2017年5月9日(火)



2017年5月9日(火)日本経済新聞
ご挨拶
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ グループ誕生
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社
コーケン化学株式会社
株式会社協成
(記事)




2017年4月28日
株式会社アドバンテッジパートナーズ
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社 (旧株式会社 AP48)による
コーケン化学株式会社の譲受に関するお知らせ
ttp://www.advantagepartners.com/wp/wp-content/uploads/2017/04/------------------------_UPT_20170427clean.pdf

 

2017年4月28日
コーケン化学株式会社
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社による当社株式譲受について
ttp://www.kohkenc.co.jp/161024152608/pdf/kohkenc_news_20170427_cl.pdf

 

2017年4月28日
株式会社協成
当社の親会社によるコーケン化学株式会社株式の譲受について
ttp://www.kyoseiltd.co.jp/news/20170428_JP.pdf

 

2015年11月30日
株式会社アドバンテッジパートナーズ
株式会社協成株式の譲受に関するお知らせ
ttp://www.advantagepartners.com/wp/wp-content/uploads/2016/03/151130_01.pdf

 



【コメント】
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社という会社は、
株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドが出資する持株会社であるようです。
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社は、
2015年11月30日に株式会社協成の全株式を取得し、そして、
このたび2017年4月28日にはコーケン化学株式会社の全株式を取得したようです。
ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社は、持株会社として、
フォトエッチング加工を手掛ける企業を次々と(と言っても現在計2社だけですが)傘下に収めているようです。
ただ、グーグルで「ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社」というキーワードで検索する限り、
「ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社」には公式ウェブサイトはないようです。
「ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ株式会社」の出資者である株式会社アドバンテッジパートナーズが、
このたびの株式取得に関するプレスリリースを発表しています。
また、株式会社協成もコーケン化学株式会社も、どちらも非上場企業であり、
このたびの株式取得に関しては紹介しているプレスリリースのみが発表されているだけです。
参考までに、株式会社アドバンテッジパートナーズがプレスリリースを発表しているページを紹介します。

ニュース一覧(株式会社アドバンテッジパートナーズ )
ttp://www.advantagepartners.com/news

どのプレスリリースを見ても、非常に短く簡素な内容となっています。
これらのプレスリリースを読んでも、実際には投資判断に役立てることは極めて難しいと思いました。
ただ、これら非上場企業(ファンドも含む)が発表しているプレスリリースというのは、
そもそも投資判断に資するために発表しているものではない、と言えるのかもしれないなと思いました。
あくまでもお知らせや参考情報といった位置付けで業務上の出来事を簡単に発表しているだけであり、
どの会社にもこれらのプレスリリースをもって投資判断を行ってもらおうという気は毛頭ないのだと思います。

 



情報開示という観点から言えば、非上場企業の対極にあるのが上場企業であるわけですが、
上場企業の株式は、証券取引所(株式市場)で取引されるわけです。
証券取引所に関連して、今日は次のような記事がありました。


2017年5月9日(火)日本経済新聞 一目均衡
緩和競争に揺れる東証
(記事)



記事の主旨は、無議決権株式の上場は是か非か、議決権の個数の異なる株式の上場は是か非か、となろうかと思います。
もっと簡単に言えば、種類株式の上場は是か非か、となろうかと思います。
記事の論調は、種類株式の上場は認めるべきではない、であるようです。
その理由として、株主平等の原則に反することや投資家保護の観点に反することが挙げられています。
種類株式の法理上の問題点に関しては今までも何回か書いたかと思いますが、
種類株式の法理上の問題点を一言で言うならば、「残余財産の分配を平等に行うことが不可能である。」となろうかと思います。
会社清算時に、残余財産が100円あるとして、会社が発行している株式は、普通株式が1株、種類株式が1株だとします。
残余財産100円を、一体どうやって普通株式1株と種類株式1株とに平等に分けたらよいというのでしょうか。
株主は、出資の見返りとして残余財産を受け取るわけです。
残余財産は1つしかない以上、残余財産が2つに分配されることに説明など付きはしないのです。
これは、金融商品取引法分野(証券市場)の問題ではなく、純粋に会社法分野(会社制度)の問題なのです。
株式の種類が2種類ありますと、残余財産を平等に分けようがなくなってしまうわけです。
これが種類株式を発行することの問題点だと思います。
記事の最後の部分には、

>東証内部では「三越理論」という言葉がしばしば語られる。
>伝統ある百貨店の三越のように、東証の「のし」を付けて投資家に商品(上場企業)を提供する以上、
>異質なものは認められないという意味だ。

と書かれています。
何となく意味は分かるのですが、上場企業株式に「のし」を付けているのは、証券取引所ではなく、監査法人ではないでしょうか。
証券取引所は、ただ単に株式を取引する場(投資家同士が出会う場)を提供しているだけです。



ただ、証券取引所で株式を取引させるための条件として、監査法人からの監査意見(無限定適正意見)を「のし」として
株式に付けることが発行者(上場企業)には義務付けられている、ということではないかと思います。
「東証1部上場」には意味はないのです。
「無限定適正意見」に意味があるのです。
証券取引所が投資家に商品(上場企業)を提供することはないかと思います。
投資家に商品(上場企業)を提供するのは、発行者(上場企業)自身か、もしくは、仲介や窓口の役割は果たす証券会社、
ということになるのではないかと思います。
改めて考えてますと、上場を承認するのは、証券取引所ではなく、究極的には監査法人と言えるでしょう。
証券取引所は、良しも悪しくも「形式的要件」を満たしているか否かのみで、上場の可否を決めるべきでしょう。
全ての「形式的要件」を満たしているのに、証券取引所が上場を認めないというのは話がおかしいと思います。
全ての「形式的要件」を満たしているのなら、どんな企業でも上場してよいはずです。
極端な言い方をしますと、証券取引所が上場の可否について何かを判断するということはしてはならないのです。
証券取引所は裁判所ではありません。
敢えて裁判所に相当する役割(正しいかどうか判断する役割)を果たす存在を挙げるならば、それはまさに監査法人なのです。
記事には、米SECの方針として、

>開示資料さえ調えば、あとは投資家の自己責任と割り切る

と書かれていますが、実はこれはまさに証券取引所のあるべき姿だと思います。
ただ、その開示資料に問題がないかどうかを監査法人が監査をする、ということではないかと思います。
「投資家保護を徹底する」とは、「開示資料に問題がないかどうか徹底的に監査する」ということだと思います。
規律ある市場は、本質的に監査法人による監査によって支えられている、と考えるべきなのです。
規律ある市場は、証券取引所の経営戦略によって支えられているわけでは決していないのです。
記事を読んで今日思いましたのは、「投資家保護の観点に反する以前に株主平等の原則に反している。」という点です。
投資家保護の観点に適うためには、そもそも株主平等の原則に則った株式発行が会社には求められる、と思いました。
会社制度として株主平等の原則が守られて初めて、投資家保護を図っていくことができる、と思いました。
他の言い方をすれば、会社法という土台の上に金融商品取引法がある(会社法がおかしいと金融商品取引法もおかしくなる)、
という見方をしなければならないと思いました。



It is not the stock exchange but an independent auditor that judges the qualification of listing, actually.

上場の可否を判断するのは、証券取引所ではなく、実は独立監査人なのです。