2012年11月7日(水)



2012年11月7日(水)日本経済新聞
新規公開株の横顔
キャリアリンク(6070) 大規模な人材派遣に強み
(記事) 

 

 


2012年11月7日(水)日本経済新聞
<新規上場承認>
◇東証マザーズ◇
UMNファーマ
事業内容=医薬品の開発・製造・販売
(記事)

 

 

 


2012年11月7日(水)日本経済新聞
日産、一転減益に 純利益6%減 3200億円 今期、中国販売の不振続く 中国減速 営業益600億円下押し
志賀COO 主なやりとり 「中国の役割大きい」「来客増へ努力」
収益源の分散、課題に
(記事)

 

 



【コメント】
書き出すと非常に長くなる内容になりますが。
日産の中国事業については2012年10月18日(木)にもコメントしました。

 

2012年10月18日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201210/20121018.html

 


やはり気になるのは「東風汽車有限公司」ですね。
日産のサイトに一応このようなページがありましたが↓。


>日産自動車と東風汽車公司は各々50%の出資を行い、新会社「東風汽車有限公司」を設立しました。
ttp://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/HERITAGE/NISSAN/DONGFENG/index.html

 

 

今日は有価証券報告書を見てみましょう。


2011年度 決算
有価証券報告書
ttp://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2011/fr2011.pdf

 

 



【関係会社の状況】
(1) 連結子会社
(12〜13/153ページ)



>東風汽車有限公司は合弁企業であるが、
>提出会社の連結子会社である日産(中国)投資有限公司に現地会計基準に基づき比例連結されていることから、連結会社としている。

 

「日産(中国)投資有限公司」というのは、日産の100%子会社であり、中国事業の統括を行っている企業のようです。
日産における「現地中間純粋持株会社」といった位置付けなのでしょう。
これは法手続きや出資の関係上便宜的に持株会社を現地に設置しているというだけで深い意味はないのだと思います。

そこで、東風汽車有限公司の会計方針なのですが、50.00%保有していて連結子会社とのことです。
率直に言えば、東風汽車有限公司の事業内容が全く分かりませんので、判断がつきません。
50.00%保有していても日産が意思決定を支配しているのならもちろん連結子会社でしょう。
しかし、東風汽車公司が東風汽車有限公司を既に連結子会社化しているなら
日産は東風汽車有限公司を連結子会社にも持分法適用関連会社にもできません。

 

東風汽車有限公司のことがあまりに分からないものですからこれ以上何ともコメントのしようがありません。
これで終わるのも何ですので、仮に東風汽車有限公司が日産の持分法適用関連会社だと仮定して会計の話を少しします。、
東風汽車有限公司が生産・販売した自動車は、日産の連結の生産台数・販売台数には含めてはいけないことになると思います。
連結(グループ全体)の生産台数・販売台数に含めてよいのは連結子会社のみであって持分法適用関連会社は含めてはならないと思います。
理由は、連結貸借対照表には持分法適用関連会社の生産設備(有形固定資産)は載っていないからです。
また、連結損益計算書にも持分法適用関連会社の売上高や売上原価(各種製造原価)は載っていないということも理由です。
持分法適用関連会社ということは他のどこかの企業の連結子会社ではない(他の企業に意思決定を支配されているわけではない)と思いますが、
持分法適用関連会社に対しては意思決定に重要な影響を及ぼすことができるとは言え、生産や販売の方針に対し支配まではしていないわけです。
生産や販売の方針に対し支配まではしていないという点や会計上も簡便法である「一行連結」に留めているという点も踏まえますと、
連結(グループ全体)の生産台数・販売台数に持分法適用関連会社は含めてはならないという結論になるかと思います。


 


東風汽車有限公司に対する会計方針よりも驚いたのは、実は次の記載です。

 

【関係会社の状況】
(2) 持分法適用関連会社
(13/153ページ)



>提出会社(間接所有を含む)が所有しているルノー株式はフランス商法により議決権の行使を制限されているが、
>提出会社が、定款あるいは経営管理契約を通じてルノー及び提出会社の経営上の重要事項に関する決定権限を有する
>ルノー・日産会社の議決権の50%を所有するとともに、同社の役員の半数を派遣していることにより、
>ルノーの財務及び経営又は事業の方針の決定に関する影響力を行使できることから、関連会社としている。

 

 


日産はなんと親会社であるルノーを持分法適用関連会社にしています。
こんな滅茶苦茶な話はないでしょう。
親会社は子会社の意思決定を支配している、そして同時に、子会社も親会社の意思決定に重要な影響を及ぼすことができる、
何かあたかも意思決定が永久循環しているようですね。
親会社が子会社に対し何らかの意思決定をしようとすると子会社はそれを否定できる(親会社の意思決定に重要な影響を及ぼすことができる)、
逆に子会社が親会社に対し何らかの意思決定に重要な影響を及ぼそうとすると当然親会社はそれを否定できる、
ということになってしまい、永遠に事が決まりませんね。
まるで、自分の尾を噛んで環を作る蛇「ウロボロス」のようは話になってしまいます。
親会社を持分法適用関連会社にすることなどあり得ません。

日産はルノーの子会社、日産はルノーを持分法適用関連会社にすることはできない、これが正しい会計方針だと思います。
仮に、日産のルノーに対する議決権が無視できないほど影響力を持ったものであるとするならば(表面的な議決権割合+最近の業績の優劣)、
ルノーは日産を子会社とすることはできずまた持分法適用関連会社とすることもできません(議決権を44.4%保有していても)。
日産としても、やはりルノーを(子会社はもちろん)持分法適用関連会社とすることはできないと思います。

