2013年5月19日(日)



2013年5月11日(土)日本経済新聞
郵政経営 政治が翻弄 社長に西室氏 異例の介入 民営化議論に一石
郵便・ゆうちょ銀・かんぽ生命 3会長 一斉退任へ
識者の見方
野村修也・中央大学法科大学院教授 国の介入限定を
池尾和人・慶大教授 郵政に非あった
(記事)





2013年5月14日(火)日本経済新聞 社説
重要なのは社長人事より郵政の将来図だ
(記事)



 

2013年5月18日(土)日本経済新聞
日本郵政、西岡会長ら13人 全社外取締役が退任
(記事)



 

2013年5月18日(土)日本経済新聞
解説 郵政社外取締役退任 事実上解任、異例の政府介入
(記事)

 

 



日本郵政の社外取締役、三村・御手洗氏起用へ

 日本郵政は新任の社外取締役に、元新日本製鉄会長の三村明夫氏(72)とキヤノン会長兼社長の御手洗冨士夫氏(77)を起用する方針を固めた。
元トヨタ自動車会長の奥田碩氏(80)ら13人の現社外取締役は全員退任する。22日の取締役会を経て、6月下旬の株主総会で正式決定する。
 政府は民主・国民新党政権色を一掃するため、既に坂篤郎社長(66)を更迭し、後任に元東芝会長の西室泰三氏(77)を起用する人事を固め…
(日本経済新聞 2013/5/18 13:30)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18008_Y3A510C1MM0000/

 

 

 

【コメント】
解任ついでに解約にも応じたらどうでしょうか。
預金口座の解約に応じない銀行なんて聞いたことないのですが。
重要なのは社長人事より銀行口座の解約だ。
誰に聞いても、「それは誰がどう考えたってゆうちょ銀行の方が100パーセント悪い」と言っていますよ。
もう何ヶ月経っていると思っているのでしょうか。

 

 

 


2013年5月11日(土)日本経済新聞
中国、創業者 交代期に アリババ、ハイアール・・・ 後継者の育成急ぐ
(記事)



 

2013年5月11日(土)日本経済新聞
日立、営業益5000億円に 今期18%増 建機や高機能材が回復 過去最高に迫る
(記事)



 

2013年5月11日(土)日本経済新聞
パナソニック黒字転換へ 今期最終、3年ぶり リストラ寄与 前期は7500億円赤字に
テレビなど採算改善カギ
(記事)

 

 


2013年5月10日(金)日本経済新聞
マツダ、営業益1500億円目標 海外で低コスト化加速
けいざいじん
マツダ次期社長 小飼 雅道氏 (58)
工場に精通、国際化推進
(記事)



 

2013年5月10日(金)日本経済新聞
スズキ、最高益更新 今期、純利益12%増 国内軽シェア「30%死守」 二輪立て直し課題に
(記事)



 

2013年5月10日(金)日本経済新聞
元ソニー久多良木氏 中堅ゲーム 社外取締役に マーベラス プレステ開発手腕 期待
(記事)



 

2013年5月10日(金)日本経済新聞
ソニー、TV黒字化見込み 今期純利益 16%増500億円 金融頼み 脱却カギ
(記事)

 

 



2013年5月10日(金)日本経済新聞
タカタ社長、非創業家で初 元ボッシュ日本社長 起用
デサント会長に伊藤忠の桑山氏
(記事)



 

2013年5月10日
タカタ株式会社
代表取締役の異動に関するお知らせ
ttp://www.takata.com/ir/pdf/news/kaichojinji_20130510_rv.pdf

 

 

2013年5月10日(金)日本経済新聞
■岩波書店 社長に岡本氏を内定
(記事)



 

2013年5月10日(金)日本経済新聞 公告
ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ
株式会社日本エスコン
(記事)

 

 



2013年5月18日(土)日本経済新聞
明治安田生命 社長に根岸氏 11人抜き
(記事)



 


2013年5月18日(土)日本経済新聞
CEOに聞く フィリップス、事業の絞り込み加速 利益・成長期待で選別 新興国、アフリカに注目
(記事)



 


2013年5月18日(土)日本経済新聞 公告
第28期決算公告
イオンリテール株式会社
(記事)

