2014年10月14日(火)


モンクレールがミラノ証券取引所上場へ
 
ミラノ証券取引所がモンクレールの株式公開(IPO)を承認した。
新株発行により、最大で総額25億5000万ユーロ(3557億円)を調達する見込み。12月16日の上場を予定している。
モンクレールは新株を発行し、最小で21億8750万ユーロ、最大で25億5000万ユーロを調達すると発表。
IPOの公募期間を12月11日までに設定し、12月16日の上場に向け調整を進めている。
新株発行に合わせ、同社筆頭株主の仏投資銀行ユーラゼオが所有するモンクレール株全株(モンクレール株の約37%に相当)や
米プライベートエクイティ会社カーライル・グループの保有株など計6,680万株の売却も行われる。
 モンクレールは、1952年にフランスでスタートしたブランドで、ダウンジャケットを中心にアイテムを展開。
他ブランドとのコラボレーションを積極的に行っており、これまで「White Mountaineering(ホワイトマウンテニアリング)」や
「sacai(サカイ)」「VISVIM(ビズビム)」といった日本ブランドとのコレクションも発表している。
(Fashionsnap 2013年11月29日 13:10 JST)
ttp://www.fashionsnap.com/news/2013-11-29/moncler-milano-ipo/

 

 



MONCLERについて
ttp://www.fashionsnap.com/dictionary/moncler/


ブランドについて

 イタリアのプレミアム・スポーツウエアブランド。
1952年、フランス・グルノーブル郊外のMonestier de Clermont(モネステ・ド・クレァモン)にて創業。
 創業地名の一部を組み合わせ、「MONCLER(モンクレール)」と名付けられた。
 代表アイテムはダウンジャケット。シャイニーナイロン素材に最高品質のグースの産毛を使用。
高い品質に目を付けたフランスの上流階級に愛用され、現在のプレミアム・ダウンウェアとしての地位を確立。
高価格帯ながら、イタリアをはじめ世界的にブレイクしている。
人気モデルは「K2(ケー・ツー)」、「HIMALAYA(ヒマラヤ)」、「EVEREST(エべレスト)」など。
 1968年にフランス・グルノーブルで開かれた第10回冬季オリンピック大会から使われている"オンドリ"と"M"を組み合わせたの
ロゴマークがブランドのシンボル。通常よりも大きめのサイズの、通称「デカロゴ」も使われている。
 「JUNYA WATANABE(ジュンヤ・ワタナベ)」、「BALENCIAGA(バレンシアガ)」、「FENDI(フェンディ)」など、
著名ブランドとのコラボレートも行われている。
 近年ではダウンジャケット以外に、ポロシャツや、シャイニーナイロン素材のジャケット、バッグなども人気。
 日本においての正規輸入代理店は八木通商グループのモンクレールジャパン。


 


モンクレール上場の意向

モンクレールは上場を目論んでいる。2011年第2四半期中に計画を現実のものにできそうだと発表。
ブルームバーグ社によると、モンクレールのファンド48%を所持するカーライルグループのマネージャーは
所持株の半分(全体の24%)を売り渡す意向がある。
モンクレール・グループ(「モンクレール」「ヘンリー・コットンズ」を運営)が上場することによってファンド譲渡は実現するだろう。
2011年から2012年冬にかけての先行オーダーが実現さえすれば株式公開は2011年第2四半期中に行われ、販路拡大はその次の段階となる。
CEOレモ・ルッフィーニはファンドの38%を所持する。ブランド2009年の売り上げは3億7200ユーロ。
(FashionMag.com 2010年10月11日)
ttp://jp.fashionmag.com/news/
%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%B8%8A%E5%A0%B4%E3%81%AE%E6%84%8F%E5%90%91,128574.html

 


伊モンクレール、年内の上場を検討

 【ミラノ】イタリアの高級ファッションブランド、モンクレールのレモ・ルフィーニ最高経営責任者(CEO)は、
年内のイタリア市場上場を視野に入れていると明らかにした。
 モンクレールの第2位株主でもあるルフィーニ氏は「上場は常に私の第一の選択肢だった。
実行に適した時期を待っているだけだ」と語った。
また、シリア攻撃の脅威といった外部要因で市況が不安定になり過ぎなければ年内にその時期が到来しそうだと話した。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 9月 24日 17:37 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303529604579094601811830482.html

 

 


