2012年8月12日(日)



2012年8月12日(日)日本経済新聞 そこが知りたい
リクルート社長 峰岸 真澄氏
上場目指す方針明言 狙いは? 海外M&Aへ選択肢拡大
(記事) 

 

 


2012年8月12日(日)日本経済新聞 経済史を歩く
トヨタ・カローラ発売(1966年) 大衆車の時代開く
豊かさへの渇望に答える
(記事)




 

2012年8月12日(日)日本経済新聞 創論
世界的ベンチャー 日本で生まれるか
米MITメディアラボ所長 伊藤 穣一氏
慶大院特別招聘教授 夏野 剛氏
経営助言できるVC 不在 伊藤氏
起業家、お山の大将脱せず 夏野氏
製品力で顧客をつかめ 伊藤氏
モバイルネット 商機に 夏野氏
(記事)

 



 


今日は、


2012年7月22日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201207/20120722.html


で書きました株式会社石井表記の記事及びプレスリリースについて少しだけコメントします。

 

 

2012年7月12日
株式会社石井表記
第三者割当による優先株式の発行、定款の一部変更、並びに資本金及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ
ttp://www.ishiihyoki.co.jp/ihhpsys2_open/HPSDDL01.php/20120712_other_1.pdf?tfile_no=22120792965503038&f=20120712_other_1.pdf
 
 

 



T.第三者割当による優先株式発行
1.募集の概要
(3)本件優先株式の引受契約上の実行条件について
(2/53ページ)




この部分は理解不可能かと思います。
株式会社石井表記が株式会社オガワに対し製造外注した太陽電池ウェーハの引き取り保証をしているのだと思います。
だからこそ、株式会社石井表記は「引取保証損失引当金」(プレスリリースには債務保証損失引当金と書かれていますが)を
計上しているのだと思います。
ですから、プレスリリースには、”当社のオガワに対する事前求償権”と書いてありますが、
これは正反対であり、正しくは「オガワの当社に対する事前求償権」だと思います。
したがって、事前求償権の履行として530百万円を支払うのは、
オガワから当社に対してではなく、正しくは「当社からオガワに対して」だと思います。


一言で言えば、プレスリリースの記述は債権者と債務者が正反対になっているかと思います。
プレスリリースの記述では、当社が債権者、オガワが債務者であるかのように読めますが、
正しくは、オガワが債権者、当社(石井表記)が債務者、です。

 


なお、株式会社石井表記は現在債務超過であり、その解消のためにリース会社及び銀行に第三者割当増資を引き受けてもらうことになりました。
また、債務超過ではありますが、銀行からつなぎの運転資金を借り入れており、債務不履行そのものはまだ起こしていない状態です。
債務超過ということは帳簿上の株主の持ち分はゼロであるということを意味します(だからこそ債務超過は上場廃止事由)が、
経営の悪化は一時的なものであり、当座の資金繰りさえ何とかなれば事業の再生は可能ということなのだと思います(だから一応上場維持)し、
またリース会社も銀行もそのように判断しているからこそ第三者割当増資を引き受けたのでしょう。
借入金の返済のリスケや支払リース料の猶予そのものは行われていないようですが、債務超過状態での債権者への第三者割当増資は、
一種の「私的整理」と言えるのかも知れません(デット・エクイティ・スワップの亜種とも表現できるかもしれません)。

 

 


平成24年8月30日以前の仕訳(平成24年8月31日より前の仕訳)

 

株式会社石井表記の仕訳


(債務保証損失引当金) 530,000,000円 / (現金預金) 530,000,000円

 

株式会社オガワの仕訳


(現金預金) 530,000,000円 / (引取保証金) 530,000,000円

 

 


プレスリリースが正しいなら、8月31日実行の増資の前に株式会社オガワに対し引取保証金を支払うことになると思います。
(ただ、「増資の前に」とのことですが、引取保証金を支払うだけの手許現金は十分にはありません。
直近の4月末の連結貸借対照表を見ますと、単純に手許現金の額だけを見ると1,653,702千円ありますが、
短期借入金が2,821,088千円もあります。つまり、つなぎの短期借入金を借り入れて何とか資金をつないでいる状態です。
また流動比率も68.6%しかなく、明らかに手元流動性(短期の安全性)が足りていません。)


平成25年1月期 第1四半期決算短信
ttp://www.ishiihyoki.co.jp/ihhpsys2_open/HPSDDL01.php/20120613_244_ab.pdf?tfile_no=28922693011309215&f=20120613_244_ab.pdf

 

 



平成24年8月31日の仕訳

 

株式会社石井表記の仕訳


(現金預金) 759,220,000円  /  (資本金) 379,610,000円
                           (資本準備金) 379,610,000円
(現金預金) 900,000,000円     (資本金) 450,000,000円
                           (資本準備金) 450,000,000円
(株式発行諸費用) 17,000,000円 (現金預金) 17,000,000円

 

 

三菱UFJリース株式会社の仕訳


(石井表記株式) 759,220,000円 / (現金預金) 759,220,000円

 

株式会社もみじ銀行と株式会社広島銀行の仕訳(まとめて書きます)


(石井表記株式) 900,000,000円 / (現金預金) 900,000,000円

 


 


平成24年8月中の仕訳 (増資で得た現金の使途ですからタイムマシンがない限り8月31日しかあり得ないと思います)

 


株式会社石井表記の仕訳

 

@ A種優先株式の払込金の使途

(債務保証損失引当金) 759,220,000円 / (現金預金) 759,220,000円


A B種優先株式の払込金の使途

(仕訳なし)

 


プレスリリースには太陽電池ウェーハ事業における、当社及び当社子会社である石井表記ソーラー株式会社のリース債務の返済として
486,907,619円、と書かれていますが、これはおかしいと思います。
ここで言っている”リース債務”というのがファイナンス・リースによる貸借対照表上のリース債務額を指すのなら、
このリース債務は返済できない性質のものです。
リース債務とは、ただ単にリース会計上出てきた名目的な債務に過ぎず、実際にそのような債務を負っているわけではありません。
リースに関して何らかの債務があるとすれば、それは「支払リース料」のみです。
「A B種優先株式の払込金の使途」の一部は、株式会社オガワへ(既に?)支払った引取保証金530,000,000円だと思います。

 

 



平成24年8月31日の仕訳

 

株式会社石井表記の仕訳


(資本金) 3,624,133,500円   / (その他資本剰余金) 3,624,133,500円
(資本準備金) 4,158,925,262円   (その他資本剰余金) 4,158,925,262円

 



プレスリリースには書かれていませんが、この後、その他資本剰余金を利益剰余金に振り替え、累積赤字を減少させるのだと思います。
累積赤字額は4月末時点で8,129,432千円ですから、このたびの資本金及び資本準備金の減少を行っても
(当四半期期に当期純利益が急回復しない限り)累積赤字がなくなるわけではありませんが。


(その他資本剰余金) 7,783,058,7623円 / (利益剰余金) 7,783,058,7623円