2014年2月5日(水)
Feb. 4, 2014
Microsoft Corporation
Microsoft Board names Satya Nadella
as
CEO
ttp://www.microsoft.com/en-us/news/press/2014/feb14/02-04newspr.aspx
Feb. 4, 2014
Microsoft Corporation
Introducing Microsoft’s new CEO:
Satya Nadella
ttp://www.microsoft.com/en-us/news/ceo/index.html
Feb. 04, 2014
Satya Nadella email to employees on first day as
CEO
ttp://www.microsoft.com/en-us/news/press/2014/feb14/02-04mail2.aspx
Feb. 04, 2014
Steve Ballmer email to employees on new
CEO
ttp://www.microsoft.com/en-us/news/press/2014/feb14/02-04mail1.aspx
【コメント】
マイクロソフトの新CEOが決定したようです。
まあ別に特にコメントはありませんが。
今後何かありましたら追々コメントしていこうと思います。
上にプレスリリースやメールを紹介していますが、次のようなプレスリリースもありました↓。
Feb. 04, 2014
ValueAct Capital statement on new Microsoft CEO Satya
Nadella
ttp://www.microsoft.com/en-us/news/press/2014/feb14/02-04statement.aspx
「ValueAct Capital」って一体誰でしたっけ?
>I look forward to working with Satya, Chairman John Thompson
>and
the rest of the Board of Directors to create value for all
shareholders.
(全株主様に対し価値を生み出していくために、サトヤ、ジョン・トンプソン会長、
そして残りの取締役会の面々と一緒に仕事をすることを楽しみにしています。)
と挨拶文に書かれているところ見ると、取締役の一人なのだろうかと思ったのですが、メンバーを見ますとどうやら違うようです↓。
Microsoft Corporation Board Committees (Updated: February 4,
2014)
ttp://www.microsoft.com/investor/CorporateGovernance/BoardOfDirectors/Committees.aspx
仮に大株主の一人ということで就任予定取締役の候補者なのだとしても、今の時期にというのは少し変な気がします。
よく分かりませんが、とりあえず今日はこれで終わります。
2014年2月5日(水)日本経済新聞
ソニー、パソコン売却へ 投資ファンド有力 今期最終赤字に 「VAIO」新会社で
(記事)
2014年2月5日(水)日本経済新聞
ソニー、家電再生へ大なた パソコン売却 テレビ、次の焦点
日米勢、脱パソコン続く 中台メーカーが台頭
(記事)
2014年2月5日
ソニー株式会社
2014年2月4日、5日付の一部報道内容に関して
ttp://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201402/14-0205/
【コメント】
詳しくはよく分かりませんが、ソニーのパソコン事業売却について早々と検証している記事がありましたので紹介します。
どうなるVAIO?
ソニーのPC事業を検証する
(ITPro 2014/02/05)
ttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140205/534905/
2014年2月5日(水)日本経済新聞 社説
流通業界で進む多角化戦略に潜むワナ
(記事)
【コメント】
多角化と言えば、次のような記事もありました↓。
2014年1月23日(木)日本経済新聞
リンガーハットが買収 アジアに110店「8番らーめん」 成長市場取り込み
(記事)
2014年1月24日(金)日本経済新聞
