2017年1月12日(木)
民事執行手続(裁判所)
ttp://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_02_01/
>差押えの対象となる債権が現実に存在するかどうか,存在するとしてその額等を知りたい場合には,
>陳述催告の申立て(第三債務者に対して,差押債権の有無などにつき回答を求める申立て)をすることができます。
>陳述催告の申立ては,債権差押命令申立てと同時にしてください。
判決等はもらったけれど(強制執行の概要)(裁判所)
ttp://www.courts.go.jp/sendai/saiban/tetuzuki/kyoseisikko/
>(注)差押えを行う相手の財産は、自分で探す必要があります。
裁判手続
民事事件Q&A(裁判所)
ttp://www.courts.go.jp/saiban/qa_minzi/index.html
◆民事裁判の話(民事訴訟の話)◆
強制執行と仮差押え
(庶民の弁護士)
ttp://www.shomin-law.com/minjisaibanshikkou.html
民事執行法概説 民事執行の概略
ttp://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/minjiSikkou/lecture/outline.html
>権利の実現の基本は、相手に任意の履行を求めることである。
>その履行請求も、背後に執行制度が控えているから成果があがるのである。
債務者口座、裁判所が特定 民事執行法改正へ 養育費や賠償金、不払い防止
法務省は12日、民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報を、裁判所が銀行などに照会できる制度の検討を始めた。
金田勝年法相が民事執行法の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。
2018年度以降の法改正を目指す。離婚時に取り決めた養育費や判決が命じた賠償金が支払われない場合、
銀行口座を差し押さえる「強制執行」により回収しやすくする。
(日本経済新聞 2016/9/13
1:30)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H6I_S6A910C1MM8000/
口座特定、裁判所主導へ 養育費や賠償金不払い対策
裁判などで確定した賠償金や子どもの養育費が不払いにならないように、支払い義務がある人の預貯金口座の情報を
金融機関に明らかにさせる仕組みを法務省が導入する。裁判所による強制執行をしやすくする狙いがある。
今秋にも、法相の諮問機関「法制審議会」に民事執行法の改正を諮る見通しで、2018年ごろの国会提出をめざす。
今の制度では、賠償金などの支払い義務が確定した人(債務者)の口座を裁判所が強制的に差し押さえる場合、
支払いを受ける人(債権者)が自力で、その口座のある金融機関の支店名を特定する必要がある。
だが、犯罪被害者が加害者に請求する場合など、相手との接点が少ないと支店名を特定するのは難しかった。
一方、離婚後の子どもの養育費をめぐっては、不払いになる例が相次いでいる。
厚生労働省が11年に実施した調査では、元夫と養育費について取り決めた母子家庭は約4割。
養育費を受け取れているのは全体の約2割で、計算上は、取り決めても約半数は受け取れていないことになる。
法務省の見直し案では、債権者は、債務者が住む地域の地銀など口座がある可能性がある金融機関ごとに
確認を裁判所に申し立てられる。裁判所は各金融機関に照会。口座がある場合はその金融機関の本店に対し、
差し押さえる口座のある支店名や口座の種類、残高などを明らかにするよう命じる制度を新たに設ける。
債権者にとっては、債務者が口座を持つ金融機関名が特定できなくても、見当がつけば足りることになる。
(朝日新聞 2016年8月5日05時21分)
ttp://www.asahi.com/articles/ASJ845DC4J84UTIL02R.html
「民事執行法見直し案のイメージ」
【コメント】
紹介している記事は、一言で言えば、「強制執行」という民事執行手続(裁判上の手続き)に関する記事になります。
この記事は要点が分かりやすくまとめられていると思います。
現在問題となっているのは、「債権者が強制執行を行おうとしても、差押えを行う債務者の財産は、
債権者が自分で探す必要がある。」、という点です。
記事には、
>せっかく裁判までやって勝訴判決を得たのに実際の回収ができないということになると、判決は「絵に描いた餅」であり、
>民事司法制度に対する国民の信頼が揺らぎかねません。
と書かれています。
結局のところ、裁判所というのは法律の力を用いて人に一定の行為を強制させることに意味があるわけです。
「債務者に債務の履行を強制させる」ことが法制度として担保されていなければ、裁判所の意味がないわけです。
これは極めて実務上の問題であり、「決定」の部分と「執行」の部分とが司法制度上分離しているというのは、
少なくとも債権者にとっては「裁判には意味がない」(決定の効果がない)ということと全く同じであろうと思います。
この問題点については、昨年の8月と9月の記事を紹介していますように、今後民事執行法が改正される方針となっているようです。
