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2016年10月28日(金)



2016年10月28日(金)日本経済新聞
自社株買い銘柄 資金流入 株主配分重視で高評価 買い入れ規模で明暗も
(記事)




2016年10月26日
株式会社大京
自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ
ttp://www.daikyo.co.jp/dev/files/20161026_3.pdf

1. 自己株式の取得を行う理由
2. 取得に係る事項の内容
(1/1ページ)


「株式会社大京株価のここ1週間の値動き」

 


【コメント】
株式会社大京が発表したプレスリリースによりますと、自社株買いを行う理由は、

>株主還元の強化と資本効率の向上を図るため

と書かれています。
自社株買いの発表を受けて、株式会社大京の株価は、発表日後2日続けて上昇しました。
発表直前に比べると、株価はここ2日間だけで15%以上も上昇したわけです。
一方で、自社株買いには会社が設定した上限がありまして、
「取得する株式の総数」の上限は「70,000,000株」、「株式の取得価額の総額」の上限は「100億円」と設定されています。
株式数、総額、どちらにもそれぞれ上限が設定されているわけですが、
ふと思ったのは、「自社株買いの発表を受けて株価が上昇することは株主への利益還元に資することなのだろうか?」という点です。
自社株買いの方法については、プレスリリースに、

>取得方法につきましては、東京証券取引所における市場買付を予定しています。

と書かれています。
つまり、株式会社大京はその時々の株価で自社株買いを進めていくことを考えているわけですが、総額に上限がある関係上、
株価が上がれば上がるほど、すなわち、自社株の買い取り価格が上がれば上がるほど、買い取る株式数が減少するわけです。
一般に、「株主への利益還元」といった時には、還元の「金額」面のことを指すことが多いのだろうとは思います。
ですので、たとえ今後株価がどれだけ上昇しようとも、「株式の取得価額の総額」が同じ「100億円」であれば、
買い取った株式数の多寡に関わらず、「株主への利益還元」の大きさは同じである、と一般には考えるのだろうと思います。
簡単に言えば、会社は株主に合計100億円の利益還元を行った、と言ってよいのだろうと思います。
ただ、私がここで思いますのは、買い取ることのできる株式数が減少すれば減少するほど、
自社株買いに応じることができる株主の数も減少してしまう、という点なのです。
極端な話、株式会社大京の株価が100億円まで上昇したとしますと、1株しか自社株買いをできない、ということになるわけです。
これは「株主への利益還元」と呼べるだろうか、とふと思ったわけです。
その1株を売ることができた1人の株主に対しての株式の買い取り、というに過ぎないのではないか、と思ったのです。
他にも株式を売りたいと思った株主はどうなるのでしょうか。
この点について考えてみますと、結局のところ、ある行為を「株主への利益還元」と呼ぶためには、
「会社は全株主に全く平等に利益を還元する」ということがやはり必用なのではないだろうか、と思いました。
それは自社株買いでは決してあり得ず、結局のところは「配当」という方法しかないのだと思います。

 



それから、株式会社大京は今後市場買付を予定しているわけですが、市場内取引では売り手は買い手が誰か分からないわけですから、
ミクロな視点(個々の取引)で見ると、その株式の売買は何ら株主への利益還元ではないのです。
なぜなら、売り手は株式を誰に売っても同じ(売り手は誰に株式を売ったのか分からない、会社が買ったと分からない)だからです。
他の言い方をすると、売り手は「会社から現金を受け取った」とは分からないからです。
市場内取引では、「会社と株主との取引」と「投資家と株主との取引」が一緒に行われるわけですから。
その時の市場における「買い注文」には、会社が出したものと投資家が出したものの両方が混在しているわけです。
会社が買い注文を出している間は、投資家は買い注文を出してはならない、というわけではないわけですから。
要するに、売り手から見ると、「今会社から株主への利益還元が行われた。」とは全く分からないわけです。
売り手(株主)にとって「会社から株主への利益還元が行われた」ということが分からない、ということは、
売り手(株主)からみると「会社から株主への利益還元は行われていない」という言い方ができるのかもしれません。
「退出する株主」にとっては、結局のところ、「誰に株式を売っても同じ」なのですから。
すなわち、「退出する株主」にとっては、たとえ市場内にいる一般投資家に保有株式を売っても、
それは出資からの「退出」であることには変わりないわけです。
その辺り、ある取引について、「会社が出した買い注文にある株主が応じた」という見方をしてみると、
その一取引は「会社から株主に現金が支払われた」という言い方はできるとは思います。
しかし、それは会社から見ると「自分が出した買い注文にある株主が応じた」と分かるのであって、
株主から見ると「会社が出した買い注文に自分は応じたのだ」とはやはり分からないわけです。
「会社から現金を受け取った」と株主が分かるということが、「会社から株主への利益還元」ということではないかと思います。
ただ、マクロな視点で見ると(市場を上から見ると、"metatransactions")、トータルでは、
会社から市場内の投資家に現金が支払われている、という言い方はやはりできると思います。

 


The more exiting shareholders receive cash from a company, the less remaining shareholders will afterward.

退出する株主が会社から受け取る現金額が多ければ多いほど、残った株主がその後会社から受け取る現金額は少なくなります。

 

Can a company pay a dividend to shareholders through a market transaction?
Shareholders can recognize the fact that they receive cash uniquely from a company,
that's return of profits to shareholders.

市場取引を通じて会社が配当を支払うことなどできるでしょうか。
唯一会社から現金を受け取ったと株主が認識できる、それが株主への利益還元なのです。