リンガーハット ハチバン買収へ メニュー開発・物流 共通化 来月中に業務提携
(記事)
「ハチバン株価のここ3ヶ月間の値動き」
2014年2月5日(水)日本経済新聞
神戸鋼、公募増資1000億円 24年ぶり 加古川製鉄所の設備増強 今期配当4円
(記事)
2014年2月4日
株式会社神戸製鋼所
新株式発行及び自己株式の処分並びに株式売出しに関するお知らせ
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/02/04/140204_kaiji2.pdf
2014年2月4日
株式会社神戸製鋼所
平成26年3月期
配当予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/02/04/140204_kaiji_1.pdf
2014年2月4日
株式会社神戸製鋼所
平成26年3月期
第3四半期決算短信
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/02/04/140204_kessan.pdf
補足資料
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/02/04/140204_hosoku.pdf
第3四半期決算
IR説明会資料
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/02/04/140204_setsumei.pdf
「神戸製鋼所株価のここ1ヶ月間の値動き」
ここ5営業日で約30円株価が下がっていることになります。
これはここ5営業日で約17パーセントも株価が下がっていることを意味します。
増資の発表は2月4日(火)の取引時間終了後だったかと思いますが、その何日も前から株価は大きな下落傾向にあったということになります。
増資の発表を行うと、通常はさらに株価が下がる傾向にあります。
新株式の発行価額(=ここでは主幹事証券会社の引受価額という意味になりますが)の決定・発表は、
理屈の上では増資実施の発表とまさに同時でなければならないと思います。
さて、プレスリリース「新株式発行及び自己株式の処分並びに株式売出しに関するお知らせ」を読んでいてあることが気になりました。
それは、自己株式の処分に関する記述が、議決権割合の計算上、計算間違いを招きやすい書き方になっている、という点です。
また、この問題点は、究極的には自己株式の意義・定義・取り扱いにまでさかのぼる議論につながると思います。
2.今回の公募による新株式発行及び本件第三者割当増資による発行済株式総数の推移
3.今回の自己株式の処分による自己株式数の推移
(6/10ページ)
議決権割合の計算上(特に既存株主にとっての)は、
「新株式の発行」と「自己株式の処分」は発行済株式総数が増加するという点で全く同じ意味を持ちます。
ですから、自己株式の「処分株式数 103,919,000株」は別に記載するのではなく、
「今回の公募による発行済株式総数の推移」にまとめて書きべきだと思います。
正しくはこうです↓。
今回の公募による新株式発行及び自己株式の処分及び本件第三者割当増資による発行済株式総数の推移
@現在の発行済株式総数
3,006,254,820株
A公募による新株式発行に伴う増加株式数
470,831,000株
B公募による自己株式処分に伴う増加株式数
103,919,000株
C本件第三者割当増資による増加株式数
57,750,000株
D今回の公募による新株式発行及び
自己株式の処分及び
本件第三者割当増資による発行済株式総数
3,638,754,820株
プレスリリースには、既存株主にとって(新株主にとってももちろんですが)一番重要な
「D今回の公募による新株式発行及び自己株式の処分及び本件第三者割当増資による発行済株式総数 3,638,754,820株」
が記載されていません。
なぜ既存株主にとってDの数字が重要かと言えば、増資後自分の議決権割合がいくらになるかはDの数字よって決まるからです。
プレスリリースの書き方ですと、「B公募による自己株式処分に伴う増加株式数 103,919,000株」は、
自分の議決権割合に全く影響を与えないものと誤認しかねないわけです。
確かに、会社法上、自己株式を処分しても会社の発行済株式総数は増加しません。
なぜなら、会社法上、自己株式数ははじめから会社の発行済株式総数に含まれているからです。
