[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

2014年9月17日(水)



2014年9月17日(水)日本経済新聞 公告
転換価額等の決定に関するお知らせ
株式会社じもとホールディングス
(記事)



 

2014年9月4日
株式会社じもとホールディングス
120%コールオプション条項付第1回無担保転換社債型新株予約権付社債発行に関するお知らせ 
ttp://www.jimoto-hd.co.jp/jimoto-cgi/news/news_upfiles/2014/98/0/140904.pdf

 


2014年9月16日
株式会社じもとホールディングス
120%コールオプション条項付第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定のお知らせ
ttp://www.jimoto-hd.co.jp/jimoto-cgi/news/news_upfiles/2014/100/0/140916.pdf

 

2014年9月16日
株式会社じもとホールディングス
転換価額等の決定に関するお知らせ(金融商品取引法第15条第5項に基づく公表文)
ttp://www.jimoto-hd.co.jp/jimoto-cgi/news/news_upfiles/2014/101/0/140916_01.pdf

 


【コメント】
貸付人が借入人へ100円お金を貸したとします。
借入人は貸付人に100円返済しなければなりませんが、借り入れた金額と返済する金額とが異なる場合はどのように考えるべきでしょうか。
借入人はどのような会計処理をするべきでしょうか。
そして貸付人はどのような会計処理をするべきでしょうか。
元本額と返還額との差額に関しては、基本的には相手方に対する寄附という考え方になると思います。
元本額と返還額との差額のことを利息に相当するものと考えることは論理的ではないと思います。
なぜなら、元本額と返還額とは法理上当然に同じのはずだからです。
民法上、消費貸借契約とは、ある目的物を借りて、後にこれと同種・同等・同量の物を返還する約束のことです。
特に金銭の貸借であれば、借りた金額と同額を返還する、というのが民法における消費貸借契約の基本的考え方となるわけです。
金銭消費貸借契約にける利息とは、お金を貸してくれたことに対する謝礼(正当な対価)の意味があるわけですが、
それは当然に元本額と返還額とは同じであることを前提にしています。
元本額と返還額が異なっている場合は、極端に言えば民法上の本来の消費貸借契約ではない、という言い方ができるのかもしれません。
100円借りたから100円返した、そして100円貸してくれた謝礼として10円払う、というのが利息です。
100円借りて130円返したでは貸してくれたことに対する謝礼とは言えないと思います。
消費貸借契約では、元本額と返還額(もちろん元本額と同額です)はもちろん、利息に関しても契約締結時に確定しているはずだ、
と考えるのだと思います。
対価(利息)はいくらになるか分からないがとにかく相手方にお金を貸す・相手方からお金を借りる、などということはしないでしょう。
このたびの株式会社じもとホールディングスのように、元本額と返還額とが異なり得ることに関して
お互いに予め合意している場合はどうなるのかについては解釈が難しい部分があるとは思いますが、
元本額と返還額が異なってしまいますと利息(対価)の概念そのものが成り立たなくなるように思います。
逆から言えば、元本額と返還額が同じだから利息(対価)という概念が成り立つように思います。
100円借りて元本と利息合計で100円返したとします。
しかしそれは無利息と判断するしかないでしょう。
元本は90円だけ返し10円は利息として支払った、などと考えることはできないでしょう。
「元本額と返還額とは同じである」ということを基準にして消費貸借契約を見ていくしかないのだと思います。
また、利率に関してですが、法理的には、これは貸借期間で一定(不変)と考えるべきなのだと思います。
なぜなら、貸付人にとってはお金を貸し付けていることから生じる便益は一定であると考えられますし、
借入人にとっても借り入れているお金をどのように消費(活用・運用)しようが貸付人には全く無関係(貸付人には中立)であることから
一定(不変)の謝礼を貸付人に支払えば十分であると考えられるからです。
「お金の貸借を行っているという行為」自体は両者にとって貸借期間を通じて全く同じだからだ、と言えばいいでしょうか。
全く同じ行為を継続しているのだから、貸借期間の途中で謝礼(利率)が変わるというのはおかしい、という考え方になると思います。

 



以上の考察を踏まえますと、金銭消費貸借契約においては、お互いの事前の合意事項・合意内容に関わらず、

元本額=返還額
貸借期間の利率は一定

ということが取引の前提である、と考えなければならないのだと思います。
これらに差異・差額がある場合は、相手方に対する寄附と判断する他ないのだと思います。
このたびの株式会社じもとホールディングスのように両者の間に返還額や利率について予め合意があっても、
「相手方に対して寄附を行うこと」についてまで当事者間で事前に合意を行った、と判断する他ないのだと思います。
税務理論上は、寄附金を支払った場合は損金不算入、寄附金を受け取った場合は益金算入となります。

