2017年5月23日(火)


DeNA、委員会設置会社に移行 キュレーション不祥事受け

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は23日、委員会設置会社に移行すると発表した。
初年度は創業者の南場智子会長を委員長に据え、2人の社外取締役を入れて報酬委員会と指名委員会を立ち上げる。
キュレーションメディアの不祥事を受け検討してきた再発防止策の一環。
小学館との協業によるデジタルメディア事業の再開は検討を続ける。
 取締役の任期を2年から1年に短縮し、経営会議の意思決定も南場会長と守安功社長との合議制にする。
それぞれの事業がDeNAの理念に基づいて運営できているかを検証する専門組織も設置することにした。
 3月に第三者委員会がまとめた報告では、守安社長の独断が不祥事の一因になる過程が明らかになった。
新しい経営体制では守安社長を含む経営陣の権限を制限し、一方的な意思決定を防ぐ仕組みを取り入れる。
(日本経済新聞 2017/5/23 20:00)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23HNB_T20C17A5TI1000/

 


2017年5月23日
株式会社ディー・エヌ・エー
コーポレート・ガバナンス及び内部統制の強化に関するお知らせ
ttp://dena.com/jp/press/2017/05/23/1/

>(4)指名委員会及び報酬委員会の設置
>  当社は、取締役会の諮問機関である任意の指名委員会及び報酬委員会を設置し、取締役のほか執行役員等当社の経営の一翼
>を担う役職者の指名・報酬の決定プロセスに社外取締役の適切な関与・助言を得ることで、経営の透明性・客観性を確保し、
>取締役会の監督機能を強化してまいります。

 



【コメント】
紹介している記事の1文目にそのまま書かれていることですが、
株式会社ディー・エヌ・エーは委員会設置会社に移行すると発表した、とのことです。
しかし、2文目を読んでこれはすぐにおかしいと思いました。
委員会設置会社に移行した初年度は報酬委員会と指名委員会を立ち上げる、と書かれてあるからです。
これは会社法上あり得ないことです。
会社法上、委員会設置会社では、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を必ず設置しなければいけません。
委員会設置会社では、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置できるのではなく、
これら3つの委員会を設置することは会社法上は必須のことなのです。
このたびの株式会社ディー・エヌ・エーの事例に即して言えば、
監査委員会を設置しない委員会設置会社は会社法上認められないのです。
おかしなことを言っているなと思い会社のプレスリリースを見てみますと、理由が分かりました。
株式会社ディー・エヌ・エーは委員会設置会社に移行するとは一言も言っていないわけです。
株式会社ディー・エヌ・エーは任意の指名委員会及び報酬委員会を設置する、と言っているだけなのです。
株式会社ディー・エヌ・エーは現在いわゆる監査役設置会社なのですが、
委員会設置会社に移行することはせず、今後も監査役設置会社のままであるようです。
取締役会の諮問機関として、任意の指名委員会及び報酬委員会を設置する、と言っているだけなのです。
それならば、会社法上の機関設計としては問題はないと言えるでしょう。
日本経済新聞の記事の書き方が少し不正確であった、と言わねばならないでしょう。
ただ、このたびの株式会社ディー・エヌ・エーの事例を題材に会社法上の委員会の役割・権限について考えてみますと、
任意の組織としての委員会(監査役設置会社における委員会)には会社法上有効な決議を行う法的資格はない、
と言えると思います。
つまり、監査役設置会社における委員会が決定した内容というのは、会社法上は特段何の意味もない、ということになります。
株式会社ディー・エヌ・エーにおける報酬委員会と指名委員会が決定した内容については、
取締役会でその決定内容を追認する形で改めて取締役会決議を取らなければ、会社法上有効な決議とはなりません。
この点、委員会設置会社における委員会の決定内容というのは、それだけで会社法上有効な決議となります。
各委員会が決定した内容について、再度取締役会が決議を取る、ということは会社法上全く必要ありません。
これは、監査役設置会社では取締役会が1つの独立した会社機関であるのに対し、
委員会設置会社では各委員会が1つの独立した会社機関である、と会社法上定義されるからです。
他の言い方をすれば、監査役設置会社では、「取締役の指名のみを行う取締役」というのを定義できない、ということになります。
監査役設置会社では、全取締役が取締役の指名に関する職務を担当する(その旨の採決に参加する)、ということになります。
会社法上は、「この取締役が取締役の指名に関する職務を担当する」といった具合に、
特定の取締役を他の取締役と区別する、ということができないのです。
取締役の肩書きに「○○担当取締役」と付いていたりしますが、それはあくまで社内の職務規定上の肩書きであり、
会社法上は全取締役は互いに区別されることなく同一の法的地位にいるものと解釈されると思います。
例えば、委員会設置会社における指名委員会の決定内容に問題がある場合、指名委員会のメンバーのみが責任を追及されます。
他の取締役(指名委員会に属していない取締役)がその問題について責任を追及されることは会社法上ありません。
しかし、監査役設置会社における指名委員会の決定内容に問題がある場合は、
その指名委員会のメンバーのみが責任を追及されるのではなく、全取締役が責任を追及されます。
簡単に言えば、会社法上定義された機関単位でしか取締役を区分できない、ということになるのです。

 

 



2017年5月23日(火)日本経済新聞
初のペイオフが終結 振興銀 保護対象外4割カット
(記事)



 


