2016年12月12日(月)


2016年12月5日(月)日本経済新聞
都内の起業手続き一元化窓口 登記・国税も月内可能に 開設2年弱、煩雑さ解消
(記事)


東京開業ワンストップセンターの取扱業務
ttp://tosbec.org/biz.html

「フロア案内」

 



【コメント】
起業に必要な手続きが1ヶ所で完結する「東京開業ワンストップセンター」という一元化窓口(総合受付場所)があるようです。
記事掲載日である2016年12月5日(月)現在では、法人設立登記と国税の手続きだけはこのセンター内だけでは手続きが完了せず、
それぞれ法務局と税務署に出向く必要があるようですが、2016年内にはそれらの手続きもセンター内で行えるようになるようです。
起業に当たっては、紹介していますセンターの「取扱業務」の全ての手続きを行わなければならないのですが、
今後これらの手続きの全てが1ヶ所で完結するようになるのなら、起業を行う際の利便性は飛躍的に高まるでしょう。
起業の手続きは、「取扱業務」に即して言えば、@定款認証→A法人設立登記→B税務等残り全ての区分の申請・届出、
の順番になると思います。
ですので、現在は法人設立登記と国税の手続きだけはこのセンター内だけでは手続きが完了しないとなりますと、
現在では、@当センター→A法務局→B税務署→当センター、というふうに、センターにも少なくとも2回は訪問する必要があります。
起業に際しては、法人設立登記が一番中心となる手続きだと言っていいと思います。
法人設立登記を完了させないと、税務、雇用保険、労働保険、健康保険、厚生年金保険の手続きを行えないと思います。
各種の申請・届出の際、商業登記簿謄本もしくは全部履歴事項証明書の添付が求められるからです。
また、現在では、マイナンバーの法人版である「法人番号」の提出書類への記載も求められるようです。
まず最初に法人設立登記を完了させることが重要です(法人番号は法人設立登記が完了した時に割り当てられると思います)。
ですので、現在のところは法人設立登記をセンター内で行えないというのは、センターの利便性を非常に損ねていると思います。
年内に法人設立登記と国税の手続きもセンター内で完了させることができるようになるとなりますと、
本当の意味でワンストップで起業に必要な手続きが完了する、ということになると思います。
ただ、この「東京開業ワンストップセンター」が目的としていること(起業の支援)はもちろん良く分かるのですが、
実際には、このセンターにより起業が増加するかと言えば、やはり増加はしないと思います。
その理由は、企業は起業して終わりではないからです。
起業だけであれば確かにこのセンターに1回訪問するだけで完了するわけですが、事業運営を行っていく上では、
事務手続きのため各役所に比較的頻繁に出向く必要が実務上生じてきます。
税務当局への確定申告は少なくとも年に1回は必要ですし、定款の変更や役員の選任を行うだけで法務局で登記が必要です。
また、商取引を行うに当たり、税務上の取り扱いを事前に当局に確認・相談することもあるでしょう。
就業規則を変更する場合も、専門家などに問題がないか確認・相談することはあると思います。
その他社会保険関連でも、専門家や当局に様々な点について確認・相談することはあると思います。
つまり、企業が専門家や当局に相談や確認を行うということは、実務上非常に多いわけです。
たとえそれらの相談や確認についてもこの「東京開業ワンストップセンター」で行えるのだとしても、
それでも結局のところ相談や確認のたびに毎回センターに出向くということが必要になるわけです。
「東京開業ワンストップセンター」の近隣で事業を営んでいるのでもない限り、
相談や確認のたびに毎回センターに出向くというのは、事業運営上利便性が高いとはとても言えないと思います。
何が言いたいのかと言えば、起業だけであればワンストップで済む場合もありますが、
事業運営の上では何かがワンストップで済むことなど現実にはあり得ない、ということです。
むしろ、起業後は、事業運営の上で各専門家や役所に確認や相談を行うことばかりだと思わないといけないと思います。
そのことを考えますと、起業だけはワンストップで完了する、ということには実際にはほとんど意味がないと思います。
「東京開業ワンストップセンター」はあくまで起業の支援を行うことを目的としていると言われればそれまでですが、
そもそもその後事業運営を行っていくために起業をするわけですから、
起業時の専門家や役所への相談や確認ですら面倒臭がるのあれば、とてもその後事業運営を行っていくことはできないと思います。