2018年9月12日(水)



2018年9月12日(水)日本経済新聞
郵便配達 平日のみに 総務省 郵便法の改正検討 人手不足で効率化
(記事)




2018年9月12日(水)日本経済新聞
きょうのことば
郵便法 郵便物の種類など規定
(記事)



行政機関の休日に関する法律
>(行政機関の休日)
>第一条 次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わないものとする。
>一 日曜日及び土曜日
>二 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
>三 十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)


郵便法
>(郵便業務管理規程)
第七十条第三項第三号
>一週間につき六日以上郵便物の配達を行うことができるものとして
>総務省令で定める基準に適合する郵便物の配達の方法が定められていること。


郵便法施行規則
>(郵便業務管理規程の認可基準)
第三十二条第三項第一号
>国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日及び一月二日を除き、
>月曜日から土曜日までの六日間において、一日に一回以上郵便物の配達を行うこと。

 

 



【コメント】
総務省は手紙やはがきなどの郵便物の配達を平日のみとする方向で検討に入る、とのことです。
総務省は週休2日制を認める法改正を検討しており、土曜の配達を取りやめる方向で調整する、とのことです。
記事には、今の郵便法は全国どこでも週6日、月曜から土曜まで1日1回の個別配達を原則としている、と書かれています。
改めて郵便法と行政機関の休日に関する法律を見てみましたら、郵便法には、「一週間につき六日以上郵便物の配達を行うこと」
のみが義務付けられているようでして、土曜日や日曜日や祝日に関する定めは特段ないようです。
郵便法第七十条を読む限り、1週間のうち、例えば、日曜日、月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、土曜日の
6日のみ郵便物の配達を行えばよい(例えば金曜日は配達を休むことができる)、ということになるのではないかと思いました。
しかし、よく調べてみると、郵便法には郵便法施行規則という法令(省令)が別途ありまして、郵便法施行規則第三十二条には、
郵便物の配達を行うのは1週間のうち「月曜日から土曜日までの六日間」と定められています。
条文を調べてみると、記事に書かれてある通りだと思いました。
これから総務省は、郵便法という法律を国会で改正し、
引用した第七十条第三項第三号の条文を「一週間につき五日以上郵便物の配達を行うこと」に改正し、
また、郵便法施行規則という省令を総務省内で改正し、
引用した第三十二条第三項第一号の条文を「月曜日から金曜日までの五日間において、一日に一回以上郵便物の配達を行うこと。」
に改正するのだと思います。
今から40年ほど前までは、社会生活上は(学校で授業がある日等は)、休日は日曜日だけであり、
土曜日は全く休日ではなかった(土曜日は月曜日から金曜日までと全く同じだった)のですが、
現行の郵便法と郵便規則(郵便法施行規則)の規定は、その頃の名残なのだと思います。
その後、土曜日の午後が休日(半休)のような取り扱いになった時期が20年弱ほどあったわけですが、
現在では、社会生活上は(学校で授業がある日等は)土曜日は完全に休日となっていますので、
手紙やはがきなどの郵便物の配達を土曜日にも行わないというのは、現代の流れに沿った変遷なのだろうと思います。
また、記事によりますと、速達や書留(さらには電報もだと思いますが)については、改正後も毎日の配達が維持される見通し
となっているとのことで、緊急を要する郵便物以外の配達は平日のみとなっても、
実生活上は何ら問題はないのではないかと思いました。

 

 


2018年9月12日(水)日本経済新聞
決算短信に事業継続リスク 過去最低水準の18社 4〜6月
(記事)



2018年8月6日
パイオニア株式会社
2019年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/2018/pdf/0806-1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

「3.四半期連結財務諸表に関する注記事項 (1)継続企業の前提に関する注記」に継続企業の前提に関する記載がある。

 

2018年8月10日
パイオニア株式会社
四半期報告書
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/ir/library/securities/pdf/yuho_19_1q.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

「第2【事業の状況】 1【事業等のリスク】」と、
「第4【経理の状況】 1【四半期連結財務諸表】 【注記事項】」に継続企業の前提に関する記載がある。


>事業を継続することに懸念が生じている状況にあります。

>四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、
>継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映していません。

 

継続企業|継続企業の前提に関する開示
(EY新日本有限責任監査法人 企業会計ナビ 2013.12.24)
ttps://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/other/2013-12-20-01.html

 


