2017年3月22日(水)
人気劇画「ゴルゴ13」の主人公が、海外に進出する日本の中堅・中小企業の安全対策の指南役に指名された。
外務省のホームページに掲載された安全対策マニュアルに登場し、世界各地を飛び回りながら、企業にアドバイスする、
という設定だ。
外務省は昨年7月にバングラデシュで日本人7人が殺害された人質事件を受け、
大企業に比べ安全対策が不十分な中堅・中小企業向けのマニュアル整備に着手。
「日本企業に意識を持ってもらうため、(ゴルゴの主人公)デューク東郷にお出まし願いたいと思った」(岸田文雄外相)。
マニュアルは連載形式で、6月13日まで計13回にわたって掲載予定。コミック版10万部も全国配布する。
この日はゴルゴの作者さいとう・たかを氏が外務省を訪ね、岸田外相と面会。
「(安全について)しっかり考えてもらうきっかけになれば」と話した。
(朝日新聞 2017年3月22日20時57分)
ttp://www.asahi.com/articles/ASK3Q5J71K3QUTFK00Q.html
「それで大臣…要点はなんだ…」 外務省、ゴルゴ13に中小企業テロ対策をオファー HPに漫画全13回掲載
外務省は22日、漫画「ゴルゴ13」の主人公、デューク東郷が中小企業向けの海外安全対策マニュアル
を説明する漫画をホームページに掲載した。
デューク東郷が外相の依頼を受ける設定で、週1回連載。
ゴルゴ13にちなみ、計13回にわたりテロの備えや有事での対応について解説する。
昨年7月にバングラデシュのダッカで発生した武装集団による飲食店襲撃で邦人を含む20人が殺害された事件を受け、
海外に展開する中小企業の安全対策の周知徹底を図る取り組みの一環。
作者のさいとう・たかを氏の協力を得て編集した。連載が終了する6月には全国の商工会議所などを通じ、コミック版を配布する。
デューク東郷は要人を暗殺するスナイパーという設定のため省内には懸念する声もあったが、
ゴルゴ13の読者層が30〜50歳代男性で中小企業経営者層と重なることや、知名度などが決め手となった。
デューク東郷は作中で、多額の報酬をスイス銀行に振り込むよう求めることで知られるが、
能化正樹領事局長は22日、「会計規則に従ってきちんと振り込んだ」と説明した。
(産経新聞 2017.3.22
18:46更新)
ttp://www.sankei.com/politics/news/170322/plt1703220019-n1.html
「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」
ttp://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
【コメント】
外務省がついにあのゴルゴ13に依頼をしたようです。
と言っても、依頼内容は、専門のスナイプではなく、海外でのテロへの備えや有事での対応についての解説、という触れ込みです。
外務省から依頼を受けたゴルゴ13が、世界各地を飛び回りながら、現地に進出した日本企業にアドバイスをする、という設定です。
大企業では既に十分な対策が取られているということを鑑みてなのか、
このたびのアドバイスは、中堅・中小企業向け、という位置付けになっているようです。
マニュアルは連載形式で、6月13日まで計13回にわたって掲載予定とのことです。
毎週火曜日は、上記「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」のページをチェックしなければならないようです。
連載が終了する6月には、中堅・中小企業向けのアドバイスだからなのだと思いますが、
全国の商工会議所などを通じ、コミック版を10万部も配布するとなっているようです。
この企画はギャグなのかまじめなのかよく分からないところもある一方、
ゴルゴ13が登場するマニュアルの漫画の部分はいつもの通り至ってシリアスな作画(劇画風)です。
産経新聞の記事の最後には、
> デューク東郷は作中で、多額の報酬をスイス銀行に振り込むよう求めることで知られるが、
>能化正樹領事局長は22日、「会計規則に従ってきちんと振り込んだ」と説明した。
と書かれてあり、外務省はジョークも忘れていないようです。
先日は、経済産業省が「すべての執務室を施錠する」という次のような報道がありました↓。
経産省、すべての執務室を施錠 情報管理強化
経済産業省は27日から、情報管理を徹底するためすべての執務室を施錠した。
外部訪問者や報道機関の取材は会議室などで対応する。
中央省庁は機密性の極めて高い部局を除き鍵を開けている場合が多く、全室施錠は珍しいという。
執務室の扉を電子的に施錠し、職員が解除しなければ開かないようにした。
訪問者は事前にアポイントメントを取って出向き、廊下の内線電話で担当者を呼ぶ。
会議室や食堂の空きスペースなどに移動して面談する。
これまでは基本的に執務室内で応じていた。
取材の際はメモを取る職員を同席させ、やりとりを広報室に報告させるという。
経産省は「企業の再編や投資案件などの機密情報を扱っているため」と説明している。
(日本経済新聞 2017/2/27
21:41)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27HGS_X20C17A2CR8000/
経済産業省は「施錠」ですが、このたびの外務省は「政情」、といったところでしょうか。
また、経済産業省は「施錠」ですが、ゴルゴ13は「背死様」(「せしよう」。私の造語です)、といったところでしょうか。
この造語は、ゴルゴ13の背後に立つと死ぬ様になる(ゴルゴ13に殺される)、という意味です。
外務省はゴルゴ13との折衝は大変だったと思いますが、依頼を引き受けてもらってほっと胸をなでおろしていることでしょう。
「この話はなかったことにしてもらおう」と言われていたら、「そんな殺生な」とゴルゴ13に言わなければならなかったでしょう。
本日掲載された「第1話」の最後には、ゴルゴ13が「話は、マニュアルを読んでからにしてもらおう・・・」
と言っている絵が載っています。
マニュアルという言葉は、時に悪い意味で使われます。
融通が利かないであったり柔軟性がないであったり決められた通りにしか動けない、といった意味で使われることもあると思います。
しかし、マニュアルには「物事の基本」が書かれているのもまた確かかと思います。
「下手の考え休むに似たり」ということわざがありますが、
下手な者がいくら長時間考え込んでも名案など浮かばずもないのだから、あれこれ考えて時間を無駄にするのではなく、
そういう時はマニュアル通りに動くべきなのだと思います。
マニュアルが作成されているのには作成されているなりの理由があるのですから。
その理由もよく分からずに、マニュアルを無視したり、自分に都合よくマニュアルを解釈するのは、
後々問題を引き起こす原因になります。
仕事はいつも完璧だと言われるゴルゴ13ですが、ゴルゴ13も基本的には「定石通り」に仕事をしているのだと思います。
つまり、奇想天外な発想をしているように思われがちなゴルゴ13ですが、
実は、マニュアルを正しく守るであったり、基本に忠実(基本的事柄をきちんと守る)であることを常に心がけて、
ゴルゴ13は仕事をしているのと思います。
「俺がうさぎ(ラビット)のように臆病だからだ・・・が・・・臆病のせいでこうして生きている」
「話は、マニュアルを読んでからにしてもらおう・・・」
No more than a manual, nevertheless a manual.
たかがマニュアル、されどマニュアル。
For I am as cowardly as a rabit. But, I live like this thanks to my cowardice.
というのは、私がうさぎのように臆病だからです。しかし、臆病だったおかげてこうして生きています。
The proverb "Mickle fails that fools think,"
but I understand that a
manual surpasses what fools think,
「馬鹿が考えていることは、たいてい役に立たない。」ということわざがありますが、
マニュアルは馬鹿が考えることよりもましだと聞いています。