その理由は2つ。
1つ目は、仮に日産のルノーに対する議決権が無視できないほど影響力を持ったものであるとしても
やはりルノーは日産の議決権を44.4%保有しているからです。
議決権44.4%というのは仮に経営面はおいておくとしても法律面では法的権利という意味で無視できないでしょう。
2つ目は、面白くもなんともない話ですが単純にフランス政府の御意向です。
フランス政府はルノーが日産の(子会社はもちろん)持分法適用関連会社となることを快くは思わないでしょう。
フランス政府のルノーに対する表面上の出資比率は置いておくとしても、大人の世界では、
ルノーに対してこの世で一番意思決定に大きく重要な影響を及ぼすことができるのはフランス政府でしょう。
日産がルノーを持分法適用関連会社とすることは、監査法人は認めてもフランス政府が認めないでしょう(まあこれは冗談ですが)。

 

 



結局のところ、一番いいのは、ルノーと日産は深い資本業務提携を行う間柄になることであって、
親会社だ子会社だ持分法適用関連会社だといった関係からは抜け出すことではないでしょうか。


日産は思い切ってルノーにこう切り出すべきではないでしょうか。
「親子会社の関係はもうやめにしようか」と。
「お互いの保有株式、お互いに売却し合わないか」と。
「もちろん今後とも深く資本業務提携は続けていこう」と。
「子会社じゃなくなるからと言って別に日産の社長兼CEOはカルロス・ゴーンのままで構わない」と。
「なぜならカルロス・ゴーンは参謀さんのお気に入りだからな」と。
まあ最後の台詞だけ冗談ですが。

 

 



20世紀末、日産が倒産の危機にあった時はいきなり子会社化するほどの第三者割当増資を引き受け日産に出資する意味はあったと思います。
ルノーの出資やカルロス・ゴーン氏を否定する人間は誰もいないでしょう。
ただ、ここにきて、両社の業績の推移を見れば、資本関係(出資比率)だけは見直した方よいのではないだろうか、と思います。
両社が共に日本国内の企業であれば、イトーヨーカドー(親会社)とセブンイレブン(子会社)が資本関係を見直して
株式移転によりセブン&アイホールディングスを設立したように、ルノーと日産も共同持株会社を設立する、という方法が取れます。
しかし、国をまたいでいると現実には共同持株会社の設立は不可能です。
イメージとしては「日産ルノーホールディングス株式会社」といった名称の会社を日本に設立できそうですが、現実にはできません。
法律面の話をすれば、株式移転の手続きにおいて、現日産株主には日産ルノーホールディングス株式を割り当てることができますが、
現ルノー株主に日産ルノーホールディングス株式を割り当てることができないと思います。
ルノーはフランス商法に基づき設立された会社だから、という理由になるかと思います。
株式移転に限らず、日本の会社法は日本国内の会社同士の権利義務関係について書かれたものであって、
国外のことは全く想定していない(国によって法律が異なるわけですから国外のことを国内法に織り込めるわけがない)、ということでしょう。
また、仮に現ルノー株主に日産ルノーホールディングス株式を割り当てることができると仮定しても、
フランスにいる現ルノー株主は日産ルノーホールディングス株式を日本の株式市場で売買しなければならないということになります。
日本語が堪能なフランス人はほとんどいないでしょう。
さらに、日産ルノーホールディングス株式を直接フランスの株式市場に上場させることができると仮定しても、
フランス語での手続きや書類整備のことなどが問題になってくるでしょう。現実的には非常に壁が高いと思います。
では「日産ルノーホールディングス株式会社」を日本だけでなくフランスにも別途設立したらどうかと言いますと、
もはやそれは経営統合でも共同持株会社でも何でもないでしょう。ただ単に異なる同じ名前の二社があるというだけです。

無理をすれば例えば、日本の「日産ルノーホールディングス株式会社」がルノー株式50%、日産株式50%を保有する
純粋持株会社(東京証券取引所に上場、株主は現日産株主)、
フランスの「日産ルノーホールディングス株式会社」(フランス語は分かりませんが)がルノー株式50%、日産株式50%を保有する
純粋持株会社(フランスの証券取引所に上場、株主は現ルノー株主)、
という二社を考えることはできなくはないかもしれませんが、
それはまさに異なる二社が異なる株式市場に上場しているというだけであり、経営上は経営統合でも一つのグループでも何でもありません。

日本の会社は日本の会社法に基づき設立され、フランスの会社はフランス商法に基づき設立される、
こう書くと当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、
このことは裏を返せば、少なくとも資本面での統合は国をまたいでは不可能だ、という冷徹な現実を意味しています。

 

 


日産・ルノー「もう親子会社の関係やめないか。日本とフランスにそれぞれ同じ内容の2つの純粋持株会社を設立しようかと考えているんだ。」
両社株主「それって猿真似したいってこと?私、そんな面倒くさいことパスだから。株主総会で否決させてもらうわ。」

 


プレゼンテーション資料


メディアセッション
ttp://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/PRESEN/2012/20122nd_presentation_178_j.pdf


アナリストセッション
ttp://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/PRESEN/2012/20122nd_presentation_116_j.pdf


「挑」






日産の16年度までのグローバル市場占有率の目標は8%だそうです。もちろんそれはそれで素晴らしい目標です。
日産の安定的な営業利益率の目標は8%だそうです。もちろんそれはそれで素晴らしい目標です。
しかしそれは日々の地域地域の、各国内国内の事業運営があってこその目標達成だと思います。
いきなりグローバルがあるのではないと思います。
毎日の事業活動の合計がグローバルなだけです。言語の違い、文化の違い、商慣習の違いを理解せずして何がグローバルかと思います。
私は以前「連結では経営管理はできない(You can't manage with consolidated.)」と書きました。
今日はこう言わせてもらいます。

"You can't act globally." (人はローカルにしか動けない。)