2012年10月1日(月)



2012年10月1日(月)日本経済新聞 私の履歴書
根岸 英一 @ ノーベル賞
有機化学一筋で成果 1000万人に1人の「夢」 現実に
(記事) 

 

 

 

【コメント】
今日から、ノーベル化学賞受賞者・根岸英一氏の「私の履歴書」が始まりました。
学問を考える上で参考になることも多いかと思いますので紹介していきます。

 


 


2012年10月1日(月)日本経済新聞
総裁人事 透明性訴え 英中銀、異例の公募 政府の裁量 なお重く
(記事)



 

2012年10月1日(月)日本経済新聞 アジア企業 戦略解剖
ゴドレジ(インド)
低所得者層開拓へ新手法 格安冷蔵庫 量販店は通さず
(記事)



 

2012年10月1日(月)日本経済新聞
デリバティブ決済集約 東証・大証 来夏メド、利便性向上
(記事)


 


2012年10月1日(月)日本経済新聞
個人向け社会貢献債 JICA 発行継続
(記事)

 


 



2012年10月1日(月)日本経済新聞 公告
取消公告
エース交易設立準備株式会社
エース交易株式会社
積和共済会に係る債務終了の公告
積和共済会
(記事)

 


 

 

2012年10月1日(月)日本経済新聞
ユニゾン・キャピタル ソニーが譲渡の化学企業に出資
(記事)

 

2012年10月1日
ユニゾン・キャピタル株式会社
デクセリアルズ株式会社の株式取得に関するお知らせ
ttps://www.unisoncap.com/jp/news/tal2hm00000004r3-att/PressRelease_121001.pdf

 


 


2012年10月1日(月)日本経済新聞 グローバルオピニオン
米ハーバード大学教授 ダニ・ロドリック氏
新興国の成長に限界
(記事)




 

2012年10月1日(月)日本経済新聞 月曜経済観測
米ゴールドマン・サックス社長 ゲーリー・コーン氏
世界のM&A動向 長期的な拡大へ好機探る
(記事)

 


 


2012年10月1日(月)日本経済新聞 私の日経新聞
一休社長 森 正文さん
時代の流れつかむツール
(記事)




【コメント】
話すことは何もない。

 



2012年10月1日(月)日本経済新聞 経営の視点
「オール・ジャパン」は幻想か 半導体復権へ難路続く
(記事)





【コメント】
何から何まで税金投入で話をごまかそうとしていませんか。
日本の産業が、オール・ジャパンならぬ「All but junks」(ごみ同然)にならなけばいいがな、と思っております。

 

 


2012年10月1日(月)日本経済新聞
宗岡CEOに聞く 新日鉄住金、逆風下の発足 生産再編 高炉も視野 構造改革、前提設けず
「対新興国」戦略 鉄鋼の浮沈左右
(記事)

 

 



【コメント】
本日、新日鉄と住友金属が合併し、新日鉄住金が誕生しました。
サイトもリニューアルしました↓。

 

新日鐵住金株式会社
ttp://www.nssmc.com/

 


トップページに、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカーへ」と書いてあります。
そのこと自体はよいのですが、昨日、セイコーエプソンのコメントの中で、

>(財務会計上(制度会計上)は総合原価計算による開示しか認められてないのではないかと思います)。

と書きましたが、これは間違いです。
正しくは、

財務会計上(制度会計上)は「全部原価計算」による開示しか認められてない

です。

 

管理会計の教科書の記述を簡単にまとめますと以下のようになります。

 


全部原価計算・・・製造原価の全部が製品原価を構成する
直接原価計算・・・製品原価の中の変動費部分のみが製品原価を構成する。固定費部分は期間費用。(部分原価計算)


全部原価計算は伝統的な方法であり、制度計算として外部報告会計において採用されている方法である。
したがって、直接原価計算を採用している場合には、期末に全部原価計算に合致するように修正を施す必要がある。

 

伝統的な全部原価計算は、製造、販売、一般管理といった企業の職能を基準に原価を分解する。それぞれの原価には営業量の変化と係りなく
一定の固定費と、それとともに変化する変動費が混在している。そのため、売上高が変化したときに、
原価と利益がどのように変化するかは不明である。
したがって、全部原価計算の考え方による限り、原価・営業量・利益の関係を把握することは不可能である。
直接原価計算は、こうした欠点を解決する損益計算の方法として提唱されたものである。そこでは、原価を変動費と固定費に分解し、
売上高から変動費を引いて限界利益を計算し、さらに固定費を引いて営業利益を算出するのである。


