いわゆる”減価償却”とは当然に「税法上の減価償却手続き」のことを指す、と解釈すべきなのだと思います。
ただ、昨日も書きましたように、減価償却後の帳簿価額というのは債権者にとって回収可能な価額を表すわけではありませんので、
債権者の利益保護のため会社の資産の価額は回収可能な価額を表示すべく、
会社は追加的に適正に減損処理を行っていくべきなのだと思います。
要するに、減価償却と減損処理とを会計処理上は明確に分けて考えるべきのだろうと思います。
減価償却は減価償却で「税法上の減価償却手続き」を毎期行っていき、
減価償却後の帳簿価額が回収可能な価額以上である場合は追加的に減損処理を行う、という流れであるべきだと思います。
「第五条 第二項」でいう”相当の償却”とは、たとえ国税庁が定めた法人税法を指すのではないと解釈したとしても、
どんなに意味を広く取っても「予め明確に定めた規則的な償却方法」のことを指すわけです。
この点において、減価償却と減損処理とは会計処理上は明確に異なるわけです。
減損処理の方は、規則的に価額を切り下げるのではなく、回収が不可能になった時点で即座に価額を切り下げるのです。
その意味において、いわゆる”減価償却”とは「税法上の減価償却手続き」のことを一意に指すと解釈し、
それだけでは価額の切り下げが不十分である場合は減損処理を行うべきであると思います。

 



要するに、債権者保護のことを考えれば、わざわざ規則的に価額を切り下げるという会計処理を行うのであれば、
そこには透明性・公正性・客観性が十分に担保されていることが重要であるわけです。
つまり、債権者保護を徹底しようと思えば、固定資産はその後規則的に償却するのではなく、
固定資産の取得時に全額費用計上してしまうことが一番望ましいわけです。
債権者が規則的な償却に納得するのは、その償却方法について透明性・公正性・客観性が十分に担保されている場合のみでしょう。
さもなくば、会社は株主に有利な減価償却方法を設定する恐れがあるわけです。
したがって、「規則的な償却」に関しては税法に従う、ということが重要であると思います。
他に、透明性・公正性・客観性が十分に担保された、利害関係のない言わば法人からは独立した第三者が定めた
明確な基準・償却方法があるのなら、もちろんそれに従うのもよいでしょう。
しかし、実務上・現実には、そのような明確な基準・償却方法とは税法しかないのではないかと思います。
そして、「税法上の減価償却手続き」を行ったとしても帳簿価額が回収可能な価額以上である場合は、
追加的に減損処理を行う、ということが重要であるわけです。
要するに、「規則的な減価償却」に関しては、会社が定めてはならない、と言いたいわけです。
会社が行ってよいのは、「税法上の減価償却手続き」を行った後の減損処理だけだ、と言いたいわけです。
減損処理を行う分には、債権者の利益保護に資するのは確かです。
会社が任意に設定した「規則的な減価償却」を行うことは、債権者の利益を害する恐れがあるわけです。
「税法上の減価償却手続き」は、理論的根拠としては薄い部分があるのは確かですが、
その透明性・公正性・客観性の高さゆえ、債権者を納得させる役割がある、という言い方ができるのではないでしょうか。
債権者保護を最重要視するならば、棚卸資産も固定資産も、取得時に全額を費用計上するべきなのです。
なぜなら、帳簿(貸借対照表)に棚卸資産や固定資産が計上されているということは、すなわち、
現金支出が行われたにも関わらず(会社から現金が流出したにも関わらず)、その現金支出が費用計上されていない、
ということを意味するからです。
会社から現金が流出するというのは、債権者の利益にはマイナスであるわけです。
それなのに、費用計上がなされていないというのは、債権者の利益を害することであるわけです。
配当金(利益剰余金)という観点から見れば、費用計上を行わないことは結果株主にとってプラスに働くとも言えるでしょう。
企業会計原則でいう「費用・収益対応の原則」は、債権者ではなく株主の立場・視点に立ったものである、という言い方ができると思います。
商法制度が債権者保護を標榜するのならば、「費用・収益対応の原則」ではなく「保守主義の原則」を最重要視べきであると思います。

 

"Regular" and "Beforehand" alone are not good grounds for protection of creditors' interest.

「規則的」であり「事前に」というだけでは、債権者の利益保護には不十分である。