2012年11月15日(木)



2012年11月15日(木)日本経済新聞
セブン&アイ サッポロとPBビール 国内メーカー初、価格競争激化
(記事) 

 

 

 

【コメント】
セブンアンドアイのプライベートブランドであるセブンプレミアムにビールが新登場との事です。
通常のスーパーのプライベートブランド品のように低価格が売りのようです。
目下セブンプレミアムは絶好調なのですが、この新ビールはどうでしょうか。

私個人の予想なのですが、これはあまり売れないような気がします。
その理由は、安いビールを飲むと決めている層は箱買いするからです。
セブンイレブン(イトーヨーカ堂やそごうでも販売とのこと)での販売となりますと、当然1本ずつの販売になります。
若者層が夏にちょっと今日は暑いなと思ってコンビニにビールを買いに行くようなケースが想定されるわけですが、
1、2本のみ買うその時はあまり価格は気にしません。
自分の好みのビールをつまみと一緒に適当に買うでしょう。
逆に毎日ビールを飲むと決めている場合は24本(1箱)単位で休日に格安酒屋でまとめ買いします。
そちらが安いですから。
もちろん、セブンプレミアムビールが通常のビールと全く同じであれば誰でも安い方を買いますからお客さんはそちらを買うでしょう。
極端な話、休日にセブンイレブンに、セブンプレミアムビールをまとめ買いしに行くことすら考えられるでしょう。
しかし実際にはそうはならないわけでして、このたびのセブンプレミアムビールは通常よりも原材料費等を抑えた商品となっています。
私はまだ飲んだことありませんが、はっきり言うと味は通常のビールよりは劣ると思います。
このビールがどういった商品なのかは具体的には分かりませんが、発泡酒や第3のビールに近い感じのビールになると思います。

残念ながらこのビールはセブンプレミアムの中でも数少ない失敗作になると思います。

 

 

 



2012年11月15日(木)日本経済新聞 公告
第144期決算公告 東京書籍株式会社
定款変更に関する通知公告(全部取得条項設定に関する事項)及び全部取得条項付普通株式の取得に係る基準日設定公告
レッドホース株式会社
株券廃止公告
レッドホース株式会社
(記事)

 


 


【コメント】
レッドホース株式会社と言ってもほとんど情報はありません。
検索しても「レッドホースホールディングス」という会社(親会社)があるだけです。


グループ企業紹介
ttp://www.rhhdgroup.com/group/index.html

 

プレスリリースも一つもありません。


ニュースリリース
ttp://www.rhhdgroup.com/news/index.html


 



レッドホースグループがどういうことをしようとしているのは全く想像もつきません。
全部取得条項付普通株式を発行・取得するということは典型的に考えれば完全子会社化を行おうとしているのかな
と思うのですが、現時点ではレッドホース株式会社はレッドホースホールディングスの完全子会社ではないのでしょうか。
また、レッドホース株式会社は非上場ですので株主の数はそもそも少ないはずです。
そのまま相対で買えないのでしょうか。

株式の売却に応じない株主がいるから全部取得条項を付するという強硬手段に出ているのだとすると、
そもそもよくそのような株主がレッドホース株式を引き受けることになったなと思います。
どういう経緯でその株主はレッドホース株式を取得することになったのでしょうか、気になります。
もしくは、当初は円満な関係だったが、ここに来て仲たがいをしてしまったということも考えられます。
仲たがいをしているならさっさと株式を売却してさようならすればいいと思うのですが、
俺が一部でも持っていれば会社は完全に自由には動けないだろうなどと思っていて、一種の腹いせ行為なのかもしれません。
「新しい女のところに行くのなら絶対に離婚に応じない」という奥さんみたいですね。


これ以上腹を探っても仕方ありませんし、レッドホース株式会社に関する情報も全くありませんが、次のことだけは分かります。
レッドホース株式会社の普通株式の発行済株式総数や筆頭株主の所有普通株式数(議決権割合3分の2超は確実ですが)は分かりませんが、
公告に

>全部取得条項付普通株式一株につき七〇〇〇分の一株の割合をもって当社A種種類株式を交付する

とありますから、
2012年11月14日に開催された臨時株主総会時点でのレッドホース株式会社の「第二位株主」の所有普通株式数は

7,000株未満

である、ということです。

 

 

 


産業革新機構、米GaNパワー半導体ベンチャーに2,500万ドルの出資

産業革新機構(以下、INCJ)は10月1日、米国のGaNパワー半導体ベンチャーTransphormへ2,500万ドルを出資することを発表した。
あわせて、INCJの既存投資先である日本インターもTransphormへ出資する。
INCJでは出資の背景として、GaNパワー半導体は、電力損失を大幅に低減し、省エネ・環境改善に貢献できることから、
次世代パワーデバイスの一つと位置付けており、Transphormは競合他社に先駆け、
GaNを使用した電力変換製品の製品化の実現・販売に着手しているためとしている。
同出資による日本インターとTransphormとの資本・業務提携への支援を通じて、
INCJでは、Transphormの有する最先端GaNデバイス技術とノウハウと、
日本インターの有する製品設計開発販売・量産技術・品質保証サポートにおける実績と信頼性の融合を推進していくという。
(マイナビニュース 2012/10/02)
ttp://news.mynavi.jp/news/2012/10/02/005/index.html

