2018年9月29日(土)
【コメント】
記事の冒頭を引用します。
>売掛債権の保証を手がけるイー・ギャランティと事務機リースのリコーリースが業務提携する。
>リコーリースの顧客にイー・ギャラの債権保証サービスを紹介、成約に至った場合、保証料を一定割合で分け合う。
性悪説に立って考えてみると、この業務提携は少しおかしいのかもしれないなと思いました。
より正確に言えば、リコーリース自身がイー・ギャランティの顧客であるかどうかで結論が分かれるように思います。
リコーリース自身が、長期間に渡る売上債権を大量に保有しているわけです。
リコーリース自身がイー・ギャランティの顧客であるとしても、何らおかしくはないわけです。
そこでまず、リコーリース自身がイー・ギャランティの顧客である場合を考えてみますと、
この場合はリコーリースは優良顧客のみをイー・ギャランティに紹介すると考えられます。
なぜならば、リコーリースがイー・ギャランティに対し貸し倒れの懸念がある顧客を紹介しますと、
有事の際はイーギャンティの支払能力が減少してしまうからです。
すなわち、有事の際は保証人であるイーギャンティ自身が倒産をしてしまう恐れが生じますので、
リコーリースはその後イーギャンティに自社が有する売上債権の保証を履行してもらえない可能性が出てくるわけです。
俗っぽい言い方をすると、下手な顧客を紹介するとリコーリースは自分で自分の首を絞める結果になりかねないわけです。
したがって、リコーリース自身がイー・ギャランティの顧客である場合は、
リコーリースは優良顧客のみをイー・ギャランティに紹介すると考えられます。
次に、リコーリース自身はイー・ギャランティの顧客ではない場合を考えてみますと、
この場合はリコーリースは貸し倒れの懸念のある顧客をイー・ギャランティに紹介する恐れが考えられます。
この場合の「貸し倒れの懸念のある顧客」とは、特に売上債権の貸し倒れを原因とする連鎖倒産を起こす懸念のある顧客です。
顧客の連鎖倒産を回避すべく、リコーリースは「貸し倒れの懸念のある顧客」をイー・ギャンティに紹介し、
連鎖倒産の大元を断つことを画策する恐れがあるわけです。
言葉だけでは分かりづらいと思いますので、図を描いてみました。
この図の場合、リース先が取引先に対して有する売上債権が保証されさえすれば、
結果、リース先はリコーリースに対して有する売上債権の履行が可能となるわけです。
以上の話をまとめますと、イー・ギャランティがリコーリースに対し優良顧客のみを自社に紹介するように仕向けたい場合は、
リコーリース自身に自社の顧客になってもらうという方法が考えられるわけです。
イー・ギャランティの支払能力を他の顧客と共有してもらう、
それがリコーリースが優良顧客のみをイー・ギャランティに紹介する動機付けとなるのです。
「イー・ギャランティは、『リコーリースがリース先に対して有する売上債権』を保証するのではなく、
『リコーリースのリース先がさらにその取引先に対して有する売上債権』を保証することになる。」
Throurgh an introduction of its doubtful client to E-guarantee,
a
receivable which Ricoh Lease itself has in it can consequentially be guaranteed
by E-guarantee.
イー・ギャランティに貸し倒れの懸念がある自社の顧客を紹介することにより、
リコーリースは自社が有している売上債権を結果としてイー・ギャランティに保証してもらうことができます。
A lease company itself has a lot of receivables in it.
Clients of a lease
company are usually all superior clients.
And, all clients of E-guarantee
share E-guarantee's solvency between them.
To put it simply, logically, one
client of E-guarantee is unwilling to introduce a doubtful client to
E-guarantee.
リース会社自身がたくさんの売掛債権を保有しています。
リース会社の顧客は、通常、皆優良顧客です。
そして、イーギャンティの顧客は、イーギャンティの支払能力を皆で共有しているのです。
簡単に言えば、論理的には、イーギャランティの顧客は疑わしい顧客をイーギャランティに紹介したいとは思わないのです。