 

 



2013年5月15日(水)日本経済新聞
物言う株主、企業に圧力
西武、サーベラスと協議へ 前期の経常益最高 社外取締役を会社提案
ソニーに事業分離提案 映画・音楽など 米ファンド、実現は不透明
解説 米サード・ポイント 友好的な姿勢強調
(記事)



 


2013年5月17日(金)日本経済新聞
サーベラス 西武株、今月末まで TOB、締め切り延長
(記事)



 

2013年5月17日(金)日本経済新聞 公告
公開買付条件等の変更の公告についてのお知らせ
エス―エイチ ジャパン・エルピー
(記事)

 

 



2013年5月17日(金)日本経済新聞
■サントリー食品インターナショナル
東京・京橋に本社移転
(記事)



 


2013年5月15日(水)日本経済新聞
テンプHD社長に水田氏 篠原会長兼社長は会長専念
(記事)

 

2013年5月15日(水)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社ムサシ
公開買付開始公告についてのお知らせ
ニプロ株式会社
(記事)

 

 



2013年5月18日(土)日本経済新聞
フェイスブック上場1年 モバイル広告 けん引 株価は回復基調に
(記事)




 

【コメント】
人は、本当に重要なことはすべて、自分自身で気付いていかねばならない。
本当に重要なことを他人が教えてくれることはめったにない。

You must manage to notice everything really important all by yourself.
Seldom do others all the way tell you anything really important.

 

 


2013年5月15日(水)日本経済新聞 公告
ライツ・オファリングによる資金調達(募集新株予約権の無償割当て)についてのお知らせ
Jトラスト株式会社
発行価格等の決定に関するお知らせ
サムティ株式会社
(記事)



 

2013年5月14日
Jトラスト株式会社
ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ
ttp://www.jt-corp.co.jp/news/pdf/36/H25051403.pdf


(3)本ライツ・オファリングを選択した理由
@ 本ライツ・オファリング(ノンコミットメント型)を採用した理由
(b) ノンコミットメント型ライツ・オファリングを採用した理由
(5〜6/16ページ)


(関連コメント)

2013年5月14日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201305/20130514.html

 

 



【コメント】
新株予約権の問題点について一言付け加えます。

新株予約権の問題点は、「資金調達額が確定できない」という点が挙げられます。
企業は、「今後このような設備投資を行います、今後このような株式の取得を行います、今後このような事業拡大を計画しています」、
だから、「そのために必要な現金はこれだけです」、
と社外(既存株主や株式市場の投資家)に説明を行い、定まった金額だけ増資を行うわけです。
「いくらかは分からないがとにかく増資を行います」、といって増資を行う企業はないわけです。
投資家が新株予約権を行使するということは、企業の側から見るとそれは増資(新株式の発行)です。
新株予約権を行使するかどうかは投資家の自由であるわけですから、新株予約権を発行することは、企業の側からすると、
「使い道もないままに合計金額がいくらになるか全く分からない増資をするかもしれないししないかもしれない」
という状況になることと同じなわけです。
増資と言うのは使途と金額が定まってから行うものです。
使途も金額もない増資などありません。

また、新株予約権は様々な理由(単純に考えても権利が全く行使されそうにない条件であれば新株予約権を発行する理由がないでしょう)から
権利が行使されやすいような価額設定がなされることが非常に多い(極端な話権利行使価額1円など)わけですが、
それは裏を返せば、公正な価額(通常は市場株価、本来は簿価株価)よりも1株当たりの払い込み価額が極めて小さくなる、
ということを意味しているわけです。
それはつまり、既存株主がその分割を食う(議決権割合や1株当たりの利益額の低下)ことになりますし、
また、会計学的見地からすると、資本充実の原則に反する(債権者保護の趣旨に反する)、ということになるわけです。

このたびのJトラスト株式会社のライツ・オファリングに関して言えば、
コミットメント型ではなく「ノンコミットメント型」に決定した理由についてプレスリリースにはいろいろ書かれてあるわけですが、
何となくそれらしいことが書かれているだけであまり説得力のあることは全く書かれていません。

