2012年8月23日(木)
[東京 23日 ロイター] 東京証券取引所TSE.ULは23日、経営統合に向けた大阪証券取引所への株式公開買い付け(TOB)が
成立したと発表した。
両社は、今秋に開催予定の臨時株主総会で統合の了承を得ることができれば、2013年1月1日付で
統合持ち株会社「日本取引所グループ」を発足する予定。統合で誕生する取引所は、
上場企業の時価総額ベースで世界で3番目の規模の取引所グループになる。
東証は、大証の株式を1株当たり48万円で7月11日から8月22日までの30営業日、TOBを行っていた。
TOB成立の条件は、下限が大証の発行済み株式総数の50%、上限を66.67%としていたが、
実際にあった応募株数は79.6%と、上限を上回った。
東証の斉藤惇社長は23日、今後も「統合実現のため着実に準備を進める」とのコメントを発表した。
(ロイター 2012年
08月 23日 16:20
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE87M03820120823
東京証券取引所グループは23日、大阪証券取引所株に対し実施したTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。
成立条件である議決権の過半を超える、21万5057株(議決権の79.6%)の応募があった。
TOBが成立するかどうかは東証と大証の統合に向けた関門だった。
来年1月に予定する「日本取引所グループ」の誕生に向け、前進することになる。
東証は7月11日から1株48万円で大証株のTOBを実施し、8月22日に締め切った。
結果的に、TOBの上限としていた66.67%をも上回る応募があった。東証は、上限を上回る部分は買い取らない。決済日は29日。
東証と大証は近く合併契約を締結し、本格的な統合準備に入る。11月に両社がそれぞれ開く臨時株主総会で、合併の賛否を株主に諮る。
ともに出席株主の3分の2以上の賛成が必要となるが、東証が今回のTOBによって66.67%まで大証株を取得することで、
総会で賛同を得るのは確実だ。
大証はいったん東証の子会社になった後、親会社の東証を吸収合併し、来年1月に持ち株会社「日本取引所グループ」が誕生する。
現物株市場の東証、デリバティブ(金融派生商品)市場の大証、決済などを担う日本証券クリアリング機構、
東証自主規制法人の4つの子会社がぶら下がる。
東証の斉藤惇社長は23日、「新取引所は日本経済の成長エンジンの役割を目指す」との談話を発表した。
大証の米田道生社長も「大証と東証の全社員が一丸となり『アジア・ナンバーワン』の取引所を目指していかなければ、
経営統合の意味はない」とコメントした。
TOB成立の可否は、3月末時点で大証株の64%を保有していた外国人投資家がカギを握っていた。
一部では買い付け価格の48万円が安すぎるとの不満も出ていたが、結局は多くが応募した。
大証の株価は48万円を下回って推移していたため、仮にTOB不成立となって株価がさらに下がれば、損失を被るとの判断も働いたとみられる。
どの大株主がTOBに応じたかは、今後提出する大量保有報告書で明らかになる可能性がある。
今回、TOBに応募しなかった株主は保有する大証株を、来年1月の統合までは大証株として売買できる。
統合以降は日本取引所グループ株として売買できる。保有し続ける株主の中には、統合新会社の株価が上がるとの期待もあるようだ。
一方、現在の東証の株主は吸収合併時に、1株につき大証株が0.2019株割り当てられ、新会社が上場する東証と大証で売買できる。
統合新会社では、現物株市場は東証に統合する計画だ。大証の有力銘柄が東証で売買できるようになる。
また、比較的売買が少なかった大証2部銘柄に投資家が注目する可能性もある。
(日本経済新聞 2012/8/23
23:13)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2301I_T20C12A8PP8000/
東証:大証TOB成立、株式上限67%取得で子会社化
8月23日(ブルームバーグ):東京証券取引所グループによる大阪証券取引所への株式公開買い付け(TOB)が成立した。
東証は大証株の67%を取得して子会社化する。地盤沈下する日本の金融市場が再生を目指して動き出したことになる。
東証と大証の23日付の開示資料によると、TOBには大証株の21万5057株、発行済み株式の79.65%が応募した。
東証は予定していた上限の17万9999株、66.67%を864億円で買い付ける。
TOBは7月11日から8月22日までで、成立の条件は大証株の過半数取得だった。
TOB成立を受け両社は秋に臨時総会を開催、株主の承認を得て経営統合して持ち株会社「日本取引所グループ(仮称)」になる予定。
