2012年3月20日(火)



奥田J.フロントリテイリング会長 パルコ株3割取得で影響力

 大丸松坂屋百貨店を傘下に置くJ.フロントリテイリングの奥田務会長は19日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、
関連会社化を予定するファッションビル大手のパルコをめぐり、イオンが2011年2月段階で12.3%保有する
パルコ株を手放さない方針を示していることについて「言及すべき立場にない」としながらも、
発行済み株式の33.2%を近く取得することで「十分に影響力を行使できる」と強調した。
 奥田会長は、パルコが持つファッションビル運営のノウハウを生かし、大丸東京店や梅田店など
ターミナル型店舗の顧客層の拡大を目指す考えを示した。さらに、パルコの経営について「開発に優れている」と評価し、
若者向け商業施設開発で実績を持つ同社の手法を積極的に取り込む方針を示した。
(サンケイビズ 2012.3.20 05:00)
ttp://www.sankeibiz.jp/business/news/120320/bsd1203200502002-n1.htm

 

 


 


2012年2月28日(火)日本経済新聞
パルコ株、一時150円高 Jフロントの「取得」好感
(記事)



 


パルコ(JP:8251) 3月19日(月)の終値

805 +7(+0.88%)
始値: 799 高値: 806 安値: 798
前日終値: 798 出来高: 157,600

「ここ1ヶ月間の値動き」


「ここ3ヶ月間の値動き」



 

2012年2月24日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201202/20120224.html

 

2012年2月25日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201202/20120225.html

 

 

 



【コメント】
日本経済新聞の記事はちょうど3週間前の記事なりますが。

 

森トラスト株式会社からJフロントリテイリング株式会社へのパルコ株式の譲渡価格は1株1,100円です。
キャプチャーした値動きの図を見て分かるとおり、譲渡価格は現在の株価よりも著しく高い価格です。
ここまで株価と譲渡価格に差がある場合は、移動する議決権割合の大小に関わらず、
株式公開買付の方が望ましいのかもしれません。


また、日本経済新聞の記事によりますと、Jフロントは2月24日の時点で「今後のTOB(株式公開買い付け)の予定はない」とコメント
していますし、同日のJフロントからのプレスリリースにも

>なお、一部報道にございました今後の公開買付(TOB)の予定や、他の株主等からの株式や新株予約権付社債等の取得の予定はございません。

と書かれています。

しかし、今日紹介しているサンケイビズの記事にもありますように、Jフロントはパルコに対し大きな影響力を行使して、
既存のJフロントの事業とパルコの事業を効果的に組み合わせて大きな相乗効果を得たいと考えているはずです。
そうしますと、このたびの33.2パーセントのみの株式取得で終わるとは考えづらい気がします。
持分法適用会社だけで終わるのではなく、子会社化しシナジーを発揮していきたいと考えるのが自然でしょう。
そうであるならば、日本政策投資銀行保有のパルコの新株予約権付社債やイオン保有のパルコ株式も取得していくことになります。
日本政策投資銀行保有のパルコの新株予約権付社債をいくらで買うのか
(社債としての簿価で買うのかそれとも普通株式に転換したと考えてその時価で買うのか)は判断が難しいのですが、
イオンをはじめとする他の株主が保有しているパルコ普通株式を取得する際には議決権割合を考えると必ず株式公開買付になります。
その時の買付価格は、やはり1,100円でないと株主間で不公平が生じるのではないでしょうか。
このたびの森トラストからのパルコ株式取得も含めて、パルコ株式取得の全てが一連の一つの取引なのですから。
森トラストからは高く買う、他の株主からは安く買う、というのは株式市場の原理原則に反すると思います。


 

 


それと追加で二点だけ。


今更ながら気付いたのですが。
2012年2月24日のパルコからのプレスリリースには”株式の売出し”という言葉が書かれていますが、
これは全然”株式の売出し”ではありません。
これはあくまで既存株主である森トラストと取得者のJフロントとの間の株式の譲渡に過ぎません。
パルコは新株式を発行したりは一切しません。
このたびの株式の譲渡はパルコにとっては少なくともキャッシュ面では何の変化もないのです(筆頭株主が変わるだけ)。


それから、パルコ株式のここ3ヶ月間の値動きを見て気付いたのですが。
このニュースが報道されたのは2月24日の午前中です。
ですから、2月24日に株価が上昇するのは分かるのですが、
値動きを見ると、2月22日から明らかに上昇傾向にあります。
発表の2日以上前から株価が上昇しています。
これはやはり”あれ”でしょうね。