2018年10月26日(金)



2018年10月26日(金)日本経済新聞
きょうのことば
USMCAとは 米・メキシコ・カナダ新協定、管理貿易色

▼USMCA 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に伴い、9月末までに米国、メキシコ、カナダの3カ国で合意した
新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(the United States―Mexico―Canada Agreement)」のこと。
呼称から「自由貿易(Free Trade)」の文言を外した。米国への乗用車輸入台数に数量規制を導入するなど、
管理貿易の色彩が強い。協定は16年間有効で、3カ国政府は11月末の署名を目指す。
米通商代表部(USTR)が公表したUSMCAの協定文は、序章を除いて34章の条文と、付属文書など計2千ページ以上。
「NAFTAとは構成も異なり、条文が入り組んでいるため読み込むのに時間がかかる」(通商関係者)
トランプ米大統領は1994年に発効したNAFTAが米国の貿易赤字を膨らませて国内雇用を奪ったと批判し、
見直しを看板公約に掲げていた。新協定は一時的に米自動車産業の保護につながる可能性があり、
トランプ政権は11月6日の米議会中間選挙に向けて、支持基盤である白人労働者層にアピールするもようだ。
(日本経済新聞 2018/10/26付)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXKZO36949850W8A021C1EA2000/

「USMCAに記載された主要部品域内生産に関する内容」




【コメント】
新聞紙を読んでいる時は、この英文と和訳が目には止まったものの、記事を切り抜いてスキャンすることはしませんでしたが、
後になって妙に気になりましたので、電子版のリンクと本文を紹介しているところです。
私が気になった英文と和訳は次のような文章です。


Each Party shall provide that a passenger vehicle or light truck is originating
only if the parts under Column 1 of Table A.2 of this Appendix
used in the production of a passenger vehicle or light truck are originating.

各当事者が、乗用車やライトトラックを現地製と規定するためには、別紙に記載された部品が現地製である必要がある。


最初英文を一読した時はいまいち意味が分からず、どういう意味なのだろうかと思いました。
和訳を読んでみると、「そうか、そういう意味になるのか。」、と思ったわけなのですが、
英文だけを読んでも和訳の意味になるとは自分では分からないなとやはり思いました。
英文中の"originating"は現在分詞であり、動名詞や形容詞ではないと思うのですが、
「現地製」という訳になるとはこの英文からだけでは私には分かりませんでした。
USMCAの趣旨・文脈を踏まえた意訳としてはこの英訳で正しいのでしょうが、逐語訳とはかなり意味合いが違っていると思いました。

 

 



2018年10月26日(金)日本経済新聞 私見卓見
楽天インサイト社長 田村篤司
個人データ活用、信頼が不可欠
(記事)





2018年10月24日
ヤフー株式会社
新しいBtoBターゲティング広告の提供を開始
〜 Yahoo! JAPANのデータと、ランドスケイプ社保有の企業データ・IPアドレスを掛け合わせることで
高精度な法人向け広告配信を実現 〜
ttps://about.yahoo.co.jp/pr/release/2018/10/24a/

>ヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)は、株式会社ランドスケイプ(以下 ランドスケイプ)が保有する全国820万拠点、
>国内拠点網羅率99.7%の日本最大級の企業データベース「LBC」(※1)を活用した、
>新しいBtoBターゲティング広告の提供を本日より開始しました。
>本サービスは、Yahoo! JAPANの検索や閲覧サイトの履歴、Yahoo!ショッピングの購買履歴と、ランドスケイプの保有する企業の業種や
>規模(売上高、従業員数など)の企業データ、さらに企業データに紐付いたIPアドレスを掛け合わせることで、特定の業種や
>企業、その中でも「プロジェクターを過去に検索」など、ニーズに合わせてより精度高く広告を訴求することが可能になります(図1)。

 



「マーケティング原理【第9版】」 フィリップ・コトラー、ゲイリー・アームストロング 著 和田充夫 監訳 (ダイヤモンド社)


第V部 マーケティング・ミックスの展開
第15章 広告、販売促進、広報活動
ダイレクト・マーケティング
「632ページ」

広告
「642ページ」

「643ページ」

広告媒体の選定
「654ページ」

「655ページ」

「656ページ」

マーケティング・バイライト 15-2「広告主は新たな媒体を探している」
「658ページ」

「659ページ」

 