伊高級衣料品モンクレールがミラノ上場へ、調達額25億ユーロ超

[ミラノ 26日 ロイター] -イタリアの高級衣料品モンクレールが26日、
ミラノ証券取引所への新規株式公開(IPO)に伴い、
仮条件のレンジを8.75―10.2ユーロ(11.9―13.8ドル)に設定した。
調達額は25億ユーロ(34億ドル)以上になる見通しで、欧州の高級品セクターにおける今年最大の新規上場となる見込み。
上場予定日は12月16日。
同時に、仏投資銀行ユーラゼオが所有するモンクレール株全株を売り出すほか、米プライベートエクイティ(PE)企業の
カーライル・グループとBrands Partners 2も売出を行う。
事情に詳しい関係筋によると、公開価格が仮条件の下限で決定した場合、同社の企業価値は22億ユーロとなる。
ジョイント・ブックランナーのインテサ・サンパオロは24億ユーロ前後と試算している。
これは、モンクレールが2011年にIPOを延期した際の規模の2倍に当たる。浮動株比率は26%強になるという。
仮条件レンジは2014年の利払い・税・償却前利益(EBITDA)予想の10―12倍に当たる。
レンジの下限は、同業の仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)や小売り大手ケリング(旧PPR)とほぼ同じ水準。
モンクレールは声明で、IPOの詳細は28日に公開される目論見書で明らかになると発表した。
グローバル・コーディネーターは米ゴールドマン・サックスGSGSC.UL、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチBACML.UL、
伊メディオバンカが務める。ジョイント・ブックランナーはインテサ・サンパオロ、米JPモルガン・チェース、
野村証券、スイスのUBS。主幹事には仏BNPパリバBNPPZ.UL、伊Equita SIMと英HSBCHSBCUK.ULが指名された。
フィナンシャル・アドバイザーはClaudioCostamagnaとラザード。
(ロイター 2013年 11月 27日 17:09 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE9AQ05620131127

 

 


2013年12月13日(金)日本経済新聞 公告
モンクレール・エスピーエー
普通株式売出価格等の決定に関するお知らせ
(記事)

 

野村證券株式会社
イタリア証券取引所新規上場予定普通株式売出しのご案内
モンクレール・エスピーエー
ttp://www.nomura.co.jp/retail/stock/ipo/pdf/moncler.pdf


野村證券株式会社
モンクレール・エスピーエーの普通株式売出価格等の決定に関するお知らせ(新聞公告)
ttp://www.nomura.co.jp/retail/stock/ipo/pdf/moncler_hedge.pdf

 



2013年12月16日(月)日本経済新聞
海外IPO株 個人に販売
野村、伊高級衣料■大和は中国準大手銀
(記事)





2013年12月18日(水)日本経済新聞 公告
中国光大銀行股扮有限公司H株式
発行価格等の決定に関するお知らせ
(記事)

 

2013年12月18日
大和証券株式会社
中国光大銀行股扮有限公司H株式募集のご案内 (香港証券取引所上場予定)
ttp://www.daiwa.jp/products/equity/cebbank.html


大和証券株式会社
中国光大銀行股扮有限公司H株式 発行価格等の決定に関するお知らせ
ttp://www.daiwa.jp/doc/131218.pdf

 


2014年1月24日(金)日本経済新聞 公告
外国投資信託受益証券発行価格等の決定に関するお知らせ
HKエレクトリック・インベストメンツ
(記事)



2014年7月28日(月)日本経済新聞 公告
アコーディア・ゴルフ・トラスト
外国投資信託受益証券発行価格等の決定に関するお知らせ
(記事)



2014年8月1日(金)日本経済新聞 公告
WHグループ・リミテッド(萬洲国際有限公司)
普通株式発行価格等の決定に関するお知らせ
(記事)

 



H25.11.27 16:33
提出者 モンクレール・エスピーエー
有価証券届出書(通常方式)
(EDINETと同じPDFファイル(14.9MB)を解凍ツールを用いて二つに分割しました↓。)
「分割ファイル1(part1)(右クリックして保存して下さい。)」 (8.78MB)
「分割ファイル2(part2)(右クリックして保存して下さい。)」(5.55MB)
注:part1とpart2の2つのrarファイルを同じフォルダに入れて、解凍ツールを用いて解凍・結合して下さい。
  解凍ツールや結合の仕方等については検索すれば簡単に分かるかと思います。
  解凍後のファイル名は「20131215Moncler-ComprehensiveReportOnNewStockIssuingWithoutListing.pdf」(14.9MB)になります。


 

H25.12.06 15:21
提出者 モンクレール・エスピーエー
訂正有価証券届出書(通常方式) 
(EDINETと同じPDFファイル)

H25.12.11 09:00
提出者 モンクレール・エスピーエー
訂正有価証券届出書(通常方式) 
(EDINETと同じPDFファイル)

