2017年6月6日(火)
2017年6月1日(木)日本経済新聞
TV付き賃貸のNHK受信料 入居者に契約義務 東京高裁が逆転判決
(記事)
【コメント】
裁判の概要については記事を読んで欲しいのですが、このたびの判決について私個人の見解を端的に書きますと、
入居時点で部屋にテレビが備え付けられていたのは確かだとしても、
テレビが部屋に備え付けられているのを知った上で原告はその部屋に入居したのだから、
原告は「受信設備(テレビ)を設置した者」に該当する、と私は思います。
したがって、一審の判決を取り消したこのたびの控訴審判決は妥当なのではないかと思います。
私個人が過去に聞いたことがある出来事から言いますと、大学進学のために田舎から上京する際、
東京在住の親戚に部屋探しをお願いしたりするわけですが、自分が3月下旬に入居する前に、
アパートの近くでテレビを安く売っている店から叔父さんがテレビを買ってきてくれて部屋に設置をしてくれた、
というような状況は実際に起こり得るわけです。
このような場合、テレビを購入し部屋にテレビを設置したのは叔父さんであるわけですが、
その部屋に入居し生活をしていく(そして放送を受信できる状態にあり、また、実際に視聴する)のは自分自身であるわけです。
この時、「テレビを設置したのは叔父である。」(だから受信料契約は締結しない)などという理屈は通らないわけです。
このたびの賃貸大手会社の事例に即して言えば、(テレビは見ないなどの理由で)テレビが設置してある部屋が嫌なのであれば、
始めからその部屋には入居しない(部屋の賃貸借契約を締結しない)、ということが大切であるわけです。
テレビが設置してある部屋を借りたが自分はテレビは見ないから受信料契約は締結しない、という理屈はやはり通らないわけです。
テレビが設置してある部屋に入居した時点で、「受信設備(テレビ)を設置した者」なのだと思います。
家具家電付きの部屋を借りる際に、設置してあるテレビを部屋から賃貸会社へ一時的に撤去してもらう、
ということが可能なのかどうかは分かりませんが、もしそれが可能であれば、その場合は、
そもそも部屋にテレビがない状態であるわけですから、入居者は受信料契約を締結しないということはできるとは思います。
部屋にテレビを設置してある部屋を賃貸する場合は、家賃に受信料を含めておくべき、という考え方もあると思います。
電気・水道・ガスの設備が部屋にある場合(通常当然ありますが)、実生活上電気と水道を使わないことは絶対あり得ませんが、
電気温水器付きの場合はガスを一切使わない(ガスの使用契約を締結しない)ということがあり得ます(食事は外食ばかり等)。
その場合は、たとえ部屋にガスの設備はあってもガスの基本料金は徴収されないわけです。
このことを踏まえますと、「部屋に受信設備はあるが受信・使用(視聴)はしていない」という理屈も通りそうではありますが、
ガスは使用したか否かは明確である(メーターを見れば一目瞭然。もしくは、ガス会社に連絡しないとそもそも使用できない)一方、
テレビは受信・視聴したかは事後的・客観的には全く分からないわけです。
ですので、受信設備(テレビ)に関しては、部屋に受信設備があるか否かで視聴するか否かの線を引くしかないのだと思います。
NHK asks each resident whether he has a television or not. It doesn't
ask him why he has a television.
It means that why you have a television in
your house has nothing to do with the TV license fee contract.
NHKは各居住者にテレビを持っているか否かについて尋ねます。NHKはなぜテレビを持っているかについては尋ねません。
つまり、なぜ家にテレビを持っているのかは受信料契約とは全く関係がない、ということです。
Can a juridical person watch a television?
法人はテレビを見れますか?