 



【コメント】
一昨日2018年10月24日のヤフー株式会社のプレスリリースを読んで、BtoBの広告という概念に違和感を覚えました。
広告というのは、マス・マーケティングの最も代表的な手法であり、対象を特定せず(すべての消費者を対象にして)、
画一化された方法を用いて行うマーケティング手法のことであるわけです。
率直に言えば、広告にはBtoCの広告しかないのではないだろうかと思いました。
ただ、Yahoo! JAPANの検索や閲覧サイトの履歴、Yahoo!ショッピングの購買履歴と企業データとを掛け合わせることで、
BtoCのターゲティングを実現したとのことですので、この点についてあれこれ考えていましたら、どちらかと言うと、
この種のマーケティング手法のことを広告と表現すること自体が間違いだと思うようになりました。
簡単に言えば、ユーザーが検索したキーワードと関連する広告をウェブサイト上に表示する、
とプレスリリースでは言っているわけですが、よくよく考えてみますと、
インターネットサービスでの行動(検索や閲覧)などのデータからユーザーが興味を持ちそうな個別的な情報を表示する
という時点で、そのマーケティング手法は全く広告ではないわけです。
インターネットサービスでの行動(検索や閲覧)などを基にしてターゲットを特定した上でニーズに合った情報を表示する、
というマーケティング手法は、広告というよりもむしろ販売促進に近いものだと分類できると私は思いました。
この点について調べるために、マーケティングの教科書を見てみました。
非常に分厚い教科書でありスキャンし出すとキリがないのですが、
重要な記述が記載されているページだけをスキャンして紹介しました。
642ページには、広告の定義について、すばり「ノンパーソナルなプレゼンテーションやプロモーション」と書かれています。
広告主は、広告の主な対象者を一定の範囲で絞り込みはしますが、広告を見る人物を選択できたりはしないわけです。
例えば、広告主がテレビCMを出した場合は、そのテレビ番組を視聴している全ての人物がその広告を見るわけです。
広告主が絞り込んだ対象者はその広告を確かに見るわけですが、その他の大勢の人達もその広告を見るわけです。
このように、特定の対象者のみを対象としているとは言えない訴求方法のことを
教科書では「ノンパーソナルなプレゼンテーションやプロモーション」と説明しているのだと思います。
つまり、インターネット上に表示されるキーワード連動広告というのは、そもそも広告とは言えない部分があるわけです。
では、インターネット上に表示されるキーワード連動広告というのはどのような類のマーケティング手法なのかと言いますと、
やや漠然とした言い方になりますが、「ダイレクト・マーケティング」に分類されるものだと私は思います。
632ページには、「ダイレクト・マーケティング」の定義について、次のように書かれています。

>まず、ダイレクト・マーケティングは大衆を相手にしない。メッセージは普通、特定の人物に向けられている。
>そして、ダイレクト・マーケティングは即時的かつ特別仕様である。
>メッセージは素早く準備され、特定の消費者にアピールするように特別仕立てが行われる。

この記述は、そのままインターネット上に表示されるキーワード連動広告の説明であるかのように思えるほどです。
インターネット上に表示されるキーワード連動広告は、「パーソナルなプレゼンテーション」と表現できると思います。
インターネット上に表示されるキーワード連動広告は、一般的な意味合いでは「広告」と呼ぶのがやはり適していると思いますが、
訴求する情報を個別に変更して表示するという点において、教科書論としては「広告」の定義からは外れると思います。
それから、インターネット上に表示されるキーワード連動広告というのは、広告主の立場から見ると、
検索されるキーワード次第では自社の広告が永久に表示されないで終わる、というディメリットもあるわけです。
「表示されないなら表示されないでいいや。」などと考えて広告を出す広告主はいないわけです。
消費者に訴求したいメッセージ(「広告目的」、"Advertising objective")があるからこそ広告主は広告を出すわけです。
つまり、インターネット上に表示されるキーワード連動広告は、広告主の立場から見ると実は広告とはとても言えないのです。