【コメント】
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」を「決算短信」に記載した企業数を東京商工リサーチが調査をした、
という記事を紹介しているわけですが、「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)には、
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は記載されないのだろうか、と記事を読んでふと思いました。
つまり、「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」の記載は有価証券上場規程に規定されている記載事項であり、
金融商品取引法に規定されている記載事項ではない、というようなことがあったりしないだろうかとふと思ったわけです。
「決算短信」はあくまで速報性・迅速性に重点を置いている一方、
「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)は詳細性・正確性に重点を置いているという相違点が両開示書類にはありますから、
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は「決算短信」にのみ記載される(その根拠規定は有価証券上場規程)、
という証券制度になっていたりしないだろうか(各書類の様式(記載事項)の問題ではないか)とふと思ったわけです。
金融商品取引法では、「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)に「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」
を記載することを求めない、という証券制度になっていたりしないだろうかとふと思ったわけです。
なぜならば、「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)を閲覧すれば投資家は将来の事業継続の可能性まで投資判断できる、
という法定開示制度でなければなないと思ったからです。
将来の事業継続の可能性すら投資判断できないで、一体どうやって投資家は株式の本源的価値を算定するというのでしょうか。
要するに、証券制度における「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」の位置付けが気になったわけです。
そこで、インターネットで検索してみたのですが、紹介している解説記事を読みますと、「継続企業の前提に関する事項」は、
「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成された財務諸表」の「注記」という位置付けであるようです。
「財務諸表の注記」という位置付けあるならば、「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は
当然に「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)にも記載されることになるな、と思いました。
実際に、開示されている書類を見ますと、「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、
「決算短信」と「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)の両方に記載されています。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」の記載は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」
及び「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」に定められていることであるわけですが、
簡単に言えば、「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、財務諸表とは別の(財務諸表の作成とは無関係の)、
一種の経営判断事項という位置付けなのではないか(財務諸表の数値の注記とは位置付けが明らかに異なる)と思いましたので、
「四半期報告書」(もしくは有価証券報告書)には記載されないのではないだろうか、と私は最初思ったわけです。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」が経営判断ではなく「財務諸表の注記」という位置付けある理由は、
財務諸表は企業が将来にわたって継続して事業活動を行うことを前提として作成されるからである、と説明されています。
確かに、解説記事に書かれていますように、企業はさまざまなリスクにさらされて事業活動を営んでおり、
将来にわたって事業活動を継続できるかどうかは確実なものではありません。
また、事業継続を前提とした財務諸表と事業の廃止(会社の清算)を前提とした財務諸表とは異なるのも確かです。
しかし、貸借対照表日時点において、会社は事業継続を前提として事業活動を行っていた、というのもまた事実であるわけです。
将来の事業継続の可能性に疑義が生じていないわけではないにせよ、貸借対照表日時点において、
会社は間違いなく事業継続を前提として事業活動を行っていた(清算を前提に事業活動を行っていたわけでは決してない)わけです。
当該会計期間に稼いだ収益は事業継続を前提として事業活動を行った結果であり、
当該会計期間に負担した費用は事業継続を前提として事業活動を行った結果であるわけです。
貸借対照表日時点において、次期以降も会社は事業継続を前提として事業活動を行っていく方針であるわけです。
少なくとも会社は、貸借対照表日時点において清算の意思決定はしていないわけです。
そうであるならば、たとえ将来の事業継続の可能性に疑義が生じていようとも、
財務諸表自体はあくまで企業が将来にわたって継続して事業活動を行うことを前提として作成しなければならないわけです。
そうでなければ、財務諸表が「事業継続を前提として事業活動を行った結果」を表示しなくなってしまうからです。

 



そもそもの話をすると、「当期の事業活動の結果」を表示するのが「当期の財務諸表」ではないでしょうか。
「当期の事業活動」は、事業継続を前提として会社は行ったはずです。
当期に会社は事業継続を前提として事業活動を行った以上、
「当期の財務諸表」は事業継続を前提として作成しなければならないのです。
簡単に言えば、貸借対照表日時点において、会社は事業継続を前提として事業活動を行っていたのなら、
会社は当該期間の財務諸表も事業継続を前提として作成する、というだけなのです。
それが事業活動とその結果(財務諸表)の整合性というものです。
事業活動は事業継続を前提として行ったのに、その結果は事業継続を前提としないで表示する、
というのでは、財務諸表が事業活動の結果を正しく表示していないことになってしまうわけです。
「当期の財務諸表」に将来は関係がないのです。
一言で言えば、継続企業の前提に関する重要な不確実性は、当期において会社が作成し開示すべき財務諸表とは無関係なのです。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、投資家に対する経営者からの注意喚起事項に過ぎないのです。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、本質的に「財務諸表の注記」ではない、と思いました。
それから、「当期の財務諸表」に将来は関係がない、という点について考えていましたら、私は減損会計が頭に浮かびました。
減損会計は、債権者保護には間違いなく資するものの、
「当期の財務諸表」に全く関係がないはずの将来を反映させているという点において間違った会計処理である、
という言い方ができるのかもしれないな、と思いました。
貸借対照表と損益計算書はまさに財務諸表という車の両輪であり、どちらがより重要であるということは一切ないのですが、
貸借対照表を中心に財務諸表を見ると減損会計には妥当性がある(債権者保護に資する)という結論になるのですが、
損益計算書を中心に財務諸表を見ると減損会計には妥当性がない(将来の事柄を財務諸表に反映させている)という結論になる、
ということに今日気付きました。
減損会計というのは、将来予測を基にして損失を計上しようとする会計処理であるわけですが、
当期の事業活動の結果を表示するのが当期の財務諸表であるにも関わらず、
当期の事業活動とは関係がない将来予測を当期の財務諸表に反映・表示するのは間違いである、
という考え方が元来的にはあると思いました。
財務諸表というのはあくまで過去を表示するものです。
財務諸表というのは将来を表示するものではないのです。
財務諸表に将来を表示しているという点において、減損会計は元来的には間違った会計処理なのだと思いました。
一方で、減損会計は債権者保護に資するというのもまた事実であるわけですが。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」の議論に戻りますと、財務諸表の作成は次のどちらかなのです。

○会社は事業継続を前提として事業活動を行った。⇒会社は事業継続を前提として財務諸表を作成する。
○会社は会社清算を前提として事業活動を行った。⇒会社は会社清算を前提として財務諸表を作成する。

会社が事業継続を前提としていたのか会社清算を前提としていたのかは、貸借対照表日時点の会社の意思で一意に決まるわけです。
すなわち、財務諸表を作成する前提は始めから(貸借対照表日時点で既に)決まっていることなのです。
財務諸表を作成する前提は、将来の事業継続の可能性には一切左右されないのです。
継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映するのは、事業活動の結果を反映していないことになるのです。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、経営者による将来予測であり経営判断です。
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」は、「財務諸表の注記」ではないのです。