2017年5月6日(土)
遺言(日本公証人連合会)
ttp://www.koshonin.gr.jp/business/b01
【コメント】
自分が死亡する時に備え遺言を行っておきたい場合は、公証役場で「遺言公正証書」を作成する必要があるようです。
日本公証人連合会のサイトには、
>遺言の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という、3つの方式が定められています。
と書かれていますが、絶対もめ事が起こらないと言えるのはやはり「公正証書遺言」だけであると思います。
その理由は、「遺言公正証書」の正本と謄本を、遺言者本人と相続人とに交付するからです。
例えば、「秘密証書遺言」の場合ですと、遺言者が遺言書を自宅で下書きした場合などに問題が生じ得ると思います。
つまり、下書きが自宅に残っていた場合(そして相続人がその下書きを本物の遺言書だと勘違いした場合)、
どちらが本当の遺言書か分からなくなる恐れが生じるわけです。
確かに、遺言者が公証人に提出した遺言書が法律上の本物の遺言書、という考え方にはなるわけですが、
遺言書(遺言内容)を誰も確認していないという意味では、極端に言えば、遺言者すら遺言内容を把握していない、
という状況が生じてしまうと言っていいわけです。
要するに、公正証書というのは、遺言者も含めて「この内容で間違いない。」ということを第三者が確認・証明することに
意味があると言えるわけです。
確かに、「秘密証書遺言」では、一定の手続きを経ることにより、
その遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることを明確にすることはできると思いますが、
「その遺言書」は遺言者が意図した内容になっているかどうかは遺言者も第三者(公証人)も確認していないわけです。
したがって、公証人は、遺言内容が遺言者が意図した内容になっているかどうかを証明することができないのです。
「公正証書遺言」とは、遺言内容が間違いなく遺言者の意思通りであることを、公証人が保証・証明する制度なのです。
「秘密証書遺言」では、その保証・証明を公証人が行うことができないのです。
遺言者が間違えて下書きの方を封印してしまった場合、遺言者の意図とは異なる遺言内容が執行されてしまいます。
間違いなく遺言者本人が提出した、ということだけ保証・証明できればよい、というわけではないのです。
遺言者の自己責任で済むのなら、始めから公正証書はいらないわけです。
「遺言書の記載内容は、間違いなく遺言者が意図している遺言内容を表しています。」、
ということを保証・証明するために、公証人は遺言書の正本と謄本を遺言書に交付するのです。
公証人が正本と謄本を交付する理由は、正本と謄本に記載されている遺言内容が遺言者の意思であることを証明するためです。
遺言書の内容は遺言者本人の意思に間違いない、ということを公証人が確認することに、公正証書の意味があるのです。
その意味において、公正証書という観点から言えば、「秘密証書遺言」というのは矛盾にも近い制度だと言えると思います。
それから、公正証書作成の手数料が「遺言の財産額」によって変動するとのことですが、その考え方は間違いです。
なぜなら、相続する財産の金額は、相続や遺贈のその時まで確定はしないからです。
現預金だけであれば、相続する財産の金額は変動しませんが、不動産や有価証券の場合は、相続や遺贈のその時まで変動します。
また、遺言者個人の身の回りの私物と言いますか、遺言者が製作したものなど、そもそも価額がないものもあるわけです。
目的財産の価額で手数料が変わるというのは様々な点でおかしいわけです。
最後に、英語についてですが、「公正証書」は英語で、"a
notarized document"と訳すようです。
したがって、「公正証書による遺言」(行為)は英語で、"a will made by a
notarized document"と訳すようです。
また、公証人が作成する「遺言公正証書」(書面)は英語で、"a notarized document
of a will"と訳すのだと思います。