2011年7月31日(日)


2011年7月31日(日)日本経済新聞
想定レート80円 体勢に 過去最高水準 企業、円高定着に備え
(記事)

 

2011年7月31日(日)日本経済新聞 きょうのことば
想定為替レート
(記事)

 

 

2011年7月31日(日)日本経済新聞 そこが知りたい
マツダ社長 山内 孝氏
低燃費ガソリン車になぜ注力? 新興国では10年後も主役
(記事)

 

 

 

 


【コメント】
円高基調はもう変わらない感じがしますね。
今後、10年経とうが20年経とうが30年経とうが、為替レートは1ドル=75円〜1ドル=100円の間を推移していくと思います。
例えば1ドル=105円になることはもうない、と思います。
それくらい、ドル通貨が米金融機関の低迷(サブプライムローン関連)と米国財政破綻の影響を受けているということです。
1ドル=90円ではもはや”円高”とは呼ばない時代になってきたのかもしれません。

 

 

マツダ社長のインタビュー記事に、

>国内の部材メーカーともドル建てで決済する

とありますが、この考え方を世界全体を見てもっと大きく捉えるならば、基軸通貨ドルに替わり、
世界中で貿易の際に使用する「決済専用通貨」を導入することと同じではないかという風に考えが及びます。
貿易の決済には基軸通貨ドルではなく、「決済専用通貨」を使用するわけです。
この場合ですと、為替レートの影響は小さくなるのかな、という気もします。
ただ、よく考えてみますと、自国通貨と「決済専用通貨」とのレートは一定であるとしますと、
世界中の全ての通貨同士の為替レートが一定ということになるわけですから、それは固定為替相場制に等しいことになるのかもしれません。
固定為替相場制ですと確かに為替レートの影響は完全になくなるのですが、
では具体的に1ドルいくらに固定するのかということになりますと、現実的には決められないというになろうかと思います。
固定為替相場制に戻ることは不可能だと考えますと、「決済専用通貨」を導入することも不可能、
ということになるのかもしれません。
基軸通貨ドルに替わる「決済専用通貨」の考え方は非常に有益だと思うのですが、
「1決済専用通貨」=いくらにするのかを現実的には決められないと思います。

 

 


記事について少しだけ指摘します。

 

>ドル建て部品調達などを売り上げと均衡させ、全社的にはドル変動の利益への影響をゼロにした東芝


これは一体何を言っているのでしょうか。
何をどんなに頑張っても、為替レートの変動が利益額に影響を与えないわけがありません。
例えば海外で100ドル儲けたとします。1ドル=100円ならば10,000円の儲け、1ドル=90円ならば9,000円の儲けになります。
ドルその他から円ベースに換算する時点で必ず為替レートの影響を受けるのです。
影響を受けないようには絶対できません。

 


>市場関係者によると、「輸出企業の想定レートに近い1ドル=80円付近に大量のドル売り・円買いの注文がある」(メガバンク)


どこの市場関係者か知りませんが、これは意味不明ですが。
話はむしろ逆で、1ドル=78円〜76円くらいになると、さすがに大量のドル買いが入るということだと思いますが。
円高傾向は定着しますが、1ドル=75円くらいが限度と見てドルを買う動きが出てくると思います。
その動きがわずかではありますが円安に向かわせる要因になると思います。
ここは人の思惑で為替レートが決まってくる部分だと思います。

 

 


>すでに主力車種マーチの生産をタイに移管した日産自動車


そんなことはありましたか。
記事は、タイで生産して完成車を日本に輸入する、という風に読めますが、
日本で生産して日本国内で販売する分には為替レートは全く関係ありませんが。
わざわざタイから輸入する分、輸送費がかかるだけでしょう。
タイで生産してタイで販売する、という風に、現地生産を増やすということはあるでしょう。
仕入れと売上高とが同じ通貨なら、円高になっても為替レートの影響がまだ軽減される(相殺されやすい)でしょう。

 


>ソニー 1円円高による利益の減少額=ゼロ


前も全く同じことを指摘したかと思いますが。
為替レートの影響がゼロになるということは絶対にありません。
日本国内の企業から仕入れ、日本国内で生産し、日本国内だけで販売をする場合のみ、
為替レートの影響は完全にゼロになります。


以前の、ソニーが為替レートの影響がゼロになったという記事についてのコメントはこちらです↓。
固定為替相場制に戻れたらな、と個人的には思いますが。
昨今の為替情勢を見ていて感じるのですが、変動為替相場制というのは、ある意味自国通貨を弱くした方がかえって有利なんですよね。
「通貨安戦争」はこれからも続くということでしょうか。


2011年6月5日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201106/20110605.html