 

 


2012年10月1日
日本インター株式会社
GaNパワー半導体を量産供給、パワーエレクトロニクスの新時代を築く
ttp://www.niec.co.jp/ir/pdf/news/121001-2.pdf

 


10/01/2012
Transphorm
Transphorm Raises $35 Million in Financing to Bring Breakthrough Energy Efficiency Technology to Mass Adoption
ttp://www.transphormusa.com/sites/default/files/transphorm/news/Transphorm%20Series%20E%20final_0.pdf

 


 



【コメント】
産業革新機構が海外の企業へも出資するとは知りませんでした。
そういうのがそもそもあるのかどうか知りませんが、海外の企業に出資するのは産業革新機構の本来の目的から外れることではないでしょうか。


その点は置いておくとして、半導体製造企業である日本インター株式会社が同業の米TransPhorm社に出資を行う、という内容になりますが。
プレスリリースを見てみましょう。



2. 資本・業務提携の内容等
(2) 新たに取得する相手方の株式の取得価額等
3. 資本・業務提携の相手方の概要
(2/2ページ)



資本提携で引き受けたのは「議決権のある優先株式」とのことです。
日米の用語の違いや言葉の定義の話であってあまり本質的な話ではありませんが、
このたび取得した株式は正確には「種類株式」と呼ぶべきものなのかもしれません。
普通株式と種類株式という大きな二種類の株式があって、その中で種類株式の方が様々な権利内容を設定できる株式になります。
優先株式というのは種類株式の一種なのです。
一般には、「議決権がなく通常その分優先して配当を受け取る権利がある株式」のことを優先株式と呼びます。

 


ちなみに、米TransPhorm社は実在する会社です。
地図にもちゃんと載っております。


「米TransPhorm社 場所」

 

 


何を言っているのかと言えば、2012年10月29日(月)にコメントした「米国Hennessey Capital, LLC」は存在していないようだからです。

 

2012年10月29日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201210/20121029.html

 

2012年10月29日
日立キャピタル株式会社
米国Hennessey Capital, LLC からの事業譲受けに関するお知らせ
ttp://www.hitachi-capital.co.jp/hcc/topics/2012/pdf/20121029-2.pdf
   


4.事業譲渡する会社(ヘネシー社)の概要
(2/2ページ)


こちらに書いてあります相手方所在地に行ってみました。

 

 



「米Hennessey Capital社 地図」1

「米Hennessey Capital社 地図」2



 

「米Hennessey Capital社 地図」3



 

「米Hennessey Capital社 地図」4



 

「米Hennessey Capital社 地図」5


 

「米Hennessey Capital社 地図」6





だんだん近づいてきました。道路右手の角に見えるのがHennessey Capital社(のはず)です。


「米Hennessey Capital社 写真」1

Hennessey Capital社(のはず)の建物を正面から見た写真です。


「米Hennessey Capital社 写真」2

何か様子がおかしいなと思って建物に近づいて見てみますと、何とこう書いてありました。


「米Hennessey Capital社 写真」3


「For Sale Lease」・・・。
「売却物件・賃貸物件」と書かれた看板が立っていました。
米Hennessey Capital社とは一体・・・。


日本インター株式会社も気を付けないと日立キャピタルのようにこうなるかもしれません↓。

「transferしたのならtransmitしてくれないとtransactionできないよ。」

 


 



さて、大株主の中には、あのグーグルのファンドの他、「Quantum Strategic Partners. Ltd.」というファンドがあります。
Quantum(クオンタム)と言いますと・・・、
VAIO(バイオ)の電源の中にも米TransPhorm社の半導体が使われているのだろうか、と思いましたら別のQuantumという会社でした。
Crystal Financialという基本的には資本ではなく「負債」の引き受けを中心業務としているファンドがあるのですが、
そのCrystal Financialグループでは資本への投資も行っているようです。
Crystal Financialグループでその資本への投資を担っているのが「Quantum Strategic Partners. Ltd.」という位置付けのようです。

 

Crystal Financial
Our Equity Partner
ttp://www.crystalfinco.com/about-us/our-equity-partner/

>Quantum Strategic Partners Ltd. is the lead investor in Crystal Financial.

