2017年5月29日(月)
「62円切手」
「82円切手」
切手を購入したときの処理方法(弥生会計)
ttps://support.yayoi-kk.co.jp/business/faq_Subcontents.html?page_id=6981
郵便切手の購入代金は原則として「貯蔵品」勘定になります。
そして、切手使用時に、「通信費」勘定で処理することになり、税法上は経費(税法上損金)になります。
ただ、郵便切手は消費税の取扱いが問題となるようです。
以下、消費税に関する理論上の考え方を書きます。
基本的考え方は、法人が支払った消費税は法人税法上は損金とはならない、となりますす。
消費税が課される物(目的物)を購入した場合は、どんな物であれ消費税部分は「仮払消費税」勘定で処理することになります。
なぜならば、法人がその目的物を他者に譲渡するか自己消費するかは、その時になってみなければ分からないからです。
法人がその目的物を他者に譲渡した場合は、その目的物の譲渡に関する「仮受消費税」勘定が計上されることになります。
一方、法人がその目的物を自己消費した場合は、「仮払消費税」勘定が「支払消費税」勘定(概念的には租税公課)
として費用計上されることになります。
法人がその目的物を他者に譲渡した場合は、法人は仮受消費税と仮払消費税の差額を税務当局に事業者として納付します。
この場合、法人の消費税負担額はゼロです(消費税の負担はあくまで最終消費者)。
一方、法人がその目的物を自己消費した場合は、会計処理上は「仮払消費税」勘定が「支払消費税」勘定(概念的には租税公課)
として費用計上されることになるわけですが、この場合法人は消費税を税務当局に納付するということはしません。
なぜなら、この場合、法人は最終消費者だからです。
法人にとってこの消費税は自己消費に伴う消費税の支払いなのですから、この「支払消費税」は法人税法上損金とはなりません。
再度書きますが、「消費税が課される物を購入した時は、どんな物であれ消費税部分は『仮払消費税』勘定で処理する」
という点が消費税の理解では重要なのだと思います。
このことは、「消費税が課される物を購入する人は、購入代金のうち消費税の金額がいくらなのかを正確に把握しなければならない」
ということを意味します。
通常は(実務上は)、消費税が課される物(目的物)を購入する時点で、人はその目的物を自己消費目的で購入するのか
他者への譲渡を目的に購入するのかを予め決めているとは思います。
しかし、会計処理上は、自己消費となるのか他者への譲渡となるのかが確定するまでは、
支払った消費税は「仮払消費税」勘定で処理することになります。
いずれの場合であれ、この「仮払消費税」が法人税法上損金を構成することは決してありません。
棚卸資産であれば、他者へ譲渡するか自己消費(排気や処分も含む)するかでその後の「仮払消費税」勘定の会計処置が変わります。
固定資産の場合は、稼働をさせた時点で(事実上それは「取得時」を意味します)、それは自己消費です。
したがって、固定資産の取得に関する消費税は、減価償却費(損金)を決して構成しないのです。
そして、郵便切手に関して言えば、
切手代金のうち消費税の部分(この場合「2円」)はその後決して「通信費」(損金)とはならないのです。
(貯蔵品) 60円 / (現金) 62円
(仮払消費税) 2円
その後、切手を使用した時は、仕訳は理論的には次のようになります。
(通信費) 60円 / (貯蔵品) 60円
(支払消費税) 2円 (仮払消費税) 2円
切手を購入した後、使用せずに切手を他者に譲渡した場合は仕訳は理論的には次のようになります。
(現金) 62円 / (貯蔵品) 60円
(仮受消費税) 2円
この場合、仮払消費税と仮受消費税に差額はありませんので、結果として、
消費税を税務当局に事業者として納付することはありません。
仮払消費税勘定と仮受消費税勘定は消費税納付(この場合は0円ですが)時に相殺消去することになります。
理論上は、切手代金62円のうち通信費(損金)となるのは60円だけ、となります。
一消費者としてスーパーやコンビニ等で買い物をする分には消費税のことはあまり気に留めませんし、
その金額を把握していなくても実生活上も確定申告上も何の問題もないのですが、
実はそれは暗に自己消費を大前提として買い物をしているからだ、という言い方ができるのです。
理論的には、人が消費税が課される物を仕入れる場合は、常に消費税の金額を正確に把握しておかなければなりません。
なぜなら、理論的には、人はその目的物を他者に譲渡することが考えられるからです。
人は事業者になり得る、これが消費税理論の前提なのです。
ですので、人が消費税が課される物を仕入れる時は、人は常に消費税の金額を正確に把握し、
その目的物を自己消費するか他者に譲渡する時まで、その消費税は「仮払消費税」勘定で処理する必要があるのです。
消費税の納付のためには、どんな目的物であれ、人は常に「仮払消費税」の金額を把握しておかなければならないのです。