2017年4月21日(金)



2017年4月20日(木)日本経済新聞
法人税 電子申告を義務に 財務省・国税庁 事務負担軽く 19年度にも実施
(記事)




【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
ttp://www.e-tax.nta.go.jp/index.html


よくある質問(Q&A)(イータックス)
ttp://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/yokuaru.htm

 



【コメント】
記事の主旨は冒頭に書かれているのですが、冒頭部分を引用しますと、

>財務省と国税庁は企業が法人税と消費税の税務申告をする際、インターネットを使った電子申告(e-Tax)を義務化する方針だ。

と書かれています。
「電子申告を義務化する」ということは、国税庁(税務署)では紙(確定申告書)による確定申告は逆にその後は受け付けなくなる、
ということなのだろうか、と思いました。
従来は、紙(確定申告書)による確定申告が義務付けられていたわけです。
ところが、電子申告を義務付けるということは、税務当局としては確定申告としてはそれで必要十分であることを意味するわけです。
すなわち、紙(確定申告書)による確定申告を行う納税者が文字通り1人もいなくなる、ということを意味するはずです。
なぜなら、紙(確定申告書)による確定申告を行おうとするその納税者は、既に電子申告を行っているはずだからです。
税務署の窓口まで確定申告をしに行っても、職員からは「電子申告でお願いします。」と言われるだけ、となるのだと思います。
法人税に関しては、文字通り、「確定申告書」(紙)がこの世からなくなる、ということになるのだと思います。
ただ、「確定申告書」(紙)自体は廃止ですが、納税者は確定申告書と全く同じ内容をイータックスのウェブサイト上で入力する、
ということになるのでしょうから、納税者にとっては、結局事務負担が大きく減るということはないと思います。
電子申告が義務化されますと、税務当局側にとって、事務負担が大きく減るということになると思います。
それから、記事には、電子申告の義務化に伴う納税者側のメリットとして、

>申告に関する書類は9年間の保存義務があり、大量の書類を保存する倉庫を確保しなければならない。
>電子申告の義務化で保存コストの削減にもつながるとみている。

と書かれていますが、申告に関する大量の書類(経理書類)を保存しなければならないのは、電子申告の義務化後も変わりません。
電子申告とは言っても、それはあくまで「確定申告」のみをイータックスのウェブサイト上で行う、ということに過ぎません。
つまり、「確定申告」を、紙(確定申告書)で行うのかイータックスのウェブサイト上で行うのか、の違いしかないわけです。
イータックスのウェブサイト上で確定申告を行ったのだから、会社では申告に関する大量の書類(経理書類)を廃棄してよい、
などということには一切ならないわけです。
電子申告を行うことにしても、廃棄してよい伝票や領収書は1枚も生じません。
「確定申告書」(紙)に記載した内容は、もしくは、イータックスのウェブサイト上で入力した内容は、
間違いなく正しかったのかどうかを事後的に確認できるように、
会社(納税者)は確定申告後も申告に関する大量の書類(経理書類)を保存しておかなければならないわけです。
何でも、最近の改正では、申告に関する書類(経理書類)をスキャナで電子化し、スキャナ本体と共に保存することにすれば、
申告に関する書類(経理書類)は廃棄してよい(紙は廃棄し電子データだけあればよい)、という取扱いにはなるようですが。
ただ、少なくとも、電子申告を行いさえすれば申告に関する大量の書類(経理書類)を廃棄してよい、
という取扱いには絶対なりません。
背後にある「証憑」(取引)の部分と最後の「申告」(結果)の部分とは、分けて考えなければなりません。
どちらも電子化するなら電子化するでよいとは思うのですが、
少なくとも、「申告の電子化は証憑の電子化を意味しない」
(電子申告をすることにしたのだからといって証憑も無条件に電子化もしくは廃棄してよいというわけではない)、
という点には注意が必要です(証憑を基に申告を行う、という考え方が大切です)。

 



それから、紹介している2017年4月20日(木)付けの日本経済新聞の記事ですが、スキャンを少し間違えてしまいました。
おそらく、文章が一段分抜けていると思います。
正確に言うと、スキャン自体は正しく行ったのだと思いますが、その後、
読みやすくしよう思い画像の大きさが小さくなるよう文章の位置を変更した(画像ファイルを編集した)のですが、
その際、私がミスをしてしまい文章を一段抜かしてしまったようです。
新聞から切り抜いた記事のまま(紙のまま)であればこのようなことは起こらなかっただろう、と思いました。
実務上、領収書などは、現実には紙の形でしかもらえないことも多いと思います。
自分が間違えたから言うわけではありませんが、証憑の電子化(スキャン)には現実的な問題も残るように思いました。
それで、法人税の電子申告の義務化について他に記事はないだろうかと思って検索してみますと、次の記事がヒットしました。

法人税、電子申告を義務に  財務省・国税庁、事務負担軽く 19年度にも実施  2017/4/20付|日本経済新聞 朝刊
ttp://www.nikkei.com/article/DGKKASDG19H94_Z10C17A4MM8000/

><訂正>20日付朝刊1面「法人税、電子申告を義務に」の記事中、「6カ月程度かかる還付は3カ月程度」とあったのは
>「6週間程度かかる還付は3週間程度」の誤りでした。(2017/4/20 17:41)

記事の内容自体は同じなのですが、紹介している2017年4月20日(木)付けの日本経済新聞の記事の「訂正」が書かれていました。
ちょうど私がスキャンを間違えた(文章を一段抜かしてしまった)ところに訂正が入っています。
訂正を踏まえますと、電子申告を行う場合は、法人税の還付は3週間程度で行われるようになる、とのことです。
確認のため、上記イータックスのサイト中の「よくある質問(Q&A)」から、「還付」というキーワードで検索してみました。
すると、還付に関する17件のQ&Aがヒットしたのですが、それらの中には、次のような回答がありました。

>処理状況が確認可能となるのは、e-Taxを利用して還付申告を行った日から、2週間程度経過した日からとなります。

>税務署において還付金の支払手続が完了した方について、支払手続日が表示されますので、支払手続が終わるまでお待ちください。
>なお、支払手続日は、税務署が支払手続を行う予定日であり、
>実際の入金までに金融機関の休日を除き4、5日程度要する場合があります。

これらの記述を総合しますと、確かに、
イータックスを利用して還付申告を行った日から還付手続きの完了まで(実際に入金されるまで)3週間程度かかるようです。
電子データというのは、検索が容易であったり場所をとらないといった大きなメリットがある反面、
技術的には「誰にでもそれと同じデータを作成できる」(データに区別がない)というディメリットもあるわけです。
実務上電子データを活用すること自体は問題はないのですが、
やはり原本(紙)は別途保存するということも現実には重要なことなのだろうとも思いました。