実現すれば、世界の規制当局により2010年以降で失敗に終わったNYSEユーロネクストとドイツ取引所など、
2兆3500億円以上の取引所同士の案件以来、初の証券取引所の合併になる。
パインブリッジ・インベストメンツの前野達志運用本部長は、東証による大証へのTOB成立について
「日本の金融市場が米欧アジアと対抗していくための第一歩を踏み出すことができた」と評価した。
その上で「資本の効率的運営などを日本企業に働きかけることで、日本経済そのものを拡大させる役割を新会社に期待したい」と付け加えた。
大証株の終値は前日比1.1%安の43万7500円。TOB価格48万円を8.9%下回る。一時21日に付けた今年の最安値に並ぶ場面もあった。
需給面での買い圧力につながりやすいTOBが終了したことによる反動が出やすくなっている。
すでにTOBは成立したとの見方からTOB価格引き上げへの期待が後退しており、21日に43万2000円まで下げていた。
大証は9月30日を株主確定の基準日として、11月までに臨時株主総会を開く。合併承認には出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要だが、
東証がTOBでほぼ3分の2を取得することで承認されるのは確実となった。このため「統合への最大のハードルを超えた」
とドイツ証券の鳥居裕アナリストは見ている。
東証の斉藤惇社長は談話を発表し、TOBが成立したことは日本取引所グループの誕生に向けての「大きな前進」として、
今後は「統合シナジーの早期実現、最大化に向けて市場利用者の意見を頂戴しながら、これまで以上に積極的に取り組んでいきたい」としている。
野村総合研究所の大崎貞和主任研究員は、東証のTOB成立について「足元の株価に比べTOB価格が低くなく
早めに利益確定の売りを出しておこうという投資家が多かったのだろう」とみている。株式を持ち続けて成長に期待する選択肢もあるが、
期待には不確実性を伴うためとも解説する。
海外投資家
大証は海外投資家が株主の64%を占めており、TOBの成功には海外投資家の応募が不可欠だった。
海外では、米国のウェストチェスター・キャピタル・マネジメントやノルウェーのスカゲン・エーエスが応募したことを明らかにしていた。
ウェストチェスターのリサーチディレクター、ロバート・リンチ氏(ニューヨーク在住)は
「購入価格とTOB価格によるリターンを考えれば、われわれにとってリーズナブルな出口だった」と話している。
スカゲンのポートフォリオマネジャー、クリスチャン・ファルネス氏は、大証株以上に魅力的な投資先を見つけたことが
TOBに応募した理由だと明らかにした。その上で「統合した企業がそれぞれの単独業績より良くなってシナジーが出るかどうかは
まだ見ないといけない」とも述べ「取引所外取引の拡大で取引所の収益はチャレンジングな状況にある」と指摘する。
(ブルームバーグ 2012/08/23 17:29
JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-M973LT6KLVRK01.html
【コメント】
あーあ、の一言です。
成立してしまったものは仕方ありませんが、それでも今からでも、「株式取得の決済はしないで下さい」と言いたいくらいです。
この株式公開買付には何の意味もありません。
「大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併する」のになぜ東証が大証の議決権を持っている必要があるのでしょうか。
このような株式公開買付を行ってしまうと、世界中から「日本の証券取引所はバカだ」と言われてしまいますよ。
なお、株式公開買付期間中に株式公開買付を中止するもしくは株式公開買付成立後に決済を行わないという場合、
どのような罰則規定があるのかは私は法律は専門ではないので分かりません。
金融商品取引法に違反する行為かと思いますが。
公開買付開始前に決済に必要な現金は手元にあることを証明した上で公開買付に入らないといけない制度になっていますが、
決済に必要な代金は他の誰かが預っており公開買付開始後は「法的に決済をしないことはできない」というわけでもないと思います。
まあ中止もしくは決済をしないとなりますと株式市場に非常に大きな影響を及ぼすことにはなりますが。
罰金その他を支払えば今からでも決済をしないことは可能ではないかと思います。
株式市場を混乱させたというそしりを受けようとも、また、何らかの罰則を受けることになろうとも、
両証券取引所の将来を考えれば決済をしないことが両証券取引所にとって一番の戦略ではないかと私は思います。
参考
2012年7月31日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201207/20120731.html