また、今日紹介している記事には、法改正を待つのではなく(法律の規定に基づいてではなく)、私的な契約の一形態として、
>最近になって東京、大阪などの弁護士会が特定のメガバンクと契約を締結し、
>一定条件を満たした弁護士会からの照会があれば、銀行が預金の有無や残高の照会に応じることとなりました。
と書かれています。
今日のコメントを書くに際して、「民事 強制執行」や「民事執行法
改正」といったキーワードでグーグルで検索したのですが、
分かりやすく解説してあるサイトがたくさんヒットしたように思います。
「強制執行」などに関する詳しい解説は、それらの解説サイトを見ていただければと思います。
以上書きましたことは、「実務上」(法律の実際の規定)の話になるわけなのですが、
今まさに問題となっている「差押えを行う債務者の財産は、債権者が自分で探す必要がある。」という点について、
法理的な観点から見るとどのようなことが言えるだろうか、とふと思いました。
実務上の話をすると、「これはまさに法の不備だ。」(実際上効果が全くない)の一言であるわけですが、
法理的には逆に、「決定」の部分と「執行」の部分とは司法制度上分離していなければならない、
というような考え方があるだろうか、とふと思ったわけです。
結局、「決定」の部分というのは、「債権者の申立ては正しい。」(「法的に正しい。」と)ということを認めたというに過ぎない、
ということになるだろうかと思いました。
そして、そのことと「執行」(特に「強制執行」)とは別だ、ということになるだろうかと思いました。
法理的には、「決定」の部分と「執行」の部分とは分離している方が正しい、ということなのかもしれないなと思いました。
例えば、債務者は裁判所の決定を受けて任意に(間違いを認めて素直に)債務を履行する(債務を弁済する)かもしれないわけです。
理論的には・法制度の構造としては、「決定」の部分と「執行」の部分とは分離しているべきなのだと思います。
ただ、「強制執行」の際に「差押えを行う債務者の財産は、債権者が自分で探す必要がある。」というのは、
やはり「強制執行」の基本概念に反すると思います。
「債権者の申立ては正しい。」と認めれたにも関わらず債務者が債務を履行しない場合に、「強制執行」を行うわけです。
「強制執行」の趣旨を鑑みれば、「差押えを行う債務者の財産は、債権者が自分で探す必要がある。」というのは
実際上の障害を考えれば、やはり間違いであろうと思います。
法人における倒産法制の場合と同じように、強制執行では裁判所が債務者の財産を包括的に差し押さえる制度が必要だと思います。
結局、債務を履行しないというのは、文字通り債務不履行(法人なら通常清算手続きに入る)であるわけですから。
「強制執行」に関しては、主に債務者が自然人の場合を想定しているのだろうと思うのですが、
法人の場合を考えれば分かるように、強制執行でも裁判所が債務者の財産を包括的に差し押さえる必要があると思います。
債権者が「債務者所有のこの財産を差し押さえて下さい。」と個別具体的に財産を指定した場合のみその財産を差し押さえる、
というのは、やはり「強制執行」の趣旨・目的に反するように思います。
債権者は、債務者所有のどの財産が弁済に充てられようが構わない(弁済の引き当てとなる財産はこの際関係はない)わけです。
債務者所有の財産は、一体的にと言いますか包括的にと言いますか、
「債務者の所有財産は1つなのだ。」という観点から債務者の財産を差し押さえる必要があるわけです。
債権者が調査・照会した結果判明した債務者財産を個別に差し押さえる、という考え方は理論的には間違いであろうと思います。
法人清算の際は、債務者(法人)の財産全てを清算人が取りまとめて、債権者に対し平等に弁済を行う、ということをします。
そこに漏れ(判明しなかった債務者財産)があったらおかしいわけです。
「強制執行」でも同じではないかと思いました。
結局のところ、理論的・法理的にも実務上も、民事執行法は改正が必要だと思います。
つまり、理論上は民事執行法は改正する必要はない、というわけではやはりないと思います。
There is advantage that the other party doesn't take you to court
and
there is advantage that the other party takes you to court.
And, there is
advantage that you take the other party to court
and there is advantage that
you don't take the other party to court
裁判沙汰にならない方が有利な場合もあれば裁判沙汰にしてくれた方が有利な場合もある。
また、裁判沙汰にした方が有利な場合もあれば裁判沙汰にしない方が有利な場合もある。
A court is your last resort;
you had better deal with a problem
without drawing the sword if you can.
裁判は伝家の宝刀なのです。
抜かずに済むのなら抜かない方がよいのです。
Collection of a receivable.
金銭債権の回収