ですからプレスリリース中の「処分株式数 103,919,000株」は発行済株式総数には全く影響を与えません。
ですから、プレスリリースでは「3.今回の自己株式の処分による自己株式数の推移」を発行済株式総数の推移とは別に記載しているのでしょう。
その点では、確かにプレスリリースの書き方である意味正しいわけです(そして私の上記記載内容が会社法上は間違いとなるわけです)。
しかし、このプレスリリースの記載方法は既存株主にとっては正しくありません。
なぜなら、自己株式の処分によって、現に議決権の総数は増加し、現に自分の議決権割合は減少するからです。
そもそもなぜプレスリリースに発行済株式総数の推移を記載しているかと言えば、発行済株式総数が議決権の個数を表すからです。
発行済株式総数の増加によって、既存株主の議決権割合に大きな変動が生じるわけですから、この記載は当然のことでしょう。
それなのに、自己株式の処分というのは、どういうわけか、その処分の結果議決権の個数が増加するのです。
つまり、発行済株式総数は増加しないのに議決権の総数だけは増加する、という矛盾したことが起こるわけです。
これは、自己株式と呼ばれるものが根底からなる矛盾を抱えていることが原因である、と言わざるを得ないと思います。
この問題の解決方法は、「自己株式は取得し次第全て消却する(自己株式は全面的に保有禁止)」という考え方しかないと思います。
それから、株式会社神戸製鋼所はこの記事やプレスリリースの通り増資を行うと共に、配当の支払いも計画しているようです。
増資に関しては、
>払込期日
>平成26年2月26日(水)から平成26年3月4日(火)までの間のいずれかの日。ただし、発行価格等決定日の5営業日後の日とする。
>なお、払込期日は公募による新株式発行における払込期日と同一とする。
となっています。
つまり、増資の実施日は2014年2月末(から3月初旬にかけて)、とのことです。
そして、配当に関しては、「平成26年3月期
配当予想の修正に関するお知らせ」の通り、「平成26年3月期の配当」となっています。
つまり、配当の支払日は2014年6月下旬となっています。
プレスリリースの「4.調達資金の使途 (1)今回の調達資金の使途」(7/10ページ)を見ますと、増資で調達した資金は、
>平成28年度末までに、860億円を「鉄鋼事業の収益力強化」と「鋼材事業の構造改革」に係る設備投資資金に、
>132億円を鉄鋼事業及びアルミ・銅事業における自動車分野での設備投資資金及び投資資金に、残額を長期借入金の返済に充当する予定です。
と書いてあります。
長期借入金の返済についてはともかく、設備投資資金となりますと、建設代金を前渡しする格好かと思います。
「平成28年度末までに、」との記載はありますが、実際の現金支出時期は、平成28年度末までにと言わず、
具体的には分かりませんが、平成28年の早い時期に支出自体は完了する、ということもあると思います。
グループ中期経営計画に基づきますと、現金の支出時期(現金を必要とする時期)はいずれにせよここ1年〜2年以内、といったところでしょう。
そしてそのための資金調達時期は今が最善であると判断したからこそ、2014年2月末に増資を行うことにしたわけです。
何が言いたいかと言えば、「今は経営上現金の需要が大きい時期なのだから配当を行っている場合ではないのではないか」、
ということを言いたいわけです。
増資を行いつつ同時に配当を支払う、これは財務上明らかな矛盾です。
増資を行うのなら配当は支払うべきではないでしょう。
また逆に、配当を支払う余裕があるのなら、増資は一切行うべきではないでしょう。
「配当は一切支払っていないがそれでも会社内に現金が不足しているから、他に手段がないので増資を行うことにした」、
というのが本来の資金調達・資金の使途の考え方ではないでしょうか。
@増資による資金の調達額
株式発行価格147円/株×総増加株式数(470,831,000株+103,919,000株+57,750,000株)
=929億7,750万円
A配当による現金の支出額
配当金額4円/株×発行済株式総数(自己株式を除く)(上記D=3,638,754,820株)
=145億5,501万9,280円
現金の「収入と支出」のみに着目すれば、増資による資金の調達額の15%以上を配当支払いに使ってしまう形になります。
配当支払いのために増資をするわけではないのですから、このような支出は避けるべきでしょう。
もちろん、配当支払いの原資は増資で調達した資金はなく当期純利益(利益剰余金)になりますが。
決算短信記載の業績予想「3.
