2016年12月4日(日)
2016年11月30日(水)日本経済新聞
ゴルフ場運営のアコーディア ファンドが1500億円で買収
(記事)
2016年11月30日(水)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社MBKP Resort
(記事)
2016年11月29日
株式会社アコーディア・ゴルフ
株式会社MBKP
Resortによる株式会社アコーディア・ゴルフ株券等(証券コード:2131)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.accordiagolf.co.jp/pdf/161129-1.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
2016年11月29日
株式会社アコーディア・ゴルフ
株式会社MBKP
Resortによる当社株券に対する公開買付けの実施および応募推奨に関するお知らせ
ttp://www.accordiagolf.co.jp/pdf/161129-2.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
2016年11月29日
株式会社アコーディア・ゴルフ
平成29年3月期配当予想の修正および株主優待制度の廃止に関するお知らせ
ttp://www.accordiagolf.co.jp/pdf/161129-3.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
2016年12月1日
株式会社アコーディア・ゴルフ
株式会社アコーディア・ゴルフ株式に対する公開買付けの応募手続等のご案内
ttp://www.accordiagolf.co.jp/pdf/161201.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
2016年12月1日
株式会社アコーディア・ゴルフ
新株予約権の消滅に関するお知らせ
ttp://www.accordiagolf.co.jp/file/pdf/news_20161201143628.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
【コメント】
書きたい論点は他にもあるのですが、今日は、2016年12月1日に株式会社アコーディア・ゴルフが発表している
「株式会社アコーディア・ゴルフ株式に対する公開買付けの応募手続等のご案内」を見て気付いたことを書きます。
「応募受付期間」に関する注記として、「※最終日の応募受付は16
時で締め切りとさせていただきますのでご注意願います。」
と書かれています(5/16ページ)。
他の公開買付の事例では、例えば「最終日の応募受付は15時30分で締め切り」という事例があったかと思います。
応募締め切り時間というのは、公開買付代理人(証券会社)の本支店の営業時間により決まるということなのだろうと思うのですが、
これでは、同じ公開買付手続きでも、指定された公開買付代理人によって受付締切時間が異なる、ということになってしまいます。
実務上は致し方ないことであり問題も小さい話なのかもしれませんが、やはり理屈では締切時間は規定上統一するべきでしょう。
例えば、ある証券会社だけは終了日の次の日でも応募を受け付ける、などと考えてみると、時間の統一が必要だと分かるでしょう。
以上の話よりもはるかに問題が大きいのが公開買付の「受付場所」です。
「受付場所」に関する説明として、大和証券株式会社の本店及び全国各支店で応募を受け付けます、と書かれてあり、
「大和証券以外の金融商品取引業者等を経由した応募は受け付けません。」と太字で強調して書かれています(5/16ページ)。
説明にも書かれていますが、大和証券に口座を持っていない株主は、まずは応募に際して大和証券に口座開設が必要になります。
これは、公開買付代理人(この場合大和証券)は「公開買付説明書」を応募検討株主に配布しなければならない、
という実務上の要請とも関係があることだと思います。
説明内容と他のプレスリリースを見る限り、公開買付代理人に口座開設をすることと応募の解除は郵送だけでもできるようですが、
公開買付への応募に関しては郵送だけではできないようです。
そうしますと、応募株主が従来から公開買付代理人に口座を持っている持っていないに関わらず、
やはり、実務上は、応募株主は少なくとも1度は、公開買付代理人の本支店(実店舗)に実際に赴く必要があるわけです。
(ただ、他の公開買付の事例を見てみますと、例えばオンライントレード(日興イージートレード)で応募をすることも
できるという事例がありましたので、金融商品取引法上は実店舗(対面)での応募を義務付けているわけではないようです。
つまり、郵送やオンラインでの応募も受け付けるかどうかは、実務上は公開買付代理人次第、ということになるようです。
以下、議論の都合上、公開買付代理人は実店舗(対面)での応募しか受け付けない、とします。)
このことは、公開買付への応募を検討するに際して、実務上は株主に非常に大きな影響がある、ということになると思います。
その理由は、文字通り、現実世界では発生する時間と労力と費用の問題です。
証券投資の理論上は、投資家が証券投資を行うのに時間や費用は一切かからない、という理論的前提を置いているわけですが、
実際には投資家が証券投資を行うのに時間や費用がかかるわけです。
このことは、現実世界においては、株主による公開買付への応募を公開買付者が困難にすることが可能になる、
ということを意味します。
つまり、株主が公開買付に応募するのに時間と費用がかかるような公開買付代理人を公開買付者が指定すれば、
公開買付者は公開買付に応募する株主を選択できる、ということになるわけです。
端的に言えば、一般株主にとって赴くが困難な公開買付代理人を公開買付者が指定すれば、
一般株主が公開買付に応募することを牽制する効果が生じるわけです。
例えば、一部の大株主だけに公開買付に応募して欲しいと公開買付者が望む場合は、応募自体を控えさせる効果が生じますので、
一般株主にとって赴くが困難な公開買付代理人を指定すればよい、ということになるわけです。