>コミットメント型ライツ・オファリングについては、発行会社にとっては、発行時点において調達金額が確定するという利点があります。

と書いてありますが、増資(新株式の発行)の際は、まさに「発行会社は発行時点において調達金額を確定させなければならない」わけです。
コミットメント型であれば確かに全新株予約権が行使されることが約束されているわけですから、その点ではまだましなのですが、
それでもそれ以前に、既存株主に有利な価額で株式を取得する権利を発行・付与することの是非を問うべきでしょう。

 


 



2013年5月18日(土)日本経済新聞
米ディッシュ、社債26億j発行
(記事)


 

May 16, 2013
DISH Network Corporation
DISH Network Places Offering of $2.6 Billion in Senior Notes
ttp://files.shareholder.com/downloads/DISH/2485492967x0x664713/1185837f-793a-4848-82f7-923b4d343976/DISH_News_2013_5_16_General.pdf

 

 


【コメント】
発行する26億ドルのうち、12.5億ドルは利率が5%の2017年満期の社債、残りの13.5億ドルは利率が6.25%の2023年満期の社債、とのことです。
発行する社債は「Senior Notes」(シニア債)ということで、倒産時の弁済順位が通常の社債よりも高いのだと思います。
気になるのは、超低金利の現在、利率が5%及び6.25%と、非常に高いことです。
額面金額よりも低い割引発行の結果このような利回りになるということなのだろうかと思いましたが、
額面金額の100%での発行と書いてありまして、債権者にとっては非常に有利な債券と言えるでしょう。
ただ、非常に債権者に有利な債券ですが、この債券を引き受ける資格があるのは一部の機関投資家のみのようです。
担保についてはプレスリリースには書かれていませんが、書かれていないということは無担保社債なのかもしれません。
無担保ですと、倒産の際は、「Senior」(上位、優先)の債権であっても満額返ってくるわけではないと思います。
それで通常の担保付の借入金や社債よりも利率が高いのかもしれません。

 


ところで、ここからは財務というより英語の勉強に近いのですが。
間違った内容になってしまうかもしれませんので、間違っている場合は申し訳ないのですが。

このたび発行する社債は「Senior Notes」(シニア債)ということですが、
この「note」というのは、債券というより、どちらかと言えば「手形」に近い意味合いがあるような気がします。
英文会計用語辞典をひきますと、「note」の意味として、@手形、A中期債券、B紙幣、とありまして、
このたび発行の「Senior Notes」(シニア債)のような中期債券の意味もちゃんと辞書に載っています。
それは分かっているのですが、「note」の元々の語源は、「知らせる物・事、印となるもの」であり、
「note」の基本的意味合いは「忘れないためにちょっと書き記しておくもの・こと」なのだと思います。
それらの意味合いから「note」には何か「短い、短期的な、短い期間の」というような意味合いが自然と含まれているのだと思います。
そういった意味合いから、商取引を行って一定の期日に決済を行う約束の証書、すなわち、「手形」という意味になったのではないでしょうか。
商取引の相手や日付や金額を書き記しているから「note」(手形)であり、
また、そこから、決済までの期日が短い手形に類する有価証券のことも「note」と呼ぶようになったのではないでしょうか。
つまり、商業分野では「note」の意味は第一には「手形」なのですが、意味を押し広げて債券に関しても言う場合にも、「note」の意味は、
中期ではなくむしろ「短期債券」なのだと思います(注:これは私の推測であり、辞書に載っている正式な訳語・説明ではありませんが)。
このたびの「Senior Notes」のような2017年満期や2023年満期の債券となりますと、短期どころか中〜長期の債券に分類されるでしょう。
私の方が間違っているかもしれませんが、中〜長期の債券を「note」と呼ぶのは実は間違いなのかもしれません。

 

 

 


2013年5月18日(土)日本経済新聞
サークルKサンクス 店舗くら替え相次ぐ 南九州112店ローソンに 収益力の格差響く
(記事)



 