平成26年 3月期の連結業績予想(平成25年 4月 1日〜平成26年
3月31日)」によりますと、
2014年3月期の当期純利益(連結ベースですが)の金額は650億円の予想です。
この650億円の中から配当145億円を支払うわけですから、増資で調達した資金を配当支払いに使うわけではないのは確かでしょうが。
ただ理屈の上では、既存株主の立場からすると、
「新株式を発行して増資を行うくらいなら配当は支払うべきではない」ということになると思います。
配当を支払わなければその分増資額(新株式発行数)は少なくて済むわけです。
貸借対照表の各勘定科目の価額が同じなら(資本金勘定と利益剰余金勘定のみが両者で異なる)、
新たに発行される株式数は少ない方が既存株主には有利、となるでしょう。
なぜなら、議決権の変動が少なくて済むからです。
逆に、貸借対照表の各勘定科目の価額が同じなら(資本金勘定と利益剰余金勘定のみが両者で異なる)、
会社は配当を支払い全く同じ金額だけ増資を行った方が債権者にとっては有利でしょう。
なぜなら、利益剰余金が減り(将来の現金の社外流出額が減少する)、なおかつ資本金が増加(弁済の引き当てが増加)するからです。
それにしても、株式会社神戸製鋼所の2014年3月期の当期純利益額は650億円(連結予想ベースですが)とのことです。
これほど多額の当期純利益を計上していけるのなら、増資はそもそも必要ないのではないだろうか、という気もしますが。
積極投資を計画しており、「当期純利益額−配当額」以上の資金需要が今後控えている、ということなのでしょうか。
2014年2月5日(水)日本経済新聞
■エービーシー・マート 今期末配当を2円増
(記事)
2014年2月4日
株式会社エービーシー・マート
期末配当予想の修正(増配)に関するお知らせ
ttp://www.abc-mart.co.jp/ir/pdf/140204.pdf
株式会社エービーシー・マートは、2014年2月期の配当を1株当たり30円に”決定”したとのことです。
プレスリースには、
>当社は、平成26年2月4日開催の取締役会において、平成26年2月期(平成25年3月1日〜平成26年2月28日)の1株当たり期末配当予想を
>25円から30円に修正し、1株当たり5円の増配を決議いたしました
と書かれています。
このたび配当金額を”決定”した会社機関は取締役会ということなのですが、
株式会社エービーシー・マートでは配当支払いの決議は株主総会決議によることになっていますので、
このたびの”決定”は、あくまで株主総会議案の内容を取締役会で決議した、という位置付けなのだと思います。
2013年5月14日
株式会社エービーシー・マート
第28回定時株主総会招集ご通知
ttp://www.abc-mart.co.jp/ir/pdf/2013/shoushu&web.pdf
>決議事項
>第1号議案剰余金の処分の件
それで、私はここでふとあることを思い起こしました。
先ほどの株式会社神戸製鋼所の増資及び配当支払いのコメントの中で、
当期純利益の金額が十分に大きいので増資は必要ないのではないか、と書きました。
元々、会社には発行可能株式総数(授権資本枠)などというものはなく、
会社は本来、新株式の発行にはその都度株主総会決議が必要であったわけです。
配当支払いにも基本的にはその都度株主総会決議が必要であるわけです。
そうしますと、株式会社神戸製鋼所のように、配当支払いを行いつつ当期純利益額との見合いで増資金額を検討・決定するという場合、
新株式の発行→株主総会決議が必要
配当支払い→株主総会決議が必要
当期純利益の金額(計算書類の審議)→?
という疑問がわくわけです。
つまり、株主は経営陣が提出した計算書類に対してどのような審議が必要であるのか、という疑問が思い浮かぶわけです。
この疑問は「計算書類に対する株主総会の権限とは何か?」と言い換えてもよいと思います。
計算書類と株主総会との関係について、今手元にあります会社法の教科書から引用します。
>審議事項
>株主総会で審議する事項には、報告事項と決議事項とがある。
>事業報告はどの会社でも報告だけで足りる。
>計算書類は原則として株主総会の承認決議を受けなければならない(438条2項)。
>しかし、一定の要件を満たす場合には報告事項となる(439条)
簡単に言えば、計算書類は株主総会の承認決議を受けなければならない、となるわけです。
現会社法前の旧商法においても、計算書類は株主総会の承認決議を受けなければならない、と定められていたと思います。
旧商法時の教科書の説明によると、株主総会における計算書類の承認の効果としては、