【コメント】
記事の冒頭を引用しますと、

>日本初のペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)が6年8カ月で終結した。

とのことです。
改めて考えてみますと、銀行は法人に対する長期貸出金を保有しているわけです。
銀行が正常な営業を行っている場合は、銀行の資産は事実上全て(ほぼ100%)が法人に対する長期貸出金になるはずです。
清算開始日から返済期日までの期間が10年や20年を超える貸出金があっても何らおかしくはないわけです。
理論的には、貸出期間の最大値は法人税法上定義される減価償却期間の最大値とイコールになるはずです。
銀行(貸主)が経営破綻したことを理由に法人(借主)は借入金を期日前に返済しなければならない、
などという考え方はもちろんないことを鑑みますと、銀行の清算手続きは必然的に極めて長期間に及ぶわけです。
最近では、地銀の経営統合に関し、公正取引委員会の審査をパスすることを理由として、
貸出シェアを引き下げることを目的に貸出金を他行に譲渡する、という事例が見受けられました。
私はこの事例に関し、「そのようなことをしても、確かに一時的には貸出シェアは低下するであろうが、
正常な営業を続ける限り、銀行の貸出シェアは結局再び増加するだけだ。」と書きました。
しかし、清算手続きをできる限り早期に終わらせるために、銀行(清算法人)保有の貸出金を他行に譲渡することは、
極めて理に適っていると思いました。
もちろん、不良債権を他行に譲渡することは実務上は極めて難しいのでしょうが、私がここで言いたいのは、
「清算手続きを早期に終わらせる手段」としては、清算人は貸出金の返済期日まで待つのではなく、
貸出金を他行に譲渡することを考えるべきだ、ということを言いたいわけです。
清算手続きにおける会社財産の処分(換金)とは、銀行で言えば、貸出金の他行への譲渡、ということではないかと思います。

 



それで、記事を読んでいまして、これはおかしいなと思う記述がありました。
それは、「預金者への弁済日が預金者によって異なる」ということがうかがえる次の記述です。

>清算法人の日本振興清算が預金者への弁済を終え、2日付で清算した。
>当時の預金残高約6千億円(約12万人)のうち、ペイオフで保護された1000万円以内の預金は全額弁済してる。
>1000万円超の預金について、弁済手続きを進めていた。

一時期(16年程前)、「ペイオフ解禁」と言って話題になりましたが、ペイオフが凍結されていようがペイオフが解禁されようが、
どちらの場合においても、預金者には預金保険制度を活用した弁済手続きが行われることに変わりはないわけです。
ペイオフが凍結されている場合は、預金者には預金保険制度に基づき預金の全額が弁済されるというだけであり、
ペイオフが解禁されている場合は、預金者には預金保険制度に基づき預金の1000万円までが弁済されるというだけなのです。
銀行に十分な現金(会社財産)がある場合は、預金保険制度に頼ることなしに預金の全額を弁済できるわけですが、
銀行に十分な現金(会社財産)がない場合は、預金保険制度を活用して預金額のうち所定の金額を弁済する、となるわけです。
一言で言えば、弁済不足額を弁済するのは銀行ではなく預金保険機構だ、ということです。
銀行は、清算手続きの中で、最大限預金の払い戻しを行うわけです。
しかし、最大限預金の払い戻しを行っても所定の金額を払い戻すことができないので、預金保険制度を活用する、
という流れになるわけです。
その際、預金者に対する預金の弁済手続きとしては、
まずは清算人が換金した会社財産(現金)を全預金者に対して預金額に応じて平等に弁済する、ということをするわけです。
その時、預金額が1000万円以下だった預金者もいれば1000万円超だった預金者もいるわけですが、
とにかくまずは全預金者に対して預金額に応じて平等に弁済するわけです。
そして、その(預金者の預金額ではなく)銀行からの「弁済額」が1000万円以上となった預金者に対しては、
預金保険機構からはそれ以上の保証はない、ということになります(それが1000万円までは保護されるの意味)。
一方、その(預金者の預金額ではなく)銀行からの「弁済額」が1000万円以下となった預金者に対しては、
預金額か1000万円かのどちらか小さい方の金額に達するまで、預金保険機構から保証が受けられます。
例えば、預金額が900万円なら、「900万円−銀行からの弁済額」を預金保険機構から受け取ることができる、
ということになるわけです。
端的に言えば、本来受け取るべき金額と実際の弁済額との差額を預金保険機構が支払う、というのが預金保険制度なのです。
ですので、上に引用した記述とは異なり、銀行(清算人)が1000万円以下の預金を先に弁済する、という考え方はないわけです。
銀行からの預金の弁済は、預金額に関わらず、全預金者が同時に、なのです(つまり、銀行からの弁済率は全預金者で同じになる)。
預金者が穂金保険機構から事後的に差額を受け取れるか否かは、実際の弁済額と預金額と1000万円との見合いで決まるのです。
銀行は、実際の弁済額以上の弁済は行いたくても行えないのです。
預金保険機構が差額を預金者に支払う結果、各預金者に対するトータルの弁済率は、実は預金者ごとに大きく異なることになります。



Under the Deposit Insurance System, Deposit Insurance Corporation of Japan
pays directly to each depositor only the difference between his rightful amount and his actual repayment.

預金保険期制度では、預金保険機構は各預金者に対し本来の金額と実際の返済額との差額のみを直接支払うのです。