【コメント】
なるほど、これは経済産業省からの行政指導が出ているようですね。
経済産業省としては、もうコンビニエンス・ストア業界を3社にするみたいですね。
人口減少・市場縮小は非常に速いペースで現在進行中であり、もはや将来の人口増加・市場拡大の見込みは完全にゼロなのでしょう。
人口減少・市場縮小をにらんでの産業統制というのも、これからの時代必要なのだと思います。
共産主義は壮大な社会実験だった、という言葉を読んだことがありますが、実は資本主義も壮大な社会実験だったのでしょう。
共産主義的要素が半分、資本主義的要素が半分、ということで社会は成り立っているのだと思います。
従来から、政府が金と口を出すことはどの産業・業界でもあったことでしょう。
MBAの教科書には政府の関与はけしからんと書かれていますが、過当競争により企業が必要以上に疲弊するようだと、
かえって国民や社会に悪影響が出るということもあるでしょう。
私は企業の財務面や会計面に関して、
「上場企業を前提に考えるから根本的におかしな話が出てくる。非上場企業ではこうですよ、簿価で考えるとこうですよ」、
といったことをよく書いていますが、
実は社会全体の事柄に関しても、資本主義を前提に考えるからおかしいと感じてしまう、ということがあるのだと思います。
半分は自然淘汰に任せる、半分は緩やかに産業統制を行っていく、といった塩梅が大切なのでしょう。
このたびの例で言えば、南九州のサークルKサンクス(のフランチャイズ地域運営会社)は、
ローソン店舗へと発展的解消を行っていっている、ということなのでしょう。
大切なのは資本主義ではなく、企業活動の後押しや国民の幸せや社会の安定、そう考えていかねばならないのでしょう。

 

 

 


2013年5月18日(土)日本経済新聞
ソニー、ストリンガー氏後任 議長に中外製薬 永山氏
(記事)




【コメント】
取締役会は「業務執行の監督を行う機関である」という点に重点を置いて考えるのなら、
取締役会議長は社外取締役が望ましい、ということになると思います。
特にソニーは委員会設置会社ですから、通常の監査役設置会社よりも「取締役会は業務執行の監督を行う機関である」という性質が強いでしょう。
委員会設置会社において社外取締役が取締役会議長に就任するのは、ある意味会社機関設計の原理原則に沿っていると言えるわけです。
それはそうなのですが、明治期以来の監査役設置会社のことを考えてもわかるように、
実際には代表取締役も取締役も実際には業務執行を行っている機関であるわけです。
だからこそ、取締役とは別に監査役という機関が設置されているわけです。
そして監査役というと、会社の規模に関係なくどの会社も人数は非常に少なく、
会社法上の定めから設置しているだけで実際には全く機能していない、という実態があるわけです。
何と言いますか、明治期以来、業務執行の監督を行うというのは実際には極めて難しいことなのだろうと思います。
委員会設置会社と呼ばれる制度の有効性に疑問の声があるのはそういったことが理由でしょう。
会社内部の取締役や監査役ですら業務執行の監督は実際には難しい、それなのに社外の取締役に業務執行の監督ができるのか、と。


 



概念上の話をすると、なぜ会社に業務執行を監督する機関を設置しようという話になったのかと言えば、
それは業務を執行する人物による違法行為を未然に防ごう、という思いがあったからなのです。
事後規制というより事前規制の意味合いがあるわけです。
業務を執行する人物が法律違反をして会社に損害を与えるのを未然に防ぐことがそもそもの狙いなわけです。
もちろんこの場合の損害というのは、法律を守った上での売上不振や赤字転落は当然含まれないわけです。
そうすると、業務を執行する人物がいざ法律違反をして会社に損害を与える状況というのは、確信犯的に犯行を行う場合しかないわけです。
監督する人物に分かってしまうような形で確信犯的に犯行を行う人はいないわけです。
当然隠れて犯行を行い口裏合わせをしたり資料などを隠したりするでしょう。
しばらくの間はその犯行に誰も気付かないでしょう。
その犯行が明るみに出るのは、犯行時や犯行前ではなく、犯行後であるわけです。
そういったことを考えると、業務を執行する人物による違法行為は、事実上、事後的にしか責任追及はできないことになると思います。
監督をする機関を設置し厳格な社内ルールを定めるなど、常日頃から違法行為に対する抑止力を効かせるのは当然にしても、
いざ取締役に対し会社への損害賠償請求を行うのは、どのように考えても違法行為が起こった後にならざるを得ないのです。
取締役の違法行為は全て確信犯的に行われることを考えれば、どのような手段を持っても違法行為を未然に防ぐことは不可能だと思います。
業務執行者に対しては、債権者や監査役や他の取締役が訴えを提起できますし、株主が株主代表訴訟という形で訴えを提起することもできます。
そういった、「何か違法行為が行われた場合は損害賠償請求が提起される」ということ自体が違法行為の抑止力になるのであって、
社外取締役の存在は違法行為抑止には効果は全くないと思います。
通常の監査役設置会社では業務執行の監督機関である監査役は機能していません。
同様に、委員会設置会社でも業務執行の監督機関である取締役会は機能していないでしょう。

