2014年1月23日(木)



2014年1月23日(木)日本経済新聞
東京ガス社長に広瀬氏発表 「自由化へ体制整備」
けいざいじん
広瀬 道明氏 (63)
視野広い生粋の戦略家
(記事)




2014年1月22日
東京ガス株式会社
役員人事について
ttp://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20140122-02.pdf

 



【コメント】
しっかり経営しておくれなはれ。
社長はんがしっかりしてへんと、東京ガスの株価はこうなるで。

「経営とは、総合力が問われる技術です。」 (「専務 島耕作」第5巻より)


社長になった以上はもう後戻りはできまへん。
うまいことやらんと、あの社長は何や、言われまっせ。

「株価が下がったら、株主は烈火のごとく怒るでしょう。」 (「専務 島耕作」第5巻より)

 


「東京ガスのここ10年間の値動き」



今度東京ドームに野球でも見に行こうぜ。

 

 



2014年1月23日(木)日本経済新聞
JFE 韓国・現代製鉄2%取得へ 現代グループ再編で
(記事)





【コメント】
簡単に言うと、現代製鉄が兄弟会社の現代ハイスコを吸収合併した、ということでしょう。
このたびの合併における消滅会社の株主であるJFEスチールが、合併の対価として、存続会社である現代製鉄の株式の割当て交付を受ける、
ということのようです(JFEホールディングス単体には関係はない)。
JFEスチールの仕訳はこうなるのだと思います。

(現代製鉄株式) xxx / (現代ハイスコ株式) xxx

JFEホールディングスは(仕訳なし)です。

合併前は現代ハイスコ株式の7.99%を保有していたが、合併により現代製鉄株式の約2%を保有することになる、ということは、
非常に大まかかに言えば、現代製鉄は現代ハイスコの3倍大きい、ということになると思います。
現代製鉄からすると、合併に際し、現在の発行済株式総数の3分の1に当たる株式数を新たに発行する、ということになります。
単純計算になりますが、合併により、現代製鉄の株式時価総額は現在の3分の4倍である約8,800億円になる、ということになります。

 

 



2014年1月21日(火)日本経済新聞
所在不明株主の保有株 企業の売却広がる 今年度38社
(記事)





2014年1月22日(水)日本経済新聞
■太平洋セメント 所在不明株主の株式売却
(記事)


2014年1月21日
太平洋セメント株式会社
所在不明株主の株式売却に関するお知らせ
ttp://www.taiheiyo-cement.co.jp/news/news/pdf/140121.pdf

 



【コメント】
私は今まで何回も、「所在不明株主の株式は、その株式自体を法的に無効にするため、会社が無償で取得すべきだ。」と書きました。
「所在不明株主の株式」の取り扱いについては、つい最近では2014年1月12日(日) に書きました。

2014年1月12日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201401/20140112.html

なぜ私が「所在不明株主の株式は、その株式自体を法的に無効にするため、会社が無償で取得すべきだ。」と言っているのかと言えば、
まず単純に、議決権を行使する人(株主)自身がいないわけですから、株主総会を招集しても定足数に達しない恐れが出てくるからです。
この場合、株主総会が全く機能しませんから、役員の選任から配当支払いまで、全く決議できないことになってしまいます。
会社が全く運営できない事態に陥ってしまうのです。
また、株主が所在不明の場合は株式が宙ぶらりんになります。
宙ぶらりんになった株式を、不透明な経緯で不測の人物が取得してしまうかもしれないわけです。
もちろん、株式会社では基本的には株主は誰に株式を売却してもよいわけですが、それはお互いの自由意思に基づいていることが必要である
わけでして、所在不明株主から株式を取得したケースというのは、とてもお互いの自由意思に基づいているとは言えないでしょう。
言うまでもないことですが、株式は会社に対する権利を表象するものですから、株式の管理は適切に行う必要があるわけです。
そういったことを考えますと、議決権を行使する人(株主)自身がいないというのは、会社にとって運営上極めて危険な状態であるわけです。
そういうわけで、私は「所在不明株主の株式は法的に無効にせよ(法手続きとしては会社が無償で取得する)」と言っているわけです。

 