H25.12.12 10:27
提出者 モンクレール・エスピーエー
訂正有価証券届出書(通常方式)  
(EDINETと同じPDFファイル)           

 


【コメント】
1年近く前の話になりますが、イタリアの高級ファッションブランド企業であるモンクレールが、
2013年12月16日、ミラノ証券取引所へ新規株式公開(IPO)を行いました。
株式の上場に伴い、モンクレールは海外でも資金調達を行う計画であったようです。
日本でも、「モンクレール・エスピーエー普通株式」という銘柄の株式が証券会社を通じて販売されたようです。
日本では、野村證券株式会社が「モンクレール・エスピーエー普通株式」の取り扱い担当の証券会社であったようです。
他にも、香港上場の中国光大銀行股扮有限公司とHKエレクトリック・インベストメンツとWHグループ・リミテッド(萬洲国際有限公司)も、
モンクレールと同じ様に、日本でもその株式を通じて資金調達を行うことを考えているようです。
さらに、シンガポール上場のアコーディア・ゴルフ・トラストも、
モンクレールと同じ様に、日本でもその株式を通じて資金調達を行うことを考えているようです。
簡単に言えば、海外の上場株式を日本の個人投資家が買うことができる、というふうに理解してもよいのだと思います。
日本で不特定多数の投資家に有価証券を販売するということで、
モンクレール・エスピーエーは日本の金融商品取引法に基づき、「有価証券届出書」を金融庁に提出したわけです。
モンクレール・エスピーエーが提出したこの「有価証券届出書」ですが、579ページもあり、とても全ては読む気が起きないわけですが、
「有価証券届出書」の最初の方を読んでいて気になった点について一言だけコメントします。


「有価証券届出書」
【第一部】証券情報
第1【募集要項】
第2【売出要項】
(5/579ページ)


1【売出有価証券】
注記事項
摘要
(5〜6/579ページ)

 



気になった点を一言で言えば、モンクレール・エスピーエーは、
「有価証券の売出し」("Secondary Distribution of Securities")は行うが、
「有価証券の募集」("Public Offering of Securities")は行わない、
という点です。
金融商品取引法の定義を書きますと、
「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘、をいいます。
「有価証券の売出し」とは、既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘、をいいます。
簡単に言えば、上場する企業自身が増資をする(新たに株式を発行する)に際し新株式の引き受け手を募ることを「株式の募集」というわけです。
一方、上場する企業の増資等とは無関係に、既存の株主が既に所有している株式を販売していくことを「株式の売出し」というわけです。
モンクレール・エスピーエーはこのたび新規に株式をミラノ証券取引所へ上場する(今まで公開取引市場は存在していない)ということですし、
モンクレール・エスピーエー自身新株式を発行して資金調達を実施する(増資を行う)計画ではあるのですが、
その株式の販売等に関しては、法律上は、「株式の募集」ではなく「株式の売出し」に該当するようです。
また、このことに関連する事柄だと思いますが、有価証券届出書の注記には、このたびの「株式の売出し」は、

>日本における上場を伴わない当社株式の売出し

と書かれてあり、「日本売出し」が計画されているこの「モンクレール・エスピーエー普通株式」は、

>日本のいずれの金融商品取引所にも上場される予定はない。

と書かれています。
簡単に言えば、この「モンクレール・エスピーエー普通株式」は、
個人投資家を対象に広く一般に株式の「売出し」は行う、しかし、株式の「上場」は行わない、ということになります。
「募集」ではなく「売出し」と言っているということは、ひょっとすると新株式の発行の場合は全て「買取引受」だからなのかもしれません。
新株式であっても既に「引受人」がいる(既に新株式は引き受け済み)、だから、「売出し」(まさにsecondary)なのかもしれません。
secondary には「代理人」という意味もあるようです。
"Secondary Distribution" とはすごくイメージがわく気がします。
ちなみに、紹介しています公告を見ますと、同じ外国上場株式の日本における販売でも、
モンクレール・エスピーエーの場合は、「売出し」という用語を使っているのに対し、
香港上場の中国光大銀行股扮有限公司とHKエレクトリック・インベストメンツとWHグループ・リミテッド(萬洲国際有限公司)、
そしてシンガポール上場のアコーディア・ゴルフ・トラストは、「募集」という用語を使っています。
取り扱い方法や販売方法などが異なるため本当に「募集」に該当するということなのか、それとも、
法律的には厳密にはやはり「売出し」に該当するのだが一般的な言葉を敢えて使って”募集”と書いたのか、どちらなのかは分かりませんが。

 