「一般株主にとって赴くが困難な公開買付代理人」というのは、一言で言えば、遠隔地の公開買付代理人、ということになります。
より具体的には、それは全国に本支店がある大手証券会社ではなく、地方に地場証券会社として1店舗のみが所在する証券会社です。
「遠隔地の公開買付代理人」ということで、まず思い付いたのは沖縄県です。
全国の株主は公開買付に応募するためには沖縄県まで行かなくてはならないとなりますと、応募牽制の効果は大きいでしょう。
沖縄県に所在する地場証券会社には、「おきなわ証券株式会社」と「NVF証券株式会社」があるようです。
仮に、公開買付者が、「おきなわ証券株式会社」や「NVF証券株式会社」を公開買付代理人に指定した場合は、
応募株主は公開買付代理人の所在地である沖縄県那覇市まで少なくとも1度は赴かなくてはならない、ということになるわけです。
大株主(機関投資家など)であれば、沖縄県那覇市まで赴くのは容易なことなのですが、
法人などではない一個人投資家の場合は、他に何の用事もないのに公開買付への応募のためだけに沖縄県那覇市まで赴くのは
時間的にも費用的にも相対的に負担が大きくなりがちだと思います。
話を一般化して言えば、「公開買付代理人が誰かによって、株主とって公開買付への応募にかかる時間と費用が大きく異なる。」
ということになります。
このことは、公開買付の条件は現実には全株主とって平等というだけわけでは決してない、ということを意味しているでしょう。
おきなわ証券株式会社
ttp://www.ja-okinawasec.jp/
>おきなわ証券は、沖縄県内唯一の地元証券会社として、株式、債券、投資信託等の販売を通して、投資家の皆様の繁栄を目指します。
NVF証券株式会社
ttp://www.catalyst-sec.co.jp/about_us/index.html
>本店所在地 沖縄県那覇市
とは言え、おきなわ証券株式会社もNVF証券株式会社も、沖縄県那覇市の中心部(沖縄県庁の近隣)に本店があります。
大都市の空港からは那覇空港へ1日に何便も直行便が出ていますし、
地方の空港からでも1回ほどどこかの空港で乗り継ぎさえすれば比較的短い時間で那覇空港に着くわけです。
つまり、実は那覇市は、距離で言えば本土からは離れているのですが、移動時間は距離ほどはかからない位置にあるわけです。
沖縄まではフェリーで行く、などというのであれば話は別ですが。
つまり、投資家にとって那覇市は、実は地図で見るほど遠くはないのです。
大都市圏に住んでいる(大都市への移動は容易な)投資家であれば、那覇市まで飛行機で行き、証券会社で応募の手続きを行って、
そして日帰りをすることは実は決して難しいことではないのです。
沖縄県那覇市であれば、個人投資家にとっても時間的負担はまだ少ないと言えるのかもしれません。
私が思うに、実は沖縄よりも、本土内であってもあまり公共交通機関が発達していない地方の方が、
全国の投資家にとっては訪れづらい(移動に非常に時間がかかる)と思います。
日本証券業協会のサイトで協会員(証券会社)を見てみますと、山形県酒田市に「荘内証券株式会社」という証券会社がありました。
会員名簿(東北地区)(日本証券業協会)
ttp://www.jsda.or.jp/shiru/kyoukaiin/kaiin/01.html
「荘内証券株式会社」にはウェブサイトすらありません。
記載されている住所を頼りに、オンライン地図を見てみました。
「荘内証券株式会社の所在地」
酒田市内で言えば、「荘内証券株式会社」は市の中心部にあると言えるのですが、
酒田市まで移動するのが大変な場合があるとは言えると思います。
酒田市内に住んでいるのならともかく、
山形県内でも酒田市から離れている市町村に住んでいる場合は、酒田市まで移動するのは思ったより時間がかかると思います。
酒田市内までは自動車を長時間運転していかなければならない場合などは、
那覇市まで飛行機を乗り継いで行く方がかえって楽だ、ということもあると思います。
オンラインの乗り換え案内で検索してみますと、例えば東京近郊に住んでいれば酒田市まで日帰りができますが、
空港その他長距離移動のための公共交通機関へのアクセスが不便なところに住んでいる場合は、
酒田市までの日帰りは非常に難しくなってくると思います。
酒田市内にもホテルはありますので、どこに住んでいようとも、今の日本、確かに1泊すれば酒田市へは簡単に往復できるわけですが、
ただ単に公開買付への応募をするためだけに赴く、という場面を考えますと(要するに、ここでは応募のための時間・労力の話です)、
投資家の居住場所から応募受付場所までの移動時間が非常にかかるというのは、投資家にとって、
応募をする上での障害・障壁とまでは言いませんが、心理的・経済的に応募を控えようという気持ちが働くものだと思います。
また、例えば、買付価格が自分の取得価額よりも低い場合は、言わば、
わざわざ旅費・宿泊費を負担して株式売却損を得に行くようなものであるわけです(損をしに公開買付に応募しに行くようなもの)。
たとえ買付価格は自分の取得価額より高くても、旅費・宿泊費を考慮すれば、公開買付への応募の結果、トータルでは損をする、
ということも現実には十分起こり得るわけです。
そのような場合は、たとえ株価は買付価格より低くとも、もう所有株式は市場で売ってしまおう、という気になるものでしょう。
所有株式を市場で売るだけであれば、株式を購入した証券会社(営業担当者等)に電話1本すればすぐに売ることはできるわけです。
さらに言えば、例えば、公開買付者が最終的には全株式を取得することを目的としている場合には、
買収の最後の手続きでは残りの全株式の強制取得になりますので、実務上・判例上のことを踏まえて言えば、
株主は公開買付に応募しなくても買付価格と同じだけの代金を結局受け取れる(つまり、敢えて応募受付場所まで赴かなくて良い)、
ということになります。
応募受付場所の遠隔地に居住している場合は、実務上はそういったことも勘案しながら応募判断をしなければなりません。
実務上は、以上のような細かいことを言うと、実は買付条件は全株主で平等というわけではない、と言えると思います。
公開買付者は、痛くもない腹を探られたくない場合は、業界1位の(地方の町にも支店がある、全投資家に移動が平等な)証券会社を
公開買付代理人に指定するべきである、と実務上は言えると思います。