会社法上は「所在不明株主の株式売却制度」というように、株式を「売却」すると条文には書いてあるようですが、
上場株式であればともかく、非上場株式の場合は簡単には売れません(株式の引き受け手を見つけること自体が極めて困難)。
実際には、「その株式は会社が会社自身にただで売却する」(=つまり、会社が無償で取得する)という以外ないと思います。
株主宛に発した通知または催告が継続して5年間到達しない場合のことを所在不明株主と呼ぶようですが、
株主総会は最低でも年に1回は招集しないといけないことを考えますと、現実には5年間などとても待てないかと思います。
基本的なこと言いますと、株主は株主総会で議決権を行使する「義務」があると思います。
本来、株主は必ず株主総会に出席しなければならないのです。
というより、株主は会社に出資(お金を投じてる)をしているわけですから、
言われなくても当然株主総会に出席し議決権を行使するはずなのです。
株主総会を欠席したり議決権を行使しない株主が異常(経済合理性に反する)なのであり、
また、株主の義務を果たしていないと言えるわけです。
その株主の原理原則から考えますと、株主総会における定足数の定めというのはそもそも不必要なものなのかもしれませんが。
所在不明株主と認定するまでの期間を短くするか、認定方法を変えるか、株主総会における定足数の定めを削除するかしないと、
株主総会の招集・運営・決議に支障をきたす恐れがあると思います。
株主にとって、議決権は文字通り権利であり、そして議決権行使は義務なのです。
より本質的なことを言えば、議論するまでもなく、株主の議決権行使は当たり前過ぎる話だと言えます。
国民にとって選挙権はただですが、株主にとって議決権行使には株式取得費用(=出資額)がかかるわけですから。
なぜ株主は物を言うのか。
理由は簡単です。
お金を出しているからです。
株主は会社に出資をし、経営者に経営を委任しているわけです。
株主が議決権を行使しないなどというバカな話はあるわけがありません。

 



このような「株主が所在不明の場合」や「株式を会社が無償で取得する」という点について、
旧商法ではどのような定めになっていたでしょうか。
「株主が所在不明の場合」についての定め自体が旧商法ではなかったような気がします。
それはおそらく、株式は他者への継承や相続といった形で誰かしらに引き継がれていくものであり、
株主が所在不明になるという状況というのは現実にはあまり考えづらいため、
旧商法立法当時はそのような状況は全く想定されていなかったからだと思います。
ただ、旧商法制定から110年以上が経ち、このような世の中になってしまい、
株主が死亡した場合、株式を相続するものが全くいないという状況が現に想定されるわけです。
そうしますと、株主がいない株式の取り扱いを現実的に考えないといけないことになったわけです。
旧商法下においても、様々な理由により株主がいない株式が生じてしまう事態というのは現にあったのではないだろうか、
とは思うのですが、そのような場合、実際には過去どのような取り扱いがなされたのか。
残念ながら、上場株式の場合も非上場株式の場合も、実際の事例は私は一例も知りませんが。
一応、他の株主が円満に引き受けるというようなことも考えられますが、やはり議決権の大幅な異動が生じ得るわけです。
そのような場合一番良いのは、その株式が無効になることだと私は思います。

 



このような「株式を会社が無償で取得する」という点についてより実務的な話をしますと、会社にとっては課税関係が問題になるようです。
正確に言うと、現在では「株式を会社が無償で取得」しても、資本等取引であると見なされ、法人税法上、益金は生じないのですが、
平成18年度税制改正以前(=旧商法下と同時期)は、「株式を会社が無償で取得する」ことは、
法人税法上、資産の譲受けに該当するため、会社は自己株式の時価と譲受金額との差額について益金を認識する
という考え方になっていました。
詳しくはこちらの論文が参考になると思います↓。


国税庁
税務大学校論叢66号
平成22年6月29日
自己株式の無償・低廉取得に係る法人税の課税関係
ttp://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/66/12/


私の見解を書きますと、「株式を会社が取得する」ことは資本取引なのですから、
法人税法上、益金は生じないという考え方が正しい(平成18年度税制改正以前の考え方が明らかに間違っていた)、となります。
ただ、平成18年度税制改正以前は「株式を会社が無償で取得する」と益金が生じていたことは確かだったわけでして、
そうしますと、旧商法下では、私が言っている「所在不明株主の株式は法的に無効にせよ(法手続きとしては会社が無償で取得する)」
という手続きは会社としては税務上の理由によりと取りづらかったのかもしれません。
また、旧商法下において、「所在不明株主の株式は会社が取得する」ということ自体が認められたのかどうかも論点としてあるかもしれません。
その点については条文からは判然としない、といったところなのでしょうか。
旧商法上の定めや解釈はともかく、改正前のように仮に「株式を会社が無償で取得する」と益金を認識するという定めだったのだとしても、
法人税法上は、例えば「所在不明株主の株式の無償取得に限っては益金を認識しない」という例外規定を設けるべきだったのではないか、
と思います(ひょっとしたら過去実務上はそうだったのかもしれません)。
まあ今となっては、法人税法が改正され「株式を会社が取得する」ことは法人税法上も資本取引となり、
晴れて(lawfully)益金は認識されないことになりましたのでどうでもいいことですが。