「全部原価計算による損益計算と直接原価計算による損益計算」



外部報告のための制度原価計算として認められているのは全部原価計算であるから、直接原価計算を採用する場合には、
期末に全部原価計算へ修正することが必要になる。


「直接原価計算」とは変な名前だなあと思ってしまいますが、別の会計学の教科書にはその点について記載されていました。
本来は「変動費原価計算」とでも呼ぶべきだが、英語を誤訳した、とのことです。
ただ、直接原価計算は英語で「direct costing」ですから、誤訳というより元々の英語が間違っていたということでしょうか。
直接原価計算の直接は「直接費」とは関係がない点に注意が必要です(ひょっとして昔のアメリカの会計学の先生が間違えたのでしょうか。)。

「直接原価計算(direct costing)」

 

 


それと、個人的メモになりますが、本日のような組織再編の際の利益剰余金の引き継ぎについての会計処理方法についてまとめます。


通常の吸収合併→利益剰余金を引き継げない(資本金か資本剰余金として引き継ぐ)
完全子会社の吸収合併→利益剰余金を引き継げる
通常の吸収分割→利益剰余金を引き継げない(資本金か資本剰余金として引き継ぐ)
完全子会社への吸収分割→利益剰余金を引き継げない(資本金か資本剰余金として引き継ぐ)

 


本日の新日鉄と住友金属の合併についてですが、会計面については特に言うことはありません。


2012年6月12日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201206/20120612.html


自分で言うのも何ですが、(間違っていたら恥ずかしい限りですが)この時のコメントで本日の会計処理の解説は完成していると思います。
ここに書いています通り、本日の株式交換及びその直後の吸収合併により、

@ 新日鉄は負の営業権を計上している
A 新日鉄は住友金属工業の利益剰余金を利益剰余金のまま引き継いた

はずです。

 

 



最後に、法務面について今日気付いたことがあります。
実は非常に深い話になるのですが。


両社の発表等とは異なり新日鉄が住友金属をいきなり吸収合併した場合は逆に問題はないのですが、
本当に両社の発表等の通り一旦株式交換を経てその直後新日鉄が住友金属を行ったのだとすると、
これは会社法違反になると思います。
なぜなら、新日鉄は株主総会決議を経ていないからです。
「何言っているんだ、6月の株主総会でちゃんと吸収合併の特別決議も取ったじゃないか」と言われるかもしれません。
しかし、それはその時点(基準日で言えば2012年3月31日時点)での株主に対して吸収合併の特別決議を取っただけのことであり、
本日10月1日時点での株主(旧住友金属株主が新たに含まれます)に対しては吸収合併の特別決議を取っていないのです。
「何言っているんだ、住友金属でも6月の株主総会でちゃんと吸収合併の特別決議も取ったじゃないか」と言われるかもしれません。
しかし、それは旧住友金属の株主に対してあくまで住友金属という株式会社の株主総会決議を取っただけのことであり、
その時の住友金属の株主に株式交換後の新日鉄の吸収合併決議に対する議決権はないのです。
旧新日鉄と旧住友金属とは言うまでもなく別の法人なのですから、旧住友金属株主に旧新日鉄の議決権があろうはずがありません。
旧住友金属株主が旧新日鉄の株主になった(旧新日鉄に対する議決権を得た)のはあくまで本日なのです。
旧住友金属という株式会社で吸収合併の特別決議を経たことは、本日の新日鉄の吸収合併の決議の代替とはならないのです。

本来であるならば、実は、株式交換(ここまではOK)後、改めて新たな全株主を召集し株主総会を開催して
吸収合併の特別決議を取らなければならなかったのです。
確かに、株式交換をしただけですから(両社合計の)全株主のメンバーは6月のそれぞれの株主総会の時と変わらないかもしれません。
しかし、法的には、株式交換後の新日鉄では完全子会社である住友金属を吸収合併する特別決議を経ていませんので、
旧住友金属で吸収合併の決議を取ったといっても、それはそもそも無効なのです(架空のことに対して決議を取ったようなものです)。
確かに、合計すると株主のメンバーは変わりません。
しかし、株式交換後の旧新日鉄という一つの法人(株式会社)の株主構成は大きく変わってしまっているのです。
ですから、法的には、旧新日鉄は株主総会決議を経ずに旧住友金属を吸収合併したことになります。


 


このたびの吸収合併にケチを付ける意図は全くなく、純粋に学問上・研究上の分析のつもりでコメントを書いているだけなのですが、
本日の新日鉄による住友金属の吸収合併は会社法違反と言わざるを得ないと思います。
それも、株主総会決議を一切経ずに合併を行ってしまったという、会社の極めて大きな意思決定に関する瑕疵、ということになると思います。
新日鉄住金は、新会社(新日鉄が存続会社ですが)発足の初日(誕生の瞬間)からドデカい会社法違反をしてしまったことになります。
いきなり吸収合併するのではなく、一旦株主交換をはさんで改めて吸収合併を行うというスキーム自体は
会社法にも違反しませんし会計上も何ら間違った会計処理ではないと思うのですが、灯台下暗し、と言いましょうか、
株式交換後には実は新たな株主で株主総会決議を取らねばならなかったという単純な落とし穴があったように思います。