 


 


2013年5月18日(土)日本経済新聞 大機小機
電子債権と中小企業の資金繰り
(記事)


 


【コメント】
中小企業が製造した部品や半製品の納品先の多くは大企業であるが、大企業はその代金支払いの手段として、
かつてのような手形の振り出しではなく、現在では銀行口座への振り込みにより決済している、と書いてあります。
記事の主旨としては、銀行振り込みだと期日前に現金を回収することができないため中小企業は資金繰りが窮屈になる、
したがって、大企業の側も中小企業も電子債権を積極的に利用していくべきだ、という内容になっています。
基本的には記事に書いてある通り、事前に設定した期日になってはじめて現金が手に入る銀行口座振り込みよりも、
手形や電子債権の方が現金化や裏書といった決済期日前の使い道としては柔軟性が高いと思います。
銀行口座振り込みであれは基本的には期日まで待つ以外ないわけですが、
手形や電子債権であれば、割引(売却=現金化のこと)するもよし裏書するもよし担保とするもよし、と様々な手段があるかと思います。

そうなのですが、財務面からの話をすると、「資金繰り」という観点からのみ言えば、記事の内容は少し違うかもしれません。
まず、大企業は代金支払いのために、期間3〜4カ月の手形を振り出していた(だから中小企業の資金繰りは厳しかった)という点ですが、
確かに、手形振り出しから決済まで3〜4カ月もかかると聞くと非常に長いと感じるかもしれませんが、
企業と言うのは大企業も中小企業も、
「仕入れ(買掛金)→生産・加工(棚卸資産)→販売(売掛金)→回収(現金)→仕入れ(買掛金)→・・・」(いわゆる正常営業循環)
という経常的な事業のサイクルを日々行っているわけです。
すると、売上債権の回収には決済まで3〜4カ月かかるとしても、仕入債務の決済にも自社は仕入先に3〜4カ月かけているわけです。
そうすると、同じ3ヶ月なら3ヶ月、4ヶ月なら4ヶ月というサイクルが売上債権側と仕入債務側とで一定なら、
資金の出と入りのサイクルも一定になります(もちろん売上債権額>仕入債務額です)から、
営業循環が正常なら、単に決済までの期日が長いというだけでは資金繰りが窮屈になるということはないのです。
もちろん、売り上げ先が倒産し売上債権の回収が不可能になりますと、そのサイクルが崩れますので資金繰りが窮屈になることはあります。
その場合はつなぎの資金として短期借入金を臨時に借り入れるということはあるでしょう。
しかし、ただ単に決済期日までの期間の長短は、営業循環が正常である限り、資金繰りとは関係ありません。


 



それから、代金支払い手段が手形の振出から銀行口座振り込み変わっていったという点に関してですが、
代金を支払う方は同じ期間後に代金を払うということで問題はないのだと思います。
手形の決済が3ヶ月後なら銀行口座への振り込みも3ヶ月後に行うというだけでしょう。
問題は、代金を受け取る方になると思いますが、銀行口座振り込みでは確かに柔軟性という点では割引や裏書はできなくなったとは言えるでしょう。
ただ、これも営業循環が正常であるなら、つまり、例えば3ヶ月後に代金を受け取るというサイクルができあがっているなら、
それほど大きな問題とはならないと思います。
今までどのくらいその企業が手形の割引や裏書を経常的に行ってきたかによるわけですが、
一般論としては、割引や裏書は正常な取引手段とはやや違うという側面はあると思います。
教科書論で言えば、手形の割引や裏書は「正常営業循環」の一つとはあまり言わないでしょう。
手形の割引や裏書を経常的に行っているとすると、それは仕入れや販売の取引形態に問題があるように思えます。
割引や裏書が行われる手形の割合が小さいとすると、決済手段が手形の振り出しから同じ期間後の銀行口座振り込みに変わったとしても、
マクロ的な視点で言えば大きな問題は生じないと思います。