 



【設例】
100円の貸借を行った。
1年後利率5%を付けて返還した。
支払った元本と利息合計額が、①95円、②100円、③105円、④110円、の場合の貸付人、借入人それぞれの仕訳は次の通り。

 

①95円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 95円  / (貸付金) 100円
(寄附金) 5円


借入人の仕訳

(借入金) 100円 / (現金) 95円
                (受取寄附金) 5円

 


②100円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 100円 / (貸付金) 100円


借入人の仕訳

(借入金) 100円 / (現金) 100円

 

 

③105円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 105円 / (貸付金) 100円
              (受取利息) 5円


借入人の仕訳

(借入金) 100円 / (現金) 105円
(支払利息) 5円

 



④110円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 110円 / (貸付金) 100円
              (受取利息) 5円
              (受取寄附金) 5円


借入人の仕訳

(借入金) 100円 / (現金) 110円
(支払利息) 5円
(寄附金) 5円

 


「③105円の場合」の仕訳が一番スタンダードなと言いますか、本来の金銭消費貸借契約の法理に沿った仕訳になります。
「④110円の場合」の仕訳も、商取引上そのようなことをするのかどうかはともかく、仕訳としてはこれで正しいと思います。
問題なのは、「①95円の場合」と「②100円の場合」ということになります。
仕訳としてはこれらの仕訳でやはり正しいと言いますか、
現行の会計基準(もしくは現行税法)に従えば、これら以外の会計処理方法は考えられないのではないかと思います。
ただ、この設例の場合、元本と利息合計で「105円」の返還が行われなければならないわけです。
そうしますと、「①95円の場合」は10円の寄附、「②100円の場合」は5円の寄附が行われたことになるわけです。
ところが、上記の仕訳を見ても分かりますように、「①95円の場合」は5円の寄附のみが行われ、
「②100円の場合」は全く寄附は行われていない、という結果(会計処理)になっています。
当初定められた利息を支払うまでが消費貸借契約であると思いますが、これでは契約内容と取引実態との間に差異が生じているかと思います。
本来なら受け取れたであろう利益(機会収益)に関しては、会計では表現し切れないということでしょうか。
このような場合は、契約の変更が当事者間で行われたと考え、税務上も無利息の取引であったと考えるしかないのでしょう。
「貸借期間の利率は一定」と先ほど書いたばかりですが、
このような場合は返還額については元本額を基準に考えていくしかないのだろうと思います。

 



「①95円の場合」と「②100円の場合」、契約内容に照らせば概念的には寄附が行われているわけですが、
仕訳(会計処理)上は寄附は行われていないことになります。
あくまで理論上ですが、この寄附の内容を仕訳(会計処理)に反映する方法が一つ考えられます。
それは「借入金利息調整勘定」を使うことです。
現行の会計基準や税法で定められた会計処理方法とは異なりますが、理論上は考えられる会計処理方法ではないかと思います。
「借入金利息調整勘定」については、2014年9月10日(水) にコメントしました。


2014年9月10日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201409/20140910.html


「借入金利息調整勘定」を使うと、金銭消費貸借契約の内容を正確に反映した仕訳、すなわち、
借入人が実際に負っている債務の総額を借入金の貸借対照表価額とする仕訳を切ることができます。
貸付人の側に関しても、同様に貸付金の利息部分について調整勘定を使うことにより、
貸付人が法的な確定債権として実際に有している金銭債権の総額を貸付金の貸借対照表価額とする仕訳を切ることができます。
一見、貸付金の金額が過大(債権者保護の観点に反する)なのではないかと思われるかもしれませんが、これは本当の意味で確定債権です。
利益の過大計上や利益を早期に計上してしまっていることとは異なります。
貸付金(金銭債権)の貸借対照表価額は元本額でなければならない、ということに理論的根拠は何もないでしょう。
利息に関する調整勘定を使った場合、貸付人の貸付金勘定は105円、借入人の借入金勘定も105円となります。
利息に関する調整勘定を使った場合、上記の仕訳のうち、「①95円の場合」と「②100円の場合」の仕訳はそれぞれ次のようになります。

 



①´95円の場合


貸付人の仕訳

(現金)  95円             / (貸付金) 105円
(貸付金利息調整勘定) 5円    (受取利息) 5円
(寄附金) 10円      


借入人の仕訳

(借入金) 105円 / (現金) 95円
(支払利息) 5円    (借入金利息調整勘定) 5円
                 (受取寄附金) 10円
                 


②´100円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 100円             / (貸付金) 105円
(貸付金利息調整勘定) 5円    (受取利息) 5円
(寄附金) 5円


