2018年3月17日(土)
■KT&G(韓国たばこ大手) 16日の株主総会で白福寅(ペク・ボギン)社長の再任を承認した。任期は2021年まで。
同氏の再任は2月に会社側が内定したが大株主の政府系金融機関が反対し、総会の行方が注目されていた。
投票総数9328万株のうち、再任に対する賛成票は7114万株だった。総会の質疑応答で政府系のIBK企業銀行は
改めて反対の意向を示したが、ほかの株主は海外事業の収益を拡大させた白氏の手腕を支持したもようだ。
(日本経済新聞 2018/3/16
23:00)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO28218120W8A310C1FFE000/
2018.02.28
KT&G Corporation
Decision on Calling Shareholders'
Meeting
("DART
English Website"上のReportと同じhtmlファイル)
「3. Appointment of Directors, etc.(As of the Appointment Date)」
2018.03.16
KT&G Corporation
Outcome of Annual Shareholders'
Meeting
("DART
English Website"上のReportと同じhtmlファイル)
「4. Agenda and Key Issues <Matters Requiring Resolutions>」
韓国の金融監督庁(Financial Supervisory Service)の法定開示書類閲覧サイト(日本のEDINETに相当するのでしょう。)↓
DART(Data Analysis, Retrieval and Transfer System) (Repository of Korea's
Corporate Filings)
ttp://englishdart.fss.or.kr/
【コメント】
記事を読んで、また、KT&Gが当局に提出している法定開示書類(英語版)を読んで、
韓国の会社法では、株主は株主総会において「社長」("President")を直接に選任できるようだ、と思いました。
韓国の会社法でいう「社長」("President")は、日本の「代表取締役」("Representative
Director")に相当するようです。
日本では、「社長」という肩書きは、会社法上の会社機関ではなく、会社が内規等で任意に定める役職に過ぎません。
日本の会社法では、業務執行者(日本でいう「社長」)を株主が選任できない、という問題点が従来から存在していました。
日本における会社の業務執行者の位置付けの変遷(会社法の改正)は、次のようになります。
旧商法(2005年以前) → 株主は取締役しか選任できない。代表取締役を選任するのは株主総会ではなく取締役会。
また、商法上は取締役は業務を執行しない。代表取締役のみが業務を執行する。
会社法(2006年以降) → 株主は取締役しか選任できない。代表取締役を選任するのは株主総会ではなく取締役会。
また、会社法上は取締役も業務を執行する(当然、代表取締役も業務を執行する)。
そして、会社法上は取締役には代表権はなく、代表取締役のみが代表権を持つ。
旧商法(2005年以前)から会社法(2006年以降)に変わり、会社機関に関して何が一番大きく変わったかと言えば、
「商法上は取締役は業務を執行しない。」だったのが「会社法上は取締役は業務を執行する。」に変わったことです。
「商法上は取締役は業務を執行しない。」という規定であったというのは、
例えば漫画「島耕作」を読んでいると極めて奇異な感じがするわけです。
「経理担当取締役」、「取締役(中国担当)」、「工場長兼取締役」、「取締役(○×製鉄所長)」などなど、
取締役と言えば当然のことながら会社の業務を執行するものだろう、と思ってしまうわけですが、
実は商法上は、取締役は会社の業務を執行しない、と定められていました。
商法の勉強をしていると、「会社の『業務』とは何だろうか?(その定義や範囲が判然としないな、と)」と思い悩んでしまい、
「取締役」の位置付け1つとってみても商法の理解がなかなか進まなかったことを覚えています。
記事とKT&Gが当局に提出している法定開示書類(英語版)を読んで、韓国の会社制度について考察を行っているところですが、
韓国の会社法の規定は、会社機関名こそ異なりますが、
日本で言えば旧商法(2005年以前)の規定にどちらかと言えば近いのかもしれないなと思いました。
なぜなら、韓国の会社法では、日本の旧商法同様、少なくとも法律上は取締役("Director")は業務を執行しない、
という規定になっているのではないだろうかと思ったからです(これは推論であり間違っているかもしれませんが)。
確かに、"Managing
Director"(業務執行取締役)という肩書きが法定開示書類(英語版)には記載されていたりするわけですが、
この"Managing
Director"も会社の内規等で定めているだけであり、会社法上の会社機関名とは異なるのかもしれません。
私のこの理解は間違っているかも知れませんが、何となくどことなく日本の旧商法(2005年以前)っぽいなと感じました。
韓国の会社法では、業務執行者と代表者を一元化していると言いますか、業務執行者と代表者とは完全にイコールと言いますか、
「会社の代表者が会社の業務を執行する。」というだけのことであり、
会社の代表者でもない人物が会社の業務を執行するということはない、という考え方になっているのではないかと思います。
韓国の会社法では、「代表取締役」("Representative
Director")という会社機関は存在せず、
「社長」("President")が日本で言う「代表取締役」("Representative
Director")に相当するのだと思います。
韓国の会社法では、代表権と業務執行権が分離することはあり得ない、という考え方になっているのだと思います。
会社における「業務の執行を監督する機関」の構成員自身が業務を執行する、というのは、会社制度としてはおかしいと言いますか、
韓国の「社長」("President")は、取締役会(「業務の執行を監督する機関」)の構成員ではないのかもしれないなと思いました。
簡単に言えば、韓国の「社長」("President")は「取締役」("Director")(業務執行の監督者)ではない、と思いました。
韓国の会社法についての上記の推論は間違っているかもしれませんが、自分なりに理詰めも交えて会社制度を推し量ってみました。
In the first place, a truster wants to elect
a person not who audits a
company but who executes operations of a company.
そもそもの話をすると、委任者は、会社の監査を行う人物ではなく会社の業務を執行する人物を選任したいと思うものなのです。
In the Korean Companies Act, it seems that shareholders can directly elect a
"President,"
who executes operations of a company and also is a
representative of a company.
韓国の会社法では、株主は、会社の業務を執行しさらに会社の代表者でもある「社長」("President")を
直接に選任することができるようです。
The company organ "President" in the Korean Companies Act seems
to
correspond to the company organ "Representative Director" in the Japanese
Companies Act.
韓国の会社法にいう「社長」("President")という会社機関は、
日本の会社法にいう「代表取締役」("Representative
Director")という会社機関に相当するようです。
This is merely my personal reasoning,
but the company organ "President" in
the Korean Companies Act seems to be independent of a board of directors.
Or
rather, the company organ "Director" should be independent of a "President," I
suppose.
Otherwise, a "Director" can't supervise a "President" in a true
sense.
It looks as if it were "self-supervision," doesn't it?
Is the
company organ "Representative Director" in the Japanese Companies
Act
independent of a board of directors?
One idea is that a person who
executes operations of a company must not be a director.
これは私個人の推論に過ぎませんが、
韓国の会社法にいう「社長」("President")という会社機関は、取締役会から独立しているように思えます。
いや、正確に言えば、「取締役」("Director")という会社機関は、
「社長」("President")から独立していなければならない、というふうに思います。
さもないと、「取締役」("Director")は「社長」("President")を真の意味で監督することができないからです。
まるで「自己監督」のようではありませんか。
日本の会社法上の会社機関である「代表取締役」は、取締役会から独立しているでしょうか。
一つの案は、会社の業務を執行する者は取締役になってはならない、というものです。