 

結論:新日鉄住金は会社法違反
理由:6月の時点の住友金属の株主に株式交換後の新日鉄の吸収合併決議に対する議決権はないから

 



注:


完全子会社を吸収合併する際には株主総会決議が必要か否かですが、この点については、2012年6月12日(火)のコメントでは、

>この点は少し自信がありませんが、少なくとも法的には完全子会社の吸収合併は取締役会決議で事足りるはずです。

と書きましたが、この時私の頭の中にあったのはいわゆる「簡易合併」でした。
完全子会社を吸収合併しても新株式は発行しません(対価がない。また、大まかにいえば純資産は増加しない)ので、
完全子会社の吸収合併はほとんどの場合「簡易合併」に該当すると思いますので、法手続き的には取締役会決議のみで事足りるはずです。
そして、新日鉄の吸収合併も完全子会社を吸収合併したわけですから、本日行われた吸収合併は「簡易合併」だったはずです。
そうだとすると、結果的に吸収合併の株主総会決議はいらなかったことになります。
上では「新日鉄住金は会社法違反」と過激なことを書いてしまいましたが、本日行われた吸収合併が「簡易合併」だったのなら、
結果的に新日鉄住金は会社法違反ではありません。
また、本日の新日鉄の法手続きとしては、株式交換後改めて住友金属の簡易合併の取締役会決議を取ったのだと思います。


まあ、結果として会社法違反ではないということになるかと思いますが、ひょっとしたら”結果として”ではなく、
はじめから合併契約承認の決議は両社とも実はいらない(株式交換契約承認のみでよい)ことは両社関係者は分かっていていたのかもしれません。
株主総会の場でちょっと悪ふざけをしてみた確信犯と言ったところでしょうか。

 

注意が必要なのは、本日10月1日時点で、旧住友金属の役員(の一部)は新日鐵住金株式会社の役員になっているということです。
これは、6月の新日鉄の株主総会で「第6号議案合併に伴う取締役5 名選任の件」等の決議を取っているので選任は法的に有効なのです。
役員の新たな選任に関しては今日改めて株主総会を開催して役員選任の決議を取らなくても法的に問題ありません。
吸収合併は簡易合併に該当しない場合は今日改めて株主総会決議を取る必要があったわけですが、役員の選任は6月の決議で有効、となります。


2012年10月1日付 新日鐵住金株式会社 役員体制
ttp://www.nssmc.com/file.jsp?id=29731

 

 


新日鉄住金は結果として会社法違反ではないということになったわけですが、
会社法違反をあくまで疑っており合併に納得できない人は「合併無効」の訴えを提起できます。

(提訴権者は主に両社の株主や債権者ということになりますが、会社法には「合併の効力発生日において」株主だった者、と書かれています。
ここで言う「合併の効力発生日」とは合併期日のことでありすなわちそれは本日10月1日のことです。
しかし、これは本来は株主総会決議日ではないでしょうか。
「法的に無効な合併契約承認の決議」が取られたのは株主総会決議日なのですから。
さらに、株主総会決議日以後、合併に失望して株式を売却した場合でも、株主としての地位は失ったことになりますが、
原告としての地位は失わないのだと思います。)


合併の無効原因は合併手続きの瑕疵であり、新日鉄住金を仮に訴える場合は、具体的には
「合併契約につき法定の要件を満たす承認がない(合併承認決議の瑕疵)」、もしくは、
「簡易合併の要件を満たさないのにその手続きがとられる」、
といった点を主張することになるのだと思います。

 

 



参考までに、合併の無効に関する詳しいQ&Aをスキャンして紹介します。


「合併の無効について教えてください。」1


「合併の無効について教えてください。」2


「合併の無効について教えてください。」3


「合併の無効について教えてください。」4


まあ、仮に合併無効の確定判決が出たとしても、現実には新日鉄住金をまた新日鉄と住友金属に分割できるのか、という問題はあると思います。
「合併無効」の訴えを提起しても、実際には他の何らかの解決方法に向かうのではないかと思います。

 


え?私が原告の弁護士を務めてくれたら訴えを起こす?
そうですか。非弁活動でいいなら引き受けますが。
何せ、俺はスペイン国内でしか弁護士活動は行えないからな。

 

といつもの通り冗談を言って今日は終わります。