2016年10月26日(水)



2016年10月26日(水)日本経済新聞
基礎控除上げ 一致 政府税調 給与所得控除は縮小へ
(記事)




関連する過去のコメント

2016年10月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201609/20161023.html

2016年10月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201609/20161024.html

2016年10月25日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201609/20161025.html

 


【コメント】
昨日のコメントで、
贈与が行われた場合は贈与を行った人が贈与税を支払い、寄付が行われた場合は寄付を行った人が所得税を支払う、
という考え方にも一定の理はある、
と書きました。
課税関係に関する基本的考え方は、昨日も書きましたように、
贈与が行われた場合は贈与を受けた人が贈与税を支払い、寄付が行われた場合は寄付を受けた人が所得税を支払う、
であるわけですが、当事者それぞれの資力の大きさや経済的困窮度、さらには、収益の獲得を目的にした財産の受け取りか否か
という点を鑑みますと、受けた側ではなく、寄付や贈与を行った側が所得税や贈与税を支払うという考え方にも
一定の理がある、と昨日は書いたわけです。
それで、今日の日本経済新聞の税制改正に関する記事を紹介しているわけですが、
では、非雇用者が雇用者から給与を受け取った場合、被雇用者にとってその給与を非課税とするという考え方はあるだろうか、
とふと思いました。
日本の現行の所得税法上、受け取った給与には所得税が課されます。
それで、昨日の考え方の応用になりますが、労務を提供し給与を受けるくらいであるから、給与を受けた人は財務的に困窮している、
という見方ができるのかもしれないなと思いました。
つまり、経済的に余裕がある場合は人は働かない、という人間観から言えば、
働いているということは経済的に困窮している、という見方になるのではないかと思うわけです(だから給与は非課税だ、と)。
もしくは、経済的に余裕がある場合は、人はたとえ働くとしても無給・無償でよい、と考えるのではないかとも思えます。
例えば、労働奉仕を通じ社会貢献をしたいであったり、社会との交わりを通し人生の充実感や人としての充足感を得たい、
と人が考えることは、現実にも十分考えられるわけです。
つまり、社会には、労務の提供=給与の受け取り、とはならない場合もあるわけです。
しかしそうではなく、経済的困窮や将来のことを考えてという理由があり、給与を得ている場合は、
お金がないからこそ給与を得ているのに所得税を課せられるというのはおかしい、という考え方もあるように思いました。
お金がないからこそ給与を得ている場合は、受け取った給与は非課税(その代わり、雇用者が所得税を支払う)、
という考え方もあるように思いました。
今日は、社会福祉的な観点から制度構築するとしたら、と考えた課税関係になりますが、
1つの考え方としてはあるのかもしれないなと思いました。

 


それから、昨日、「週刊ティー・アンド・エーマスター 10月24日号」の広告を紹介しましたが、
”公益法人に財産を贈与した場合の非課税制度の留意点”という特集記事が今週号では組まれているようです。
この見出しから言えば、通常は、「人に財産を贈与した場合は贈与を行った人に課税される」という規定がある、
ということになろうかと思います。
私が昨日書きました「贈与が行われた場合は贈与を行った人が贈与税を支払う」という考え方は、
あくまで1つの私案であり、現行の所得税法の規定とは異なります。
しかし、現行の所得税法上も「人に財産を贈与した場合は贈与を行った人に課税される」という規定があるということのようです。
これはどういうことなのだろうかと思いましたので、
会計処理の教科書から「寄付金」について調べましたので、スキャンをして紹介します。

「寄附金」


簡単に言えば、財産の贈与を行った場合は贈与時の時価によって贈与が行われたものと見なす、という規定になっているようです。
仕訳例が記載されていますが、仕訳例で言えば、贈与した資産の帳簿価額は10,000,000なのであるが、
資産の時価である12,000,000で贈与を行ったものと見なす(贈与の金額は12,000,000であると見なす)、
という考え方を現行の法人税法では行う、と教科書に書かれています。
この教科書は法人税法について書かれていますが、この考え方は、法人税法と所得税法で共通なのではないかと思います。
現行の規定では、いわゆる「含み益」に相当する部分が「雑収入」(税務上は益金)という取り扱いになるようです。
この取り扱い(会計処理方法)の是非はともかく、「人に財産を贈与した場合は贈与を行った人に課税される」ということの
からくりは、現行の規定上は以上のようになっているわけです。
公益法人に財産を贈与した場合は、この雑収入が非課税(益金不算入)となる、と今週号では言っているわけです。
それで、通常は、この雑収入が益金(贈与者に課税される)となるいうことの仕組み(規定)は分かったのですが、注意が必要なのは、
これは「贈与が行われた場合は贈与を行った人が贈与税を支払う」という昨日の論点とは全く異なる、という点です。
贈与が行われた場合は、現行の規定上も贈与を受けた人がやはり贈与税を支払うことに変わりはありません。
ただ、現行の規定上は、「贈与が行われた場合は、贈与を行った人が贈与財産の含み益部分について法人税もしくは所得税を
負担する(贈与財産の含み益部分に課税される)」という取り扱いになっているだけである、という点に留意して下さい。

 

Concerning a gift to a public-service corporation,
a "miscellaneous income" in these two respective journal entries is treated as non-taxable.

公益法人に対する贈与に関しては、これら2つの各仕訳中の「雑収入」が非課税として取り扱われます。


A salary is a consideration of labor which a person provides for his employer.

給与とは、人が雇用主に対して提供した労務の対価のことです。