2012年5月29日(火)



米法律事務所デューイ・アンド・ルバフが破綻−景気が逆風

  5月29日(ブルームバーグ):米法律事務所デューイ・アンド・ルバフは、米連邦破産法11条の適用を申請した。
同社は今回の申請に先立ち、会長を解任。ほぼ全てのパートナーが同社を去り、債権者側は未払い資金の回収を求めて訴訟を始めていた。
ニューヨークに本社を置くデューイがマンハッタンの連邦破産裁判所に28日提出した申請書類によれば、負債は2億4500万ドル(約195億円)、
資産は1億9300万ドル。同社は破産手続きをした米大リーグのロサンゼルス・ドジャースの再建で助言していたことで知られる。
法律事務所2社が2007年に合併し誕生したデューイは、一時12カ国で1300人余りの弁護士を採用していた。
同社のリストラを担当するジョナサン・ミッチェル氏は申請書類の中で、現在は米国に150人の従業員抱えているが、
これも縮小を進め同社は清算されると説明した。
同氏は資料で、デューイが「米国史上で最悪の景気下降局面の1つが始まる時期に設立された。こうした悪い経済状況と、同社の急速な拡大と
パートナー報酬契約が、資本経費と報酬見通しを満たすキャッシュフロー(現金収支)が十分でない状況を生み出した」とコメントした。
(ブルームバーグ 2012/05/29 14:47 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-M4RHED6S972A01.html

 

 


 


【コメント】
デューイ・アンド・ルバフですか。
懐かしいですね。


スペインのマジョルカ大学法学部本類を卒業した後、
デューイ・アンド・ルバフのマドリッド事務所で勤務していたころを思い出します。
まだ研修生のころだったなあ。

 

マドリッド事務所でのデューイ・アンド・ルバフとの面接を思い出します。
面接官から、「君はマジョルカ大学法学部で成績は常に上位3%にいるらしいね。」と聞かれ、
「いえ、3%ではありません。3位以内です」と私は答えました。

デューイ・アンド・ルバフにいた頃、私が手がけた一番大きな案件がロス・イルミナドス社の会社分割です。
その後、ロシュとイルミナは再統合を行いました。

2012年1月26日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201201/20120126.html


デューイ・アンド・ルバフでは実に伸びやかに企業法務実務を積ませていただきました。
スペインではじゃんじゃん仕事をやっているなどとマスコミに派手に出そうになったのであわてて帰国しました。
僕が派手にやっているなどと言われては困ります。
また誤解されて。
僕はどうもいろんな面で誤解されやすい人間で。
今日も世間の誤解を解くためにコメントを書いているわけでして。

スペインの人は皆僕に感謝してるしスペイン国王も僕には一目置いてる。

 

 


というのはいつもの通り全て冗談です。

 

 



まじめにコメントしますと、仮に法律事務所の経営が行き詰ることがあっても、法的整理を行うことはまずないと思います。
というのは、理由は簡単で、「債権者の数が少ないから」です。

法律事務所には棚卸資産もなければ工場のような有形固定資産もありません。
物を仕入れませんし製造も行いませんし何か物を販売しているわけでもありません。
法律事務所というのはまさに人間の塊なのです。
当然、仕入債務もありませんし借入金や社債といった負債も基本的にはありません。
各種債務がないということはどういう意味かと言いますと、法律事務所に対する債権者がいない(少ない)という意味です。

そもそもなぜ法的整理に入るかと言えば、債権者間で利害関係の調整が難しいからなのです。
金額が大きかったり債権者の数が多ければ調整が円滑に進みません。
だから裁判所の管理下において利害関係の調整を進めていくのです。

ところが法律事務所は債務の額も小さければ債権者の数も少ないわけです。
利害関係の調整が難しいということはないわけです。
法律事務所の債務というと、オフィスの支払家賃くらいではないでしょうか。


記事には、

>マンハッタンの連邦破産裁判所に28日提出した申請書類によれば、負債は2億4500万ドル(約195億円)、資産は1億9300万ドル。

と書いてありますが、はっきり言えばこれは大嘘だと思います。
言葉遊びではありませんが、法律事務所はまさに人が資産です。
会計上の貸借対照表の資産の額は大手法律事務所でも極めて小さいのです。
同じ理由で負債の額も極めて小さいのです(設備投資を行うことはないわけですから借り入れを行う理由がそもそもない)。


アメリカは本当にフィクション続きですね。
フェイスブックの架空上場の次は大手法律事務所の架空法的整理ですか。
次はアメリカという国家そのものが清算されやしないかと思っております。