2017年10月1日(日)



2017年9月30日(土)日本経済新聞
上場企業の株式含み益 株高が押し上げ18兆円 9月末、過去10年で最高
(記事)





【コメント】
上場企業が保有している株式の含み益についての記事になります。
記事には、2017年3月末と比較して、9月末には含み益の金額が増加しているということに関して、

>含み益が大きくなったことで今後、企業の株式持ち合い解消が進む可能性もある

と書かれています。
しかし、私が思うに、含み益の増加と株式の持ち合いの解消は全く関係がないと思います。
なぜならば、株式の持ち合いというのは、いわゆる「政策保有」が目的であるからです。
すなわち、株式の持ち合いでは、株式売却益を目的としているわけでもありませんし、
配当金の受け取りを目的にしているわけでもないからです。
業務上のつながりを社内外にアピールすることや互いに安定株主となることを目的として、株式の持ち合いは行われるわけです。
株式の持ち合いでは、保有している株式を、株価が上昇したことを理由に売却するということはしませんし、
逆に、株価が下落したことを理由にさらに買い増すということもしないわけです。
株式の持ち合いでは、一般的な株式投資の論理は全く当てはまらない、と言っていいわけです。
株式の持ち合いを行うことで、企業はより多くのキャッシュフローを獲得できるようになるわけですが、
そのキャッシュフローは、保有している株式から生じるのではなく(すなわち、株式売却や受取配当金から生じるのではなく)、
むしろ自社が日々手掛けている事業そのものから生じる(増分は実は本業から生じる)、と言わねばならないわけです。
むしろ、企業は、本業におけるキャッシュフローの増加を目的に株式の持ち合いを行う、と言わねばならないわけです。
持ち合い株式を取得するための費用(現金支出)は、本来の意味とは意味合い・文脈が異なりますが、
「サンクコスト(埋没費用)」とすら表現してよい(そもそも取得原価の回収を目的とはしていないから)と思います。
通常の投資家とこの文脈における企業とでは、「株式を取得する目的」が根本的に異なるわけです。
通常の投資家は、株式売却損を最も嫌います。
しかし、この文脈における企業は、持ち合い株式の売却損を全く恐れてはいないのです(株式の取得原価は本業で回収するから)。
通常の投資家の行動原理が間違っているわけではもちろんありませんし、
この文脈における企業の頭がおかしいがわけでもないのです。
どちらも、純粋に経済合理性を追求した結果なのです。
ですので、株価水準の動向と株式の持ち合いの強化や解消とは、全く無関係である、という結論になるのです。

 


敢えてこの記事と議論を題材にして、証券市場のあり方について考えてみるならば、
「行動原理が全く異なる二者が同じ株式市場にいてよいのか?」、という疑問は生じ得ようかと思います。
市場参加者の行動原理が同じ・共通(universal)であるのは、むしろ証券市場の前提なのではないか、と思うわけです。
効率的な市場と言いますか、健全な株価形成と言いますか、そういったことを鑑みますと、
市場参加者の行動原理や基本的投資行動が同じ・共通(universal)である場合に、健全な証券市場が作られるのではないでしょうか。
この文脈における企業の行動原理は、その企業の経営戦略(大局的な事業戦略)から見れば極めて合理的であるわけなのですが、
市場の投資家から見ると頭がおかしいわけです。
そして、どちらが正しいかに答えはないわけです。
それぞれの経済合理性を鑑みれば、どちらも明らかに正しいのですから。
したがって、少なくとも証券市場や証券制度という観点から言えば、
「市場の通常の投資家から頭がおかしいと見える人・企業には、市場に参加することを控えてもらう。」、
という方法しかないわけです。
より具体的に言えば、事業上のつながりを強化することを目的に株式を取得・保有することは関連する規則により禁止する、
という証券制度を構築していくことになるわけです。
一言で言えば、上場企業株式に関しては、株式の持ち合いは禁止であり、業務提携を目的とした株式保有も禁止、
という取り扱いに証券市場ではなるわけです。
同じ論理の流れから、上場子会社という存在も証券市場では認められない、ということになります。
親会社は通常の投資以外の目的を持って(自社との業務上のつながりを目的としたまま)上場株式を保有しているからです。
市場の投資家から見ると、株式に投じた資金は株式売却のみにより回収するようにしてもらいたい、と言いたくなるわけです。
そうでなければ、条件が全くフェアではないからです。
「弊社としては、(投じた資金は本業で回収したので)相手方の株価が下がっても全く構わない。」、
では全く健全な証券市場ではないわけです。

