2012年7月31日(火)
2012年7月11日(水)日本経済新聞 Q&A
東証、きょうから大証にTOB 今後のシナリオは 外国人株主の動向がカギ
(記事)
2012年7月10日
株式会社東京証券取引所グループ
株式会社大阪証券取引所株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.tse.or.jp/news/30/20120710_a.html
2012年7月10日
株式会社大阪証券取引所
株式会社東京証券取引所グループによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ
ttp://www.ose.or.jp/news/22042
【コメント】
とんでもないバカ、の一言です。
一体なぜ株式公開買付がここで出てくるのでしょうか。
どのように考えてもここで株式公開買付を考え付くのはあり得えません。
バカにしか思いつかない、いや、バカですら株式公開買付は思いつかないと思います。
この株式公開買付にどんな意味があるのでしょうか。全く意味が分かりません。
この世の誰に聞いても、ここで株式公開買付を行うというのは完全に意味不明だと必ず答えます。
財務面の話をすれば、合併を予定している企業に対して株式公開買付を行うことは、
現金の社外流出と合併後の自己資本の減少を招くだけで悪影響しかありません。
現金で合併相手企業の株式を取得することは無意味に現金が流出するだけです。
また、合併に伴い合併相手の株式は自己株式になるわけですから、
合併相手の株式を合併前に取得してしまうと大幅に自己資本が減少してしまいます。
合併することが決まっているなら、むしろ合併相手の株式は保有していない方が財務面では有利です。
@理想論としては、東京証券取引所が大阪証券取引所を吸収合併し日本取引所グループに商号変更する、です。
大阪証券取引所は上場廃止です。東京証券取引所も上場などしません。
A証券取引所を上場させるという間違った考えにあくまで固執するなら、
大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併し日本取引所グループに商号変更する、となるでしょう。
Bもう一つ考えられるのは逆さ合併です。
逆さ合併を行うといっても、大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併することと財務面は同じです。
逆さ合併の場合は、会社法上は東京証券取引所が大阪証券取引所を吸収合併します。
東京証券取引所が存続会社、大阪証券取引所が消滅会社です。
しかし、会計上は大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併したかのように考え、
存続する大阪証券取引所の財務諸表に消滅する東京証券取引所の財務諸表を合算し合併会社の財務諸表を作成します。
法的には大阪証券取引所は消滅するのですから自動的に上場廃止なのですが、
ここが逆さ合併と呼ばれる所以なのでしょうが、会計上は大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併したと考えますので、
引き続き合併会社である東京証券取引所(商号変更を行うのなら日本取引所グループ)が自動的に上場される形になります。
まさにテクニカルと言いましょうかトリッキーと言いましょうか。
プレスリリースには、
>本経営統合は、まず本公開買付けの実施により対象者を子会社化し、
>その後、対象者を存続会社、当社を消滅会社とする吸収合併(以下「本合併」といいます。
と書かれています。
対象者とは大阪証券取引所、当社=本公開買付けの実施者とは東京証券取引所のことです。
両社は統合後も上場を維持したいという方針です。
プレスリリースを読みますと、東京証券取引所が大阪証券取引所を子会社化後、
大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併する(大阪証券取引所が存続会社、東京証券取引所が消滅会社)、
とのことです。
プレスリリースが正しいとすると、これは逆さ合併ではなく、通常の合併です。
上記@〜Bで言えば、Aになります。
何といえばいいか分かりませんが、大阪証券取引所が東京証券取引所を吸収合併することが目的なら、
東京証券取引所が大阪証券取引所を子会社化する理由はどこにもないわけです。
逆さ合併を行うというのならまだ分かります(本当は分かりませんが。下記参照)。
逆さ合併を行うためには大阪証券取引所の株主総会で特別決議を経ねばなりませんから(株主総会決議が必要なのは東証も同じですが)。
しかし通常の合併を行う場合は、少なくとも東証が大証の議決権を持つ理由はどこにもないわけです。
東証が大証に対し株式公開買付を行う理由が一体どこにあるというのでしょうか。
というわけで何とまとめればいいのか全く分かりませんが、ここで株式公開買付を行うのは理解不可能の一言です。
合併が株価そのものには中立だと仮定すると、考えようによっては株式公開買付に応じた株主を不当に利することになる
とも言えるかもしれません。
一部の株主(株式公開買付に応じた株主)からのみ高い株価で株式を買い取ることと同じという見方もできるかもしれません。
株式公開買付後すぐに合併を行い同じ会社の同じ株主になるのだから、概念的には株主平等の原則に反する
という言い方もできるかもしれません
(株式公開買付には全株主が自由に応じることができるので法的には何の問題もないことはもちろん分かっていますが、
概念的には、という意味です)。
金銭面だけで考えるなら株式公開買付には応じた方が絶対得である、ということになると思います
(だったら応じればいいじゃないかという話ですが)。
蛇足になってしまったかもしれませんが、合併は株価には中立という仮定の合理性など、
この点についてはもう少し自分の中で考えたいと思います。
株式公開買付に応じた株主と応じなかった株主との間で差異が生じるのを避けるために配当を行わない、という判断もあります↓。
以下の例は、「株式公開買付に応じない方が応じる場合よりも配当を受け取れる分必ず有利となる」という分かりやすい例ですが、
ここまではっきりと得をすることが明らかではありませんが、イメージとしては似ている気がすると言いますか、
東京証券取引所の場合は株式公開買付に応じた株主を不当に利することになると概念上は言えるのかなと思いました。
2012年7月11日
株式会社鐘崎
平成25年2月期配当予想の修正及び株主優待制度の廃止に関するお知らせ
ttp://www.kanezaki.co.jp/kihon/images/oshirase_120711_2.pdf
まあ、実務上のことを考えれば、ここまで理屈をこねなくても、単純に、
実際には大阪証券取引所は合併に賛成しているわけですから実務上はいきなり株主総会を行っても株主が賛成するのは間違いなく、
合併の特別決議は通る(ことが今までの事例を見てもほとんど)じゃないか、ということにはなると思います(だからTOBは不必要だと)。
しかしここでは、仮に合併に反対の株主がいるとしたら?、株主の同意の意味とは?、といったことを考えて理屈をこねてみました。
今回の場合、株式公開買付の成立と合併の特別決議は同じ意味ですから、仮に合併に反対の株主がいるとしても株式公開買付は不必要、
となります。
他には、単純に、合併に反対の株主が金で株式を売りますよという考えの持ち主であれば
株式公開買付を行う意味は出てくる場合もあるかもしれません。
さらには、例えば20パーセント保有の株主が何が何でも合併には絶対反対という考えの持ち主の場合、
株式公開買付は行っても無駄でありいきなり株主総会で決議を取った方が早いわけですら、この場合も株式公開買付は不必要ですね。
まあ、条件設定を考えればキリがありませんが。