2018年10月9日(火)

昨日は、「ふるさと納税制度」について考察を行いましたが、一言だけ追記をしたいと思います。
まず最初に、昨日書きましたコメントに1点だけ誤植がありましたので訂正をしたいと思います。
「ふるさと納税制度」の問題点の理解のヒントのために、ある地方自治体の「ふるさと納税制度」による税収入が
何兆円にもなったという状態を想定し、昨日は次のように書きました。

>論理的には、「ふるさと納税制度」を活用している地方自治体のみが税収が潤い、
>「ふるさと納税制度」を活用している地方自治体の税収は枯渇する、という状態に行き着くはずです。

2つ目の「活用している」は「活用していない」の間違いです。
正しくは次の文章になります。

論理的には、「ふるさと納税制度」を活用している地方自治体のみが税収が潤い、
「ふるさと納税制度」を活用していない地方自治体の税収は枯渇する、という状態に行き着くはずです。

次に、昨日のコメントでは、私は「現行の税制度では国税と地方税の違いというのはあまりに本質的ではない。」、と指摘し、
次のような私案を提案しました。

>地方自治体の財源は国からの「地方交付金」のみとすればよいと思います。

この点について以前ある話を聞いたことを今日になって思い出した。
それは、「昔は、地方自治体は地方税だけで財政を賄っていた。」という話です。
昔は「地方交付金」という国から地方自治体への交付金は支払われていなかった、という話を以前聞いた話を思い出しました。
1945年頃に全国に地方自治体が新たに作られ、地方税が創設された、という話を以前に聞いたことを思い出しました。
1945年以前は地方税はなく国税だけしかなったのですが、それは現在とは政治体制が異なっていたからのようです。
都道府県という区分けはあったようですが、現在とは異なり、全ての都道府県は国の一地域というだけの位置付けであったので、
1945年以前は地方税はなく、各地域の財政は国の予算の範囲内で賄われていたようです。
1945年以前は、地方自治体の財政(収入と支出)は国から独立してはいなかったわけです(国の財政の一部という位置付けだった)。
1945年以前は地方自治体の財源は国からの「地方交付金」であった、というわけでもなかったわけです。
いずれにせよ、地方自治体を政治的にも財政的にも独立した公共団体とするために1945年頃に地方税が創設されたようです。
「昔は、地方自治体は地方税だけで財政を賄っていた。」という話を聞いて、その時私は「なるほどそういうことか。」と思いました。
ただ、今も昔も、地方自治体には税法を制定する権限もなければ税率を決定する権限もありません。
すなわち、「今年の税収入はいくらになるのか?」を見通し税収を確保する手段が地方自治体には一切ないわけです。
その意味では、「地方自治体が地方税だけで財政を賄う。」ということ自体に財政上の矛盾があるように私は思います。
「今年の税収入はいくらになるのか?」すら見通せないで、政治が行えるでしょうか。
結局のところ、「地方税については国が決定をしている。」という点に矛盾の根源があるように私は思うわけです。
かと言って、地方自治体が税を独自に創設するというのも何となく違和感があるように感じます。
これは、「地方自治体はどの程度国から独立しているものなのか?」という地方自治体の一国における位置付けの議論であるわけです。
「独立した政治体制(課税と徴税も含む)とは何によって形作られるのか?」という、法律的もあり哲学的でもある議論になるわけです。
地方自治体は現実には国の機関の下部組織のような位置付けに過ぎない(現実には、究極的には国の統制化にある)のであるならば、
やはり地方税は全面的に廃止し全ての税目は国税に一本化するべきだと思いました。