2018年6月29日(金)



2018年6月29日(金)日本経済新聞
緊迫総会 針路問う株主
武田「借金返せるのか」
出光「早期統合実現を」
ソニー「強み出せていない」
経営力 対話する場に
(記事)




2018年6月29日(金)日本経済新聞
富士フィルム株主総会 古森CEO、沈黙貫く ゼロックス買収、質問相次ぐ
(記事)


2018年6月29日(金)日本経済新聞 社説
ガバナンス向上へ株主総会の声を生かせ
(記事)

 



【コメント】
本日2018年6月29日(金)付けの日本経済新聞に載っていた株主総会に関する記事を計3本紹介しています。
細かいことを言えば、企業毎にコメントしたい内容もありますし今後実際にコメントしていくつもりなのですが、
昨日2018年6月28日(木)が今年の上場企業の株主総会開催日の集中日でしたので、記事の紹介だけしたいと思います。
ただ、1点だけふと気付いた点について書きたいと思います。
証券制度の構築に関する議論になるのですが、上場企業に関しては「銘柄間の比較」ということも1つの論点になると思います。
Aという銘柄の本源的価値は発行者Aが開示する情報のみで算定や判断が可能でなければならないわけであり、
Aという銘柄の本源的価値を算定・判断するのに別の発行者Bが開示する情報は不要である(発行者Bの開示情報には依存しない)、
という理論的前提はあるかと思います(つまり、発行者Aの開示情報と発行者Bの開示情報とは投資判断の上で全く関係はない)が、
「銘柄Aと銘柄Bのどちらに投資をするべきだろうか?」という投資判断を投資家が行うことについても
証券制度としては考慮しなければならないわけです。
特に、先進国の株式市場のように、上場銘柄が非常に多数に上る場合は特にその論点が重要になるわけです。
例えば現在のミャンマーのように、上場銘柄が10もなく、とりわけ銘柄の帰属業界がばらばらで互いに関連性がないとなりますと、
投資家としてはヤンゴン証券取引所に上場している銘柄Aと銘柄Bとを比較しても何の意味もないわけです。
正確に言えば、銘柄の帰属業界が異なっていると投資判断の上で比較のしようがない部分があるわけです。
銘柄の帰属業界が異なっていると、貸借対照表の特徴や損益計算書の特徴さらには用いられる勘定科目までもが
自ずと異なってくる(各業界には業界特性と呼ばれる業界固有の会計処理や特徴や傾向や注意点がある)わけです。
「銘柄間の比較可能性」が問題になるのは、理論上も実務上も同じ業種業界に属している複数の銘柄の間だけである、
という言い方ができるわけです。
例えば、引き渡してもいない目的物をあたかも引き渡したかのごとく工程の途中で収益を認識してよいのは、
建設業だけであるわけです(例えば、自動車メーカーが製造の途中に売上高を計上したりするでしょうか)。
その意味では、発行者が開示する情報の書式(フォーマットや雛形)を全銘柄間で統一しようと思っても自ずと限界があり、
どうしても業種業界毎の僅かな差異は必然的に生じてしまうわけです。
業界特性をも分析して本源的価値を算定・判断するのもまた、投資家による投資判断の範囲内のことだと言わねばならないでしょう。
それでも、できる限り発行者が開示する情報の書式(フォーマットや雛形)を全銘柄間で統一すべきなのは言うまでもありません。

 


以下、理論上の話になりますが、仮に発行者が開示する情報の書式(フォーマットや雛形)を全銘柄間で統一するとして、
次に問題になるのは発行者による「情報の開示日」であるわけです。
端的に言えば、発行者による「情報の開示日」が異なってしまいますと、例えば同じ2018年3月期の決算に関して、
開示済みの銘柄Aと未開示の銘柄Bとを比較することができませんので、投資家は銘柄間の比較ができないことになります。
理論上の結論を言えば、発行者による「情報の開示日」は全銘柄で同じでなければならない、ということになります。
実務上各々の発行者に生じ得る種々の「適時情報開示」に関しては「情報の開示日」を統一することは原理的に不可能ですが、
少なくとも「決算の発表」(財務諸表の開示)に関しては発行者による「情報の開示日」は全銘柄で統一するべきであるわけです。
では次にですが、仮に「決算の発表日」(財務諸表の開示日)を全銘柄で統一するとして、次に統一するべきなのは、
実は「株主総会の開催日」(株主総会決議の結果の開示日)である、ということになるとふと今日になって気付きました。
今年は株主提案が過去最多となったわけですが、株主による決議の結果も現在では投資判断の重要な1つの要素・材料であるわけです。
議決権行使結果を記載した「臨時報告書」を金融庁に提出するのは金融商品取引法上の義務ですし、
また、「定時株主総会決議ご通知」を自社ウェブサイト上に自主的に開示している企業もあるわけですが、
改めて考えてみますと、理論的には、「議決権行使結果の開示日」に関しても全銘柄で統一されていなければならないわけです。
「議決権行使結果の開示日」が全銘柄で同じということは、株主総会の開催日も全銘柄で同じでなければならないということです。
理論上は、決算期末日も全銘柄で統一せねばならない(例えば、上場企業は必ず3月期決算にしなければならない等)わけですが、
株主総会開催日を全銘柄で統一せねばならないのです(例えば、上場企業は来年は必ず「2019年6月28日(金)」に開催するわけです)。
そして、理論上は、議決権行使結果を記載した有価証券報告書を全上場企業が同一日に提出する、ということになるのです。
現在では、全上場企業のうち優に6割超が3月期決算である(逆から言えば、3割以上が3月以外の決算期となっている)わけですが、
理論上は上場企業は3月期決算でなければならない、ということになります。
大昔の証券取引法では実際に上場企業は3月期決算でなければならないという規定になっていた、と以前聞いた記憶があります。
全上場企業のうち優に6割超が3月期決算であるのには、実はそれなりの根拠(歴史的経緯)があるわけです。
また、これは聞いたことがあるかどうか思い出せないのですが、結局のところ、
上場企業の株主総会の開催日も法律で決められていたのではないかと今推論しているところです。
「発行者は毎年6月の最終金曜日に株主総会を開催せねばならない。また、同日中に有価証券報告書を提出せねばならない。」
といった具合に大昔の証券取引法では定められていたとしてもおかしくないなと今思っているところです。
実務上のことを考え、株主総会の終了時間や書類作成のための所要時間や財務局までの道のりを鑑みれば、例えば、
「発行者は毎年6月の最終木曜日に株主総会を開催せねばならない。また、翌金曜日に有価証券報告書を提出せねばならない。」
と大昔の証券取引法では定められていたのかもしれないなと今思っているところです。
1995年には実に9割の上場企業がある特定日に株主総会を開催していたわけですが、
上場企業の株主総会の開催日が特定日に集中しているのも、実はそれなりの理由・背景(歴史的経緯)があるのだと思います。