 

 


このたびの資本提携よりも何よりも驚いたのは、実は日本インターの株主の状況です。
四半期報告書を見てみましょう。

 

第62期第2四半期報告書
ttp://www.niec.co.jp/ir/pdf/financial_report/62-2_houkoku.pdf


(6) 【大株主の状況】
@所有株式数別
A所有議決権数別
(14/32ページ)


筆頭株主が産業革新機構なのはとりあえず置いておくとして、やはり気になるのは横浜銀行ですね。
所有株式数別で第二位(14.31%)、所有議決権数別で第五位(2.32%)となっています。

なぜ所有株式数と所有議決権数が異なるかと言えば、横浜銀行は日本インターの優先株式を所有しているからです。
その優先株式には転換価額修正条項が付いた普通株式への転換条項が付いています。
普通株式と優先株式(特に普通株式への転換条項がついている場合)とでは1株当たりの重み(権利内容)が大きく異なりますから、
それぞれの単純な「株式数」では何も分かりません。
優先株式も発行している場合は、普通株式へ転換した後の「潜在普通株式議決権数別」の順位も開示すべきなのかもしれません。

 


 


銀行が株式を保有しているとなりますと、いわゆる「5%ルール」が問題になりますが、ここでの5%とは議決権割合です。
横浜銀行は表面上の株式数では14.31%も株式を保有していますが、議決権割合では2.32%にすぎないため、
横浜銀行は「5%ルール」には反していないわけです。
ただ、やはり何か釈然としませんよね。

議決権割合では2.32%にすぎないと言っても、優先株式には普通株式への転換条項がついているわけです。
転換条項の付いた優先株式は「将来どれくらいの可能性で普通株式に転換するのか」を考えないといけません。
まあこの点をどう考えるべきなのかがやはり非常に難しいわけですが。


株式が転換するという点について考え出すとキリがありませんが、一つの考え方として、
株式を引き受けた時点で出資者の目的というのははじめから決まっているのではないだろうか、と思います。
単純な話ですが、議決権が欲しいのであればはじめから普通株式を引き受けるだろうし、
多くの配当が欲しいのであればはじめから優先株式を引き受けるでしょう。
後になって「株式を転換する必要性」というのはそもそも生じ得るのだろうか、という疑問があります。
例えばいざ倒産となりますと普通株式も優先株式も残余財産はゼロです。
普通株式よりも残余財産を優先して受けられる優先株式を保有していても倒産しますと実は残余財産はゼロです。

経営が悪化した際、優先株式を普通株式に転換して大きな議決権を持ったところで、企業内の手許現金が増えるわけでもありませんから
実際は企業を再生させたくても何もできないでしょう。
再生のためには結局新たに現金を投入しなければならないことがほとんどです。
企業に新たに現金を投入しなければならない(投入すれば再生する)というのであればそこで新しく普通株式を引き受ければいいわけです。
新しく普通株式を取得し大きな議決権を得れば、従来から持っている優先株式をそこで改めて普通株式に転換することもいくらでもできます。
もしくは企業再生が目的で出資するならはじめから議決権のある普通株式で出資するでしょう。
要するに、何か経営の途中で優先株式を普通株式に転換することが必要になる状況というのが想定できないわけです。

 

 

 



政府から銀行への公的資金注入(優先株式の政府引き受け)も同じで、
途中で普通株式に転換する状況というのがなかなか想定しづらいのです。
再生のための政府による銀行経営への関与という明確な目的があるのなら、はじめから普通株式にすべきだと思います。
既存普通株主に配慮してというのならはじめから転換条項はいらないはずです。
政府の力なら後からでも(その時点では法律上の議決権は持っていなくても)優先株式を普通株式に転換できるでしょう。
なお、不良債権処理中も銀行には実は手許現金は豊富にあるから公的資金という現金は実は再生にはほとんど役に立っていない、
純粋に会計上の貸方(株主資本)を厚くする意味しかない、という点はここでは置いておきます。

そもそも転換条項はいらないはずだ、という点に関しては、いわゆる転換社債も考え方は同じで、
債券が欲しいならはじめから普通社債、株式が欲しいならはじめから普通株式、を投資家は引き受けるべき(はず)でしょう。
最初は債券が欲しかったけど途中から株式が欲しくなった、そんな投資家がいるでしょうか。
後から株式も欲しくなった社債保有者は(その社債を売却するかどうかはともかく)改めて株式も購入するだけでしょう。

 


最後に一言だけ追加します。
銀行が一般事業会社に影響を持ちすぎないようにとの考え(広範な事業に対する独占禁止)から「5%ルール」があるのだと思います。
現在ではルール制定時とは正反対に傘下の企業の経営不振が原因で株式の評価損を気にしなければならない時代になってしまいました。
当時は銀行が出資している企業が倒産するなど考えられもしなかったことでしょう。
「5%ルール」のみがそのまま変わらず、マクロ経済や事業環境のみが想定外の時代変遷を経てしまったことになります。
しかしそれでも、ルール制定時とはその趣は変わりましたが、
銀行が株式を保有してはならないというルールは今後とも守らなければならないと思います。
その理由は単純に預金保護です。
出資した企業が倒産したしたということは、預金者から預った預金を株式投資に使用してそのお金が返ってこなくなった、
ということを意味します。
預金者が銀行に預けたお金は返ってくることを前提としているように、
銀行も貸し出したお金は返ってくることをある意味前提としなければならないのです。
預金者から預った預金を株式に投資するなどもっての他です。
てめえの銀行で預った預金くらいてめえの銀行で保護しろ、他行が支払っている保険料を当てにするな、と言いたいわけです。