2018年7月28日(土)



2018年7月27日(金)日本経済新聞
機関投資家の目 厳しく 野村アセット 株主提案賛成12%に
(記事)





大量保有報告書に関するよくあるご質問(最終更新日:2018年6月1日)(関東財務局)
ttp://kantou.mof.go.jp/disclo/tairyou/qanda.htm

>Q13 共同保有者とは、どのような範囲の者をいうのでしょうか。
>(2) みなし共同保有者
>ア.会社の総株主又は総社員の議決権の50%超を所有している者(以下「支配株主等」という)と
>当該会社(以下「被支配会社」という)

 


金融庁の金融商品取引法関連のQ&A資料
ttps://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100223-7/01.pdf

>法第27条の23第3項関係
>(投資一任契約の顧客)
>(問8)投資一任契約の顧客が運用財産である株券等について議決権の行使に関する権限を有しない場合、
>当該顧客は大量保有報告書等を提出する必要がありますか(法第27条の23第3項関係)。
>(答)
>  当該投資一任契約の内容に照らし、個別事案ごとに判断する必要がありますが、当該顧客が、
>議決権その他の権利を行使することができる権限若しくは当該権利の行使について指図を行うことができる権限
>又は投資をするのに必要な権限をいずれも有しない場合、「保有者」(法第 27 条の 23 第3項)には該当せず、
>大量保有報告書等を提出する必要はないと考えられます。

 


2013年3月11日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A
(大和総研  レポート・コラム)
ttps://www.dir.co.jp/report/research/law-research/securities/20130311_006922.html

 



【コメント】
紹介している記事は、機関投資家が資産運用会社として顧客の利益を第一に考える姿勢を示している、という内容になりますが、
金融商品取引法に定義される「共同保有者」の範囲がやはり気になりましたので、「共同保有者」について改めて考えてみました。


"Is Company Otsu a "joint holder" of Ko?" (株式会社乙は甲の「共同保有者」なのでしょうか?) 

【設例】
投資家甲と株式会社乙とは、株式の取得や議決権行使について何ら合意はしていない。
また、投資家甲と株式会社乙の代表取締役社長の丙とも、株式の取得や議決権行使について何ら合意はしていない。
株式会社乙の代表取締役社長の丙は、あくまで受託者責任に基づき、出資者の利益の最大化を目的に議決権の行使を行う、
という状態である。
株式会社乙の代表取締役社長の丙は、投資家甲からの指図を受けて株式会社乙が所有している銘柄について議決権を行使する
という状態では決してない。
このような状態の時、株式会社乙は投資家甲の共同保有者だろうか?
また、株式会社乙の代表取締役社長が投資家甲自身である場合は、株式会社乙は投資家甲の共同保有者だろうか?


最初に紹介している関東財務局のQ&Aのページを参考にしますと、
たとえ「共同して株券等を取得し、譲渡し、又は議決権その他の権利の行使等を行うこと」について合意がなくても、
「支配株主(50%超の議決権を有している者)と被支配会社の関係」にある場合においては、共同保有者とみなす、
と金融商品取引法第27条の23第6項と金融商品取引法施行令第14条の7に定められています。
しかし、この文脈における「支配株主」は実は法人のみを指している、ということではないでしょうか。
つまり、親会社にとって子会社は共同保有者ですが、自然人(過半数を所有する株主)にとって被支配会社は共同保有者ではない、
という解釈が正しいように思います。
「議決権50%超を所有する支配株主等と被支配会社の関係」における「議決権50%超を所有する支配株主等」には、
法人だけではなく自然人も含まれるのか否かについては、明確な説明はなく、一見すると当然に自然人も含まれるのではないか、
と思われるかもしれませんが、上記【設例】のように、投資一任契約や通常の株式会社制度における委任契約のことを鑑みますと、
たとえある自然人がある株式会社の議決権の50%超を所有していようとも、委任の法理から考えますと、むしろ正反対に、
「その自然人とその会社とは支配・従属関係にあるとは言えない。」という捉え方をしなければならないと私は思うわけです。
したがって、【設例】の場合、投資家甲にとって株式会社乙は「共同保有者」ではないのです。
自然人が株主である場合は、自分で法人を多数設立すれば大量保有報告書を提出する義務を免れることができるのです。
ただし、株式会社乙の業務執行者が甲自身の場合は、法人所有の銘柄の議決権行使は結局甲自身が意思決定をするわけですから、
その場合は投資家甲にとって株式会社乙は「共同保有者」に該当すると考えられます(業務執行者は誰かが本質的に重要なのです)。

 

From whom and to whom does a "joint holder" defined in the Financial Instruments and Exchange Act range?

金融商品取引法に定義される「共同保有者」は、誰から誰までの範囲に渡るのでしょうか?