2017年4月18日(火)
昨今の株式会社東芝の上場廃止回避問題に関する結論
2017年4月13日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170413.htm
2017年4月14日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170412.htm
2017年4月16日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170412.htm
【コメント】
記事には、四半期決算の会計監査は「レビュー」と呼ばれる監査であり、会計監査人が簡素的なチェックのみを行う監査であり、
本決算(通期の決算)よりも簡素な手続きに基づき会計監査が行われる、と書かれています。
確かに、そのこと自体は正しいのですが、2017年4月13日(木)のコメントでも書きましたように、
四半期決算の監査(レビュー)においても「無限定適正意見」を会計監査人からもらわなければ、
会社は四半期報告書を提出できない(「無限定適正意見」のない四半期報告書は提出していないことと同じである)わけです。
上場規則上、四半期決算の監査(レビュー)においても「無限定適正意見」をもらわなければ、会社は上場廃止となるのです。
その意味において、本決算の監査と四半期決算の監査とでは、
監査手続きに若干の際はあろうとも、監査意見の重要性に差異は全くない、と言わねばならないのです。
それから、2017年4月13日(木)のコメントの最後に、
A court has no limit of time to pass judgment. (裁判所には、判決を下すまでの期限はありません。)
と書きました。
これは、「会計監査人には、監査意見を表明するまでの期限がある。」ということと対比させて書いたものです。
上場企業は、決算期末日(四半期)から45日以内に「無限定適正意見」が付された四半期報告書を、
決算期末日(通期)から90日以内に「無限定適正意見」が付された有価証券報告書を、金融庁に提出しなければなりません。
このことは別の角度から言えば、
会計監査人は、決算期末日(四半期)から45日以内に「監査意見」を記載した四半期レビュー報告書を、
決算期末日(通期)から90日以内に「監査意見」を記載した監査報告書を、上場企業に提出しなければならない、
ということです。
もちろん、その「監査意見」は「無限定適正意見」の場合もあれば「意見不表明」の場合もあるでしょうが、
「監査を行った結果」(監査の報告書)を会計監査人は上場企業に提出しなければならないわけです。
提出期限を過ぎてから「無限定適正意見」が付された監査報告書を会計監査人から提出されても、上場企業は困るわけです。
このことを鑑みますと、会計監査人と裁判所とを対比させて考えてみますと、
会計監査人による会計監査とは異なり、裁判所には判決を下すまでの期限というのはないな、と思ったのです。
裁判所は、訴えの提起から何ヶ月以内に、もしくは、何年以内に判決を下さなければならない、
という定めはないのではないか、と思ったわけです。
裁判所は、両当事者の主張を聞き、証拠調べを行うための十分な時間を確保しなければなりませんので、
特段、判決を下すまでの期限は設けない、という考え方をしていると思います。
裁判官が、これで十分な法的判断ができると考えるまで、時間は無制限に審理は続けられるわけです。
一方、会計監査の場合は、会計監査人は決算期末日から90日以内(通期)にもしくは45日以内(四半期)に、
「監査意見」を表明しなければならないわけです。
各期限までに会計監査人が「監査意見」を表明しない場合は、会社が上場廃止になるわけです。
監査証拠をさらに入手した上で判断したいのでもう少しだけ監査を行う時間を下さい、というわけにはいかないのです。
金融商品取引法そして公認会計士が遵守すべき法令やルールには、「監査意見」の提出期限に関する直接の規定はない
のかもしれませんが、四半期報告書と有価証券報告書の提出期限から「監査意見」の提出期限が自ずと決まってくるわけです。
「会社が四半期報告書を提出できない」ではなく、監査時間の不足を理由に「会計監査人が四半期レビュー報告書を提出できない」
という場面を想定してみますと、この場合会社が上場廃止になる原因はどちらにあると言えるのだろうか、とふと思いました。
判断を行う者が「結論を表明するまでの時間」という意味において、裁判と会計監査は大きく異なるな、と思いました。
非常に長期間に及び得る裁判と比較すると、会計監査には明確な監査終了期限が始めから設けられているな、と思いました。