「計算書類が確定して、その内容が法律効力を有することとなる」、と解説されています。
逆から言えば、「計算書類を確定させその内容が法律効力を持つようにするために」株主総会において計算書類を承認する、となるわけです。
こう書かれると、確かにそれで正しいようにも思うわけです。
ただ、株式会社というのは「所有と経営の分離」が前提であり、
極端に言えば、株主が会社に顔を出すのは株主総会の時のみ、という前提で株式会社は運営されているはずです。
企業統治だ適正な財務報告だ、というのは別の会社機構によって担保されなければならないはずです。
そうしますと、「計算書類を株主総会で『承認』する」というのは会社運営上・会社機関上何か違うのではないだろうか、という気がします。
株主が会社に顔を出すのは株主総会の時のみであり、株主総会開催日である今日初めて株主は会社の計算書類を見た、という状態です。
「承認」という言葉は、「正しいことを確認したからそれでよいと言う」という意味でしょう。
今日初めて計算書類を見た株主に一体どうやってその計算書類が正しいと判断できるのでしょうか。
株主に「計算書類の承認」を求めるのは、「所有と経営の分離」が前提である株式会社の概念や理念、原理原則に反することでしょう。
普段会社にはいない株主には計算書類が正しいと判断・確認することはできません。
かと言って、もちろん会社の計算書類はデタラメでもよいというわけはありません。
株主のために、計算書類が正しいことを確認する人が必要でしょう。
それが本来の意味の「取締役」だと思います。
2014年1月9日(木)
に、会社機関のあるべき姿について書きました。
2014年1月9日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201401/20140109.html
「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の観点から見て、株主総会における役員選任はどうあるべきか (参謀案)」
この図で言えば、
計算書類を作成するのは、代表者(業務執行者)(Director)、
計算書類が正しいことを確認するのが、取締役(業務監督者)(Auditor)、
となると思います。
計算書類の作成はまさに業務執行です。
そして、その計算書類が正しいこと確認するのが業務執行の監督、ということだと思います。
つまり、2014年1月9日(木)
の図で言えば、「計算書類の承認」を行うのは株主ではなく「取締役(業務監督者)(Auditor)」なのです。
「計算書類の承認」を行ってもらうために、株主は「取締役(業務監督者)(Auditor)」を選任するのです。
計算書類に嘘があった場合、その責任はやはり第一次的には作成者である代表者(業務執行者)(Director)が負う(無限責任)ことになり、
嘘の計算書類を承認してしまった責任は、取締役(業務監督者)(Auditor)が二次的に負う(無限責任)、ということになるでしょう。
2014年1月9日(木)
に私が書いた図は確かに現会社法の会社機関や定義とは異なるのですが、
今も昔も「株主には計算書類の承認は不可能だ(そもそも株主が計算書類を承認するのはおかしい)」という点に違いはないわけです。
なぜなら、株式会社は所有と経営の分離が前提ですから、株主は普段会社にいないからです(※能力が低いからではない)。
そうしますと、株主としては、「提出された計算書類は正しい」という前提で計算書類を見て、適切な配当金額を決議するわけです。
納得のいく経営結果であれば、引き続き同じ人物に業務執行や業務執行の監督を行ってもらいたいと考え、
同じ人物を役員として選任することでしょう。
もし納得のいく経営結果であければ、今までとは異なる人物を新たに役員として選任することでしょう。
現実には、特に大きな議決権を持っている株主であれば、早目早目に(もしくは定期的に)会社の方に顔を出し、
会社や経営や業績の様子を聞いたりして、配当金額や役員人事を事前に考える(そして議案内容を提案したりする)ものでしょうから、
株主は株主総会招集通知が届いて初めて計算書類と配当金額と役員選任の議案を見た、ということは実際にはないと思います。
ただ、会社法制の枠組みとしては、「株主は計算書類の承認はしない」という前提があるのだと思います。
会社法(会社機関設計)は、「株主は株主総会開催日である今日初めて会社の計算書類を見た」ということであっても何ら問題ない、
という状態を担保しなければならないわけです。
そのための代表者(業務執行者)(Director)の選任であり、そして取締役(業務監督者)(Auditor)の選任である、