また、臨時に手形の割引を行う時と言うのは、例えば別の販売先の一つが倒産し回収が不可能になった場合などが考えられるわけですが、
これも、他の信用の大きい販売先からの銀行口座振り込みが予定されていることを銀行側に説明できれば、
銀行はその信用の大きい販売先からの銀行口座振り込みを言わば担保に、短期借入金の貸し出しに応じてくれるはずです。
手形を差し入れて短期借入金を借りていたように、
信用の大きい販売先からの銀行口座振り込み予定を担保に短期借入金を借りることができるわけです。
そういったことを考えますと、割引や裏書は確かにできなくなりましたが、緊急時の資金繰りのことだけに関して言えば、
銀行口座振り込みに変わってもそれほど大きな問題は生じないと思います。
究極的なことを言えば、資金繰りが窮屈か余裕があるかは、決済手段が手形が銀行振り込みかで決めるのではなく、
日々の経常的な仕入れ活動や販売活動が正常に行われているか否かで決まる、と言えると思います。

 

 



参考までに(主に大企業の立場から見た場合の)キャッシュフロー計算書について一言言います。
大企業から中小企業(仕入元)への代金支払い(大企業は仕入債務、中小企業は売上債権を保有)に関して言うと、
仮に大企業が仕入元への代金支払い期間を延ばした(仕入債務の決済期間を3ヶ月から4ヶ月へ)とすると、
販売先である大企業側のキャッシュフロー計算書は期間を延ばしたその期のみ営業活動によるキャッシュフローが増加します。
理由は、期末時点の仕入債務が前期末よりも増加したからです(仕入債務の決済期間延長はキャッシュ面で有利)。
逆に、仕入元である中小企業側のキャッシュフロー計算書は期間を延ばしたその期のみ営業活動によるキャッシュフローが減少します。
理由は、期末時点の売上債権が前期末よりも増加したからです(売上債権の決済期間延長はキャッシュ面で不利)。

ところが、期間を延ばした「その次の期」からはどうなるのかと言いますと、
販売先である大企業側のキャッシュフロー計算書も仕入元である中小企業側のキャッシュフロー計算書も、
営業活動によるキャッシュフローの大きさは元に戻ります。
理由は、販売先である大企業側は、期末時点の仕入債務は前期末と同じになりますし、
仕入元である中小企業側も、期末時点の売上債権は前期末と同じになるからです。
仕入債務(売上債権)の決済までの期間を延ばしても、有利(不利)になるのは一時的であるとも言えるわけです。
お互い、新しい決済期間で新しい営業循環がはじまるだけ、と言えるわけです。
決済期間が長いか短いかでは資金繰りが窮屈か余裕は決まらないということが、キャッシュフロー計算書からも分かるわけです。

ついでに言えば、この流れについて深く考えていけば、決済期間を非常に短くする(例えば1週間や次の日)ことも可能と言えば可能であり、
極端な話全て現金決済にすることも可能と言えば可能とは言えるのでしょうが、
そこは何と言いますか、急激な決済期間の短縮は取引先とのトラブルを招くだけでメリットはほとんどない、ということでしょう。
企業は今後とも永続して取引を行っていくわけです。
取引先にも取引先の営業循環があり決済のサイクルというものがあるでしょう。
決済期間を短縮してもその期のみしかキャッシュ面では有利にならないわけですから、
そこはやはり長い年月をかけて出来上がっていった一定の商慣習に従って商取引は行っていくべきなのでしょう。

 

 


*日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の持株会社制移行の会計・財務面については明日書きたいと思います。