借入人の仕訳

(借入金) 105円 / (現金) 100円
(支払利息) 5円    (借入金利息調整勘定) 5円
                (受取寄附金) 5円

 



これらの仕訳を見て分かるように、
「①´95円の場合」は寄附の金額が10円に、そして、「②´100円の場合」は寄附の金額が5円になります。
これで寄附の内容を仕訳(会計処理)に反映していることになります。
貸借時において、貸付人は将来受け取る利息の相手方勘定科目として貸付金利息調整勘定を計上し、また、
借入人は将来支払う利息の相手方勘定科目として借入金利息調整勘定を計上しているわけですから、
元本返済時等の貸付金利息調整勘定の相手方勘定科目は受取利息のみですし、
借入金利息調整勘定の相手方勘定科目は支払利息のみとなるわけです。
(もしくは単純に元本返済に伴い逆仕訳を切ったと考えてもよいかもしれません。)
これで損益計算書には正しい寄附に関する金額が表示・計上されたことになります。
上記の仕訳を見て、「実際には貸付人は利息を受け取っていないし借入人は利息を支払っていないのではないか」、
と思われる人もいるかもしれませんが、債権債務はどちらも金額・期日共に法的に確定しているものであるため、
ここでは、「貸付人は期日に確定債権の満額の回収を行いつつ(行ったのだが)差額分は寄附を行った」と考え、また、
「借入人は期日に確定債務の満額の弁済を行いつつ(行ったのだが)差額分は寄附を受け取った」と考えているわけです。
例えば、「利息の支払いは満額無事に行われた」と考えなければ借入人は債務不履行を起こした、ということになるとも言えるわけです。
債務不履行を避けるため、当初の契約通り「利息の支払いは満額無事に行われた」のだが貸付人としては不足分は寄附を行った、
などと考えることもできるかもしれません。
寄附の金額は「確定債権の回収が満額無事にできたものと計算される金額から実際に回収できた金額を引いた金額」となります。
以上の仕訳は、現行の会計基準や税法で定められた会計処理方法とは異なるのですが、
「契約内容を織り込み本来の回収金額から見た場合の寄附の金額」を正確に表示・計上することに重点を置いた会計処理方法です。
「債権債務は法的に確定している(債務不履行は起こさないものとする)という点に重点を置き、その上で寄附の金額を正確に表示・計上する」
ということ考えるならば、理論上は決して間違いではない会計処理方法ではないかと思います。

 



仮に、「実際には貸付人は利息を受け取っていないし借入人は利息を支払っていない」という点に重点を置くならば
仕訳は以下のようになると思います。
利息と寄附が相殺消去された仕訳になります。
この場合、寄附の金額は、当初の契約内容から見た場合の寄附の金額とは異なることになります。
「利息の支払いはなかったのは確かだが、それは当初の契約内容から見れば債務不履行ではないのか」
という言い方がこの場合はできるように思います。
債務不履行を起こさないために寄附を行ったと考えるのなら、利息を計上した上で寄附を計上する、
と考えることにも一定の理はあろうかと思います。
取引実態をどこまで仕訳に反映させるか、もしくは、どのような取引を行ったものと見なすか(そしてそれをどう仕訳に反映するか)、
によって、理論上は仕訳が変わってくる、と言えるように思います。
仕訳と法理との整合性をどこまで考えるか(法理をどこまで仕訳に織り込むべきか)、といった議論になります。
もっとも、利息に関する調整勘定を使わない場合は、これらの仕訳は全く切れないわけですが。
現行の会計基準や税法で定められた会計処理方法から言えば、的外れな仕訳に見えるかもしれませんが、
現行の規定では表現し切れていない部分があるように思えましたので、
契約内容と取引実態を織り込んだ新しい仕訳(会計処理方法)について考えてみました。

 



①´´95円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 95円               / (貸付金) 105円
(貸付金利息調整勘定) 5円
(寄附金) 5円  


借入人の仕訳

(借入金) 105円 / (現金) 95円
                 (借入金利息調整勘定) 5円
                 (受取寄附金) 5円
                 


②´´100円の場合


貸付人の仕訳

(現金) 100円              / (貸付金) 105円
(貸付金利息調整勘定) 5円


借入人の仕訳

(借入金) 105円 / (現金) 100円
                 (借入金利息調整勘定) 5円