ということになろうかと思います。
そういうわけで、理論上は、計算書類は株主総会において「報告」すれば事足りる、という位置付けになろうかと思います。
「計算書類が確定して、その内容が法律効力を有することとなる」のは、理論上は、
取締役(業務監督者)(Auditor)が計算書類を承認した時、となると思います。
注意が必要なのは、「計算書類が確定して、その内容が法律効力を有することとなる」のは、
計算書類は株主総会において「報告」された時、ではないということです。
なぜなら、計算書類は株主のためだけのものではなく、債権者のためのものでもあるからです。
「計算書類が正しいこと」については、代表者(業務執行者)(Director)も取締役(業務監督者)(Auditor)も、
株主に対してだけでなく、債権者に対しても責任を負っているのです。
3月期決算の企業であれば、株主総会は6月末までに開催すればよいわけですが、
債権者の方は、債務が無事弁済されるか心配で4月になるとすぐ「昨年度の業績はどうでしたか?」と会社に尋ねるかもしれません。
その時、「はい、これが昨年度の弊社の計算書類です。代表者である私が責任を持ってこの計算書類を作成しました。
この計算書類はもちろん取締役が承認しています。この計算書類に間違いはありません。」
と言って、代表者は債権者に会社の計算書類を手渡すことでしょう。
債権者は正しいことが確認されている計算書類を見て、きっと安心することでしょう。
もしその計算書類がデタラメだったら、代表者と取締役は無限責任を負うことになるのですから。
安心した債権者は、今後ともこの会社と取引をしていきたいな、と思うことでしょう。
そういうわけで、代表者(業務執行者)(Director)と取締役(業務監督者)(Auditor)は本来債権者に対しても責任を負っているのだ、
という点を再度指摘しつつ、話を元に戻しますと、
簡単に言えば、株主は「報告」された計算書類は正しいのだ、という前提で会社や経営を判断してよいのです。
この文脈での「承認はしない」という言葉の意味は、「正しいということが前提だ」という意味です。
株式会社神戸製鋼所の事例で言えば、株主は計算書類に記載された当期純利益の金額は正しいのだ、という前提で、
当期純利益の金額との見合いで、新株式の発行(株式数や増資額等)と配当金額を株主総会で決議することになるわけです。
計算書類に対しては、株主は何ら承認のようなことはする必要はない(株主総会での審議事項としては「報告」のみ)、となるわけです。
自分で書いた質問に自分で答えるならば(理論上の解答ですが)、以下のようになります。
株主は経営陣が提出した計算書類に対してどのような審議が必要であるのか
→計算書類は報告事項なので、報告を受ける必要がある。
「計算書類に対する株主総会の権限とは何か?」
→”株主総会の権限”という言い方をするならば、計算書類に対する株主総会の権限とは「報告を受ける権利」となるだろう。
ただ、それは「報告を受ける権利」に留まる、と言わねばならないであろう。
なぜなら、計算書類は既に作成され確定したもの(既に決算期末日を過ぎているといった意味も含め)だからである。
純粋に経営の結果である計算書類に対し株主を含めた誰かが人為的に何かをする(数値の操作や粉飾など)
ということ自体がそもそもおかしいであろう。
計算書類の内容を変更する(その人物が望むような仕訳を切り直す)ことは、株主総会の権限には全く含まれないであろう。
また、計算書類は債権者のためのものでもあることを考えると、計算書類の作成・確定後(取締役による承認後)、
その内容が変更されるようなことは絶対にあってはならないであろう。
「期中に臨時株主総会を招集し事後的に計算書類の内容を変更する」、などと考えてみるととそのおかしさが分かるであろう。
「計算書類に対する株主総会の権限」というのは特筆するようなことは実は何もなく、敢えて言うなら「報告を受ける権利」であろう。
ただ、「報告を受ける権利」というのは、経営を委任している以上、株主としては当たり前過ぎる権利と言わねばならないであろう。
というわけで、株式会社神戸製鋼所の事例に関してコメントを書いていまして、
「そういえば、かつては計算書類が株主総会の承認事項だったっけなあ」と思い出しましたので、
理論面の自分の頭の整理も兼ねて、計算書類と株主総会の関係について書いてみました。
これは推測ですが、一番最初に制定・施行された明治三十二年商法では、計算書類は全く株主総会の承認事項ではなかったと思います。
いずれかの時期に、「計算書類は株主総会の承認事項である」と、いつものように商法が改悪された過去があると思います。