2017年10月17日(火)



2017年10月17日(火)日本経済新聞
「記事」1 

「記事」2 



新聞記事を切り抜き忘れたので、自分ではスキャンできなかったのですが、インターネット上にスキャンして
コメントを書いているブログがありましたので、そのブログから記事のスキャンのみ借用させていただきました。
記事の冒頭を引用します。

>新株発行による上場企業の資金調達が底入れしている。2017年4〜9月の新株発行額は前年同期の4倍強に膨らんだ。

結論を端的に言いますと、各年度の棒グラフを比較することはできない、となります。
なぜならば、各年度の棒グラフの構成要素(資金調達企業と引き受け手(市場の投資家))は全く共通ではないからです。
グラフというのは、グラフの構成要素が共通の場合のみ、比較が可能なものなのです。
したがって、新株発行による資金調達が「底入れした」という表現や「盛り返した」という表現はあまり的を射ていないのです。
資金調達額自体はどの企業も「円」という単位で表すものですから、足し算ができる(数値計算はできる)というだけなのです。
記事中のグラフを基に私が作成した次のグラフを見れば、年々の資金調達額の増減・推移には意味がない(比較の意味がない)、
ということが分かるのではないでしょうか。
簡単に言えば、資金調達額の増加や減少に(金額の足し算そのものに)意味がないと分かるのではないでしょうか。

「仮に資金調達額が毎年同じだとしても、特段何を意味しているわけでもない。」

各企業は自社の経営戦略に基づいて適宜に("at their own discretion")資金調達を実施する、というだけなのです。
他の言い方をすると、企業は必要な時に必要な手段で必要な金額だけ資金調達を行う、というだけなのです。
事業上必要もないのに超低金利(もしくはマイナス金利)だから社債で資金を調達する、などという企業はないわけです。
トヨタが調達した1000億円とソニーが調達した1000億円とを比較することができるでしょうか。
また、資金調達を行った金額というのも、事業規模(いわゆる大企業か中小企業か)が企業ごとに大きく異なるわけですから、
金額それ自体のの比較も実はできないわけです。
トヨタが1000億円資金を調達してもそれは事業規模から見て適正な金額かもしれませんが、
中小企業にとってはあまりに過剰な金額であり、さらに言えば、調達することすら実際には不可能な金額だとすら言えるでしょう。
トヨタが調達した1000億円とある中小企業が調達した10億円を比較することに意味があるでしょうか。
その中小企業は、10億円資金を調達すれば必要十分だと判断しただけかもしれないわけです。
それなのに、「中小企業が調達した資金額はトヨタのたった100分の1なのか。」、という比較・判断をするのは間違いなのです。
例えば、小学6年生5人の身長(cm)の足し算と大学4年生3人の身長(cm)の足し算とを比較することに意味があるでしょうか。
どちらも単位は「センチメートル」であり、数値だけなら比較はできますが、その比較に意味は全くないでしょう。
繰り返しになりますが、グラフの構成要素が年々で異なっているわけですから、2016年の金額と2017年の金額は意味が違うのです。
極めて端的に言えば、「記事の棒グラフには連続性がない。」のです。
だから、比較や趨勢分析ができないのです。

 


In order for graphs to be able to be compared, constituent elements of each graph must be common.
Then. for example, if the amount of cash raised by means of the issue of new shares is perfectly constant every year,
what on earth does it mean?
A number of various listed companies have raised various amounts of cash respectively, that's all.
In conclusion, nothing can't be read in these bar graphs drawn in this article.

グラフが比較可能であるためには、各グラフの構成要素が共通でなければなりません。
では、例えば、仮に、新株発行による資金調達の金額が毎年一定不変だとしましょう。
それが一体何を意味しているというのでしょうか。
数多くの様々な上場企業がそれぞれ様々な金額の資金を調達した、それだけのことなのです。
結論としては、この記事に描かれている棒グラフからは何も読み取れない、ということです。

 


Without the continuity of every constituent element, graphs don't have the continuity either.

全ての構成要素に連続性がなければ、グラフにも連続性はないのです。

 


You can't always add 100 yen and 100 yen.

100円と100円は必ずしも足し算できるというわけではないのです。

 


Which is taller, 5 pupils in the six grade or 3 students in the twelfth grade?
It's nonsense.

小学6年生5人と高校3年生3人、どちらが背が高いでしょうか。
その比較に意味はないのです。