2012年8月28日(火)



豊田通商:仏CFAOの残り全株TOB実施へ−アフリカ事業強化へ

8月28日(ブルームバーグ):トヨタ自動車系の商社、豊田通商は仏商社、CFAOの取得済み株式以外の全株式に対して
1株37.5ユーロで任意的公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。アフリカ事業強化のため、少なくとも51%超の取得を目指している。
豊田通商の発表資料によると、同社は8月2日に仏PPRからCFAO株29.8%の取得を完了。
残り約70%を取得すれば1600億円規模の資金が必要な計算になる。PPRが保有する残り12.2%については、
すでに今回のTOBに同意しているという。今後は仏金融庁にTOBを申請する。
豊田通商の加留部淳社長は7月26日の会見で、買収の狙いについて、
西アフリカで強固な自動車代理店・販売店網を持つCFAOとの相乗効果でアフリカ事業を強化したいと指摘した上で、
TOBをかけて保有比率を増やす考えを示していた。保有比率は「最低でも51%以上にしたい」と話していた。
豊田通商・広報担当の小西守正氏は、過半数取得という当初の目標は変わっていないと前置きした上で、
TOBに際して株式取得の上限を設定できないため、想定以上の応募があることも考えられるとし、
全株取得のケースに備えて資金面の手当てをしているという。買収費用は自己資金と借入でまかなうとした。
豊田通商の資料によると、CFAOは仏PPRが保有する上場子会社で、売上高の6割を占める自動車輸出入事業のほか、
医薬品の卸売り事業や建機、エレベーターなどの販売・メンテナンス、IT関連のサポート事業なども手がける。
2011年の売上高は31億2370万ユーロ、営業利益は2億5630万ユーロだった。
一方、豊田通商は社債2000億円の発行登録書を関東財務局に提出した。有効期間は22日から2年間。
(ブルームバーグ 2012/08/28 17:57 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9GDVA6TTDT001.html

 


 



豊田通商、CFAOの全株式取得で完全子会社化へ
 
 [パリ 28日 ロイター] 豊田通商は28日、仏商社のCFAOの完全子会社化に向け、全株式の取得を目指すことを正式に発表した。
同社は先に、CFAOの29.8%株式を仏小売りのPPRから取得していた。
同社によると、残りの株式の取得額はPPRに支払った金額と同じ1株当たり37.50ユーロ。
PPRは、保有するCFAOの12.2%株式について豊田通商の取得案を受け入れる計画という。
豊田通商は、株式取得案を9月15日までにフランス金融市場庁(AMF)に提出する見込み。
(ロイター 2012年 08月 28日 16:32 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE87R04R20120828

 

 

 

2012年8月28日
豊田通商株式会社
豊田通商、取得済株式29.8%に加えCFAO社全株式に対し公開買付実施を決定
ttp://www.toyota-tsusho.com/press/2012/08/20120828-4051.html

 

 


【コメント】
CFAO社の筆頭株主であるPPR社はCFAO社株式を全部で42パーセント保有していたようです。
そのうち、まず29.8%のみを豊田通商に相対取引で売却したようです。
そしてこれからCFAO社全株式に対し公開買付を行っていくとのことです。
豊田通商としてははじめから完全子会社化を行うことを考えていたのだと思いますが、
なぜ一旦29.8%分のみを相対取引で取得するという方法を取ったのかは分かりません。
いきなり株式公開買付に入ってもよかったのではないだろうか、という気がします。


なお、なぜわざわざ二段階に分けてCFAO社株式を取得しているのかは分かりませんが、
上場株式であるCFAO社株式の相対取引での取得は29.8%分のみに抑えた理由は、
フランスの金融商品取引法では「上場株式を30パーセント以上取得する際は株式公開買付を行わなければならない」
と定められているからだと思います。
そうでなけば、豊田通商はPPR社が保有しているCFAO社株式42パーセント分を一度に全て取得していたはずです。
PPR社保有の分ですら二回に分けて取得しているということはそういうことだと思います。
ちなみに、日本の金融商品取引法では「上場株式を3分の1超取得する際は株式公開買付を行わなければならない」と定められています。
仮にCFAO社が日本の証券取引所に上場している企業であれば
豊田通商はPPR社から相対取引で3分の1(33.33パーセント)以下まで一度に取得できたわけです。

 


 



国をまたいだM&Aと言えばこのような記事がありました↓。

 


仏ボロレ、電通に英イージス株を追加売却
 
 [パリ 16日 ロイター] フランスのボロレ・グループは16日、英国の広告大手イージスの持ち株5%を電通に
約1億7800万ユーロで追加売却したと発表した。
 ボロレは7月、15%のイージス株を電通に約5億3500万ユーロ(6億6142万ドル)で売却した。
これは電通によるイージス買収の一環。ボロレは残りのイージス株6.4%も電通に売却すると付け加えた。
(ロイター 2012年 08月 17日 09:24 JST )
ttp://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPTK821703320120817

 

 

 

参考


2012年7月13日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201207/20120713.html


 



電通は英イージスをはじめから完全子会社化する目的で株式公開買付を行っているかと思いますが、
日本とは制度が異なるとはいえ、公開買付期間中に株式の追加売却(追加応募)が行われるというのは何か変な感じがします。
電通からのプレスリリースを読みますと、ドイツの連邦カルテル庁による承認を受けたので、
英イージス株式を仏ボロレ・グループから追加取得することが可能になった、と書かれています。
仏ボロレ・グループはさらに保有する残りのイージス株6.4%も電通に追加売却する予定とのことですが、
各国の承認を受けるに従い「仏ボロレ・グループから」電通が取得可能な株式数が段階的に増えていくというのも変な感じがします。


というのは、仏ボロレ・グループからの取得する5パーセント分の英イージス株式も、
一般株主から取得する5パーセント分の英イージス株式も、どちらも完全に同じだからです。
英イージス株式1株は誰が持っていてもその権利内容は同じです。
同じ普通株式であれば議決権や配当を受け取る権利に一切違いはありません(会社法における株主平等の原則)。
仮に各国の独占禁止法に触れるようなことがあって電通が保有する議決権割合に制限が加えられるとしても、それは、
「誰々からは何パーセント分だけ取得してよい」という制限の仕方ではなく、
「電通は全株式のうち(全株主から)何パーセント分だけ取得してよい」という制限の仕方にしないといけないと思います。
それが金融商品取引法における株主平等の原則の意味だと思います(結局それが株式公開買付ということではないでしょうか)。