2017年4月10日(月)



2017年4月6日(木)日本経済新聞
ソニー特損計上 前期単独1458億円 子会社債務保証巡り
(記事)




2017年4月7日
ソニー株式会社
電池事業の譲渡に関連するソニー株式会社から株式会社東北村田製作所への会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ
ttps://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/news/20170407_J.pdf

 


【コメント】
2017年4月6日(木)付けの日本経済新聞の記事になりますが、記事の冒頭には、

>ソニーは5日、2017年3月期単独決算で1458億円の特別損失を計上すると発表した。

と書かれています。
ソニー株式会社のウェブサイトから関連するプレスリリースを探してみたのですが、
ウェブサイトを見る限り、2017年4月5日には特にプレスリリースは発表されていないようです。
関連するプレスリリースとしては、2017年4月7日に発表された紹介しているプレスリリースのみようです。
ただ、記事には、ソニー株式会社が電池子会社の借入金に対して行っていた債務保証について書かれているのですが、
プレスリリースには債務保証については一切書かれていません。
記事とプレスリリースの内容にはあまり整合性がないように思いました。
また、プレスリリースの文章も少しおかしいように思いました。
以下、プレスリースではなく(一部参考にはしますが)、主に2017年4月6日(木)付けの日本経済新聞の記事の内容を踏まえ、
子会社に対する債務保証について一言だけコメントを書きたいと思います。
まず、頭の整理のため、会社名だけはプレスリリースを参考にするとして、
記事の内容を踏まえ、このたびのソニーグループにおける電池事業の吸収分割の関係を図に描いてみました。

「ソニーグループにおける電池事業の吸収分割の関係図」


この事例で私が気になったのは、電池事業の吸収分割の部分ではなく、
「子会社から子会社に対する貸付とその貸付に対する親会社からの債務保証、そしてその債務保証の履行の損金算入の可能性」
という部分なのです。
この事例では、「親会社が、子会社が別の子会社からの借入金について債務保証を行っていた」という関係にあるわけですが、
この融資関係・債務保証関係を見て、私はあることが頭に思い浮かびました。
それは、「親会社の子会社に対する貸付金と、別の子会社のその子会社に対する貸付金との間に、差異はあるだろうか?」
という点です。
言葉では説明しづらいですので、図を描きましたので参考にして下さい。

「子会社間における貸倒損失の損金算入の可否の検討」




この事例では債務保証が論点になっていますが、事の本質部分は同じではないかと感じまして、
債務保証ではなく貸倒損失(貸付先が倒産・清算したと想定)でこの事例について考えてみたわけです。
この事例に即して言えば、ソニー株式会社が電池子会社の借入金に対して債務保証を行っておらず、
結果、ソニーグループの金融子会社がその電池子会社に対する貸倒損失を計上した、という場面を考えてみました。
描きました図の中にも書いていますが、図中の「貸付金@」と「貸付金A」は損金算入の可否という点では同じ取り扱いになる
のではないかと思いました。
なぜなら、「貸付金A」は「貸付金@」と同じく「親会社」の意思に基づき貸し付けられたもの、という見方ができるからです。
現行の法人税法上は、「貸付金A」の貸倒損失は損金算入という取り扱いになるのではないかと思いますが、
意思決定や意思決定機関という点を鑑みれば、理論的には「貸付金A」の貸倒損失は損金不算入となるはずだと思いました。
そして、この問題点は、煎じ詰めれば、現代の法人という考え方の問題点と根は同じである、と思いました。
法人というのは、悪く言えば、

It's truly an air person. (法人というのは空気のような人だ。)

と思いました。
概念的に言えば、法人というのは、独自の意思決定機関がなく、出資者の意思の媒体として存在するだけだ、
という言い方ができるのではないかと思いました。
仮に出資者による議決権というのがなければ、法人には独自の意思決定機関がある、と言えると思いました。
最後に、参考までに、会計処理のガイドブックから、「貸倒損失」に関する税務上の処理についての説明をスキャンして紹介します。

「子会社等に対する債権放棄」


 


From a viewpoint of "decision-making," Company Y lends its own cssh to Company X
on the basis of the desicion of the parent company.

「意思決定」という観点から見ると、親会社の意思に基づき、子会社Yは所有現金を子会社Xに貸し付けているのです。

 

It is true that a subsidiary company has its own independent personality in it,
but it doesn't have an independent organ to decide.

確かに、子会社は独立した人格を持っていますが、独立した意思決定機関は持っていないのです。

 

It is quite natural that the fact that a parent company controls the decision-making organ of its subsidiary company's
causes various problems concerning "decision-making."

親会社が子会社の意思決定機関を支配していると「意思決定」に関する様々な問題が起こるのは当たり前のことなのです。

 

Can one person control another person?

人は自分以外の人を支配できるでしょうか?

 

One person can control another person, that's a juridical person.
Without a voting right, a juridical person is not under the paradoxical control.

人が自分以外の人を支配できる、それが法人なのです。
議決権がなければ、法人は矛盾した支配は受けないのです。

 

On the principle of law, concerning a juridical person,
the will of a juridical person's must absolutely be separated from that of investors'.

法理的には、法人に関して言えば、法人の意思は絶対に出資者の意思から切り離されていなければならないのです。