以上2つの話を総合すると、このたび日本で販売されるこの「モンクレール・エスピーエー普通株式」は、
おそらく、日本企業がアメリカで発行する「ADR」(米国預託証券)の「日本国内版」のようなイメージのものなのだと思います。
(株式は本当に上場していないのか、実質的には株式は上場しているのではないか、といった議論はこここでは本質的ではないでしょう。)
「ADR」については、2014年9月30日(火) にコメントを書きました。

2014年9月30日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201409/20140930.html

「ADR」については、この時のコメントと紹介しています楽天証券の解説ページが分かりやすのではないかと思います。
実際には株式はアメリカには上場していないのだが、アメリカに上場しているように見せているのが「ADR」という仕組みであるわけです。
同様に、実際には株式は日本には上場していないのだが、日本に”上場”しているように見せているのが
このたびのこの「モンクレール・エスピーエー普通株式」の取り扱い・販売方法なのだと思います。
「ADR」ならぬ、イタリア国内から見ればこれは「Japanese Depositary Receipt」(日本預託証券)といったところでしょうか。
2014年9月30日(火) にも書きましたが、どの国においても、海外の株式が国内証券取引所に上場するのは法理的には不可能です。
なぜなら、債権は物権を超えないからです。
このたびの「モンクレール・エスピーエー普通株式」に限らず、日本国内における海外の株式の場合は全て、
”実際には所有していないが所有しているかのように見せている”
だけだ(そのような証券取引の仕組みを海を越えて構築しているだけ)と理解しないといけないと思います。
日本で「モンクレール・エスピーエー普通株式」を購入すると、
「モンクレール・エスピーエー普通株式」から生じる経済的権利の全てを日本国内にいながら享受できるように取り扱われるのだと思います。
正確な定義や詳しい仕組みは分かりませんが、日本における海外株式は全て「外国投資信託受益証券」のようなものなのではないでしょうか。
日本で海外株式を購入するとは、結局のところ、株式を信託している、ということなのだと思います。
なぜなら、日本では海外株式は厳密な意味では所有できないからです。
日本の民法に基づいた日本国内の所有権は海外には及ばない(海外では日本の所有権は行使できない)、ということだと思います。
「法の適用および効力の及ぶ範囲を、当事者の国籍を問わず、自国の領域内に限定する考え方」を、法律の世界で「属地主義」といいます。
各国の民法も各国の商法も、属地主義の原則が適用されると思います。
日本の民法の所有権はイタリアでは適用されませんし、イタリアの商法の議決権は日本では行使できません。
ただ、「ADR」や「外国投資信託受益証券」では、有り体に言えば有形無形の形で問題が起きないように取り計らっているというだけなのです。
ですので、このたびの「モンクレール・エスピーエー普通株式」を日本の証券会社で購入しても、実際には「原株」は所有していないのです。
法は国境を越えない、そして、債権は物権を超えない、と言ったところでしょうか。

 


野村證券株式会社の「イタリア証券取引所新規上場予定普通株式売出しのご案内 モンクレール・エスピーエー」
というご案内についても一言だけコメントします。
ページへのリンクは既に切れているのですが、スキャンした画像だけでも理解はできると思います。
以下のコメントはおまけくらいに思って下さい。

 

売出しの概要
(1/1ページ)


>上場予定日 2013 年12 月16 日(中央ヨーロッパ時間)

と書かれていますが、これはおかしいと言いますか、語弊を恐れずに言えばこれは嘘です。
モンクレール株式は上場しません。

ただ、モンクレール株式はイタリア市場では上場します。
日本市場では上場はません、という意味です。


Caution!
Moncler stocks are NOT going to go public.

They are only in the Italian market, NOT in the Japanese market.

 


ご購入にあたっての主なリスク・手数料等・ご留意事項について
(1/1ページ)


日本には上場していないイタリアの株式を買うわけですから、それはそれでリスクはあるでしょう。
まあ、そのリスクに関しては投資家の皆様の判断にお任せするとして。

>お預かりに係る料金はいただきません。

という部分がおもしろいな、と思いました。
お客様の有価証券を安全に管理・保管するわけですから、お客様が購入した有価証券に係る「預り手数料」を証券会社が報酬として受け取る、
というのは何らおかしな考え方ではないようにも思えます。
有り体に言えば、コインロッカーと同じではないでしょうか。


注1:一昔前までは、証券会社は顧客から預り手数料を受け取っていたかもしれません。
注2:この考え方を銀行に応用すると、「預金に利息が付くのはおかしい」という考え方もあると思います。
   預金者は銀行にお金を貸しているのではなく、安全・利便性のために銀行に預ってもらっているのだから、
   実は預金者は銀行に「預り手数料」を払わないといけない、という考え方もあるわけです。