 



さらに言えば、また別の観点から言えば、株主と会社とが何らかの取引を行っていること自体も問題だと言えるでしょう。
株主と会社とが業務提携を行う中で、株主が会社の未公表の情報を知ることになります。
それはいわゆる「フェア・ディスクロージャー・ルール」に反することでしょう。
経営戦略の教科書に書かれていることとある意味正反対の結論になりますが、
業務提携を行うのならば提携相手の株式は一切取得してはならないのです。
台湾の上場企業では、候補者が取締役に就任する際には保有する会社株式を全て売却してしまわなければならない、
と会社法に定められていますが、理論上の話をしますと、上場企業が行う業務提携に即して言うならば、
業務提携を開始する際には保有する提携相手株式を全て売却してしまわなければならない、という結論になるわけです。
「『資本・業務提携』を行います。」などとよく言いますが、証券制度の理論的には「資本・業務提携」は完全に矛盾なのです。
「業務提携」だけならよいのですが、「資本・業務提携」となりますと、市場の投資家からは完全に不公平にしか見えないのです。
また、「資本提携」という表現をしている時点で、株式を保有することによって業務上の何らかの効果の発生を目的としている、
と言えるかと思います(「株式を単に保有するだけです。」、などという資本提携は経営上はないかと思います)。
提携や資本提携という言葉自体に、業務提携に類するニュアンスを暗に含んでいるものだと思います。
資本提携では、株式の保有そのものによる効果以外の「他の効果」を期待しているわけです。
資本提携では、一定度の協働なりアドバイスなりは当然行っていくわけすが、
株式の取得者はその一定度の協働やアドバイスに基づく効果(市場の他の投資家は得ることのできない効果)
を獲得することを目的としているので、資本提携は証券制度の理論に照らせば間違っているわけです。
簡単に言えば、この「他の効果」と呼ばれるものが、それを得ることのできない市場の他の投資家からはどう見えるのか、
という点が証券制度構築では問題になる(公平性の問題、株式取得原価の回収方法の相違)と言えるのだと思います。
ですので、一定規模以上の株式保有に関しては、業務提携や協働や投資家から見て間違っている関与は一切行わない旨の宣誓を、
経営者や保有者本人に求める、という証券制度を構築していかなければならない、という結論に理論上はなると思います。
現実的対応として、経営者や保有者本人に宣誓を求める、という方法により不正発生を牽制する、
ということを行っていくしか現実にはないのだと思います。
今日のまとめとしましては、
経営戦略論としては株式の持ち合いは何の問題もない(持ち合いにより本業の収益額が増加するから)のだが、
証券制度の理論からは株式の持ち合いは認められない(市場参加者が一様ではなくなるから)、となります。

 

In conclusion, to put it simply, the means to collect an acquisition cost of shares should be uniform
among all of the participants in the market.
The means above is exactly to sell shares.
It should be prohibited that a business company collects an acquisition cost of shares
by means of acquiring "additional" cash flows generated in its principal business through holding the shares.

結論としては、簡単に言えば、株式の取得原価を回収する方法は、市場の全参加者で同じでなければならない、となります。
上記の回収方法とは、まさしく株式の売却のことです。
株式の保有を通じて本業に生じた「追加的な」キャッシュフローを獲得することにより事業会社が株式の取得原価を回収する
ということは禁止されなければならないのです。







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