2016年8月9日(火)



2016年8月9日(火)日本経済新聞 公告
発行価格等の決定に関するお知らせ
いちごリート投資法人
(記事)



2016年7月27日(水)日本経済新聞 公告
発行価格等の決定に関するお知らせ
大和証券オフィス投資法人
(記事)



2016年8月1日(月)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社幸楽苑ホールディングス
公開買付開始公告についてのお知らせ
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
(記事)

 



2016年7月15日
大和証券オフィス投資法人
新投資口発行及び投資口売出しに関するお知らせ
ttp://www.daiwa-office.co.jp/site/file/tmp-nb3Fs.pdf


2016年7月26日
大和証券オフィス投資法人
新投資口発行及び投資口売出しに係る価格等の決定に関するお知らせ
ttp://www.daiwa-office.co.jp/site/file/tmp-DA2KG.pdf


2016年7月26日
大和証券オフィス投資法人
発行価格等の決定に関するお知らせ(金融商品取引法第15条第5項に基づく公表文)
ttp://www.daiwa-office.co.jp/site/file/tmp-ybNEM.pdf

 

 

2016年7月29日
株式会社幸楽苑ホールディングス
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.kourakuen.co.jp/ir/20160729_jikokabushiki.pdf

 

2016年7月29日
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://www.ncd.co.jp/wp-content/uploads/2016/07/press_20160729.pdf

 



【コメント】
投資法人による新投資口の発行に関する公告と、株式会社による自己株式の公開買付に関する公告を紹介しています。
投資法人における出資を表象する証券のことは投資口と呼ぶわけですが、
上場している投資法人のことも一般に”上場企業”と呼んでよい(両者で論点は全く同じ)のではないかと思いますので、
以下、話の簡単単のため、投資法人や投資口のことも含め、株式会社や株式や上場企業と表現し、コメントを書きたいと思います。
今日は合計4つの公告を最初に紹介しているわけですが、これら4つの公告で何を言いたいのかと言えば、
「ある上場企業が、自己株式の公開買付の期間中に、新株式を公募増資により発行する」
という事例について考えてみたいと思ったのです。
”自己株式の公開買付の期間中に、新株式を公募増資により発行する”とだけ聞きますと、やはりおかしいと感じると思います。
金融商品取引法上は、上場企業が”自己株式の公開買付の期間中に、新株式を公募増資により発行する”ことは可能だと思います。
その理由は、「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」とは、金融商品取引法上は完全に別個の取引であり、
上場企業は、それぞれの規定に従うことにより、「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」とを同時に進めていく
ということは、金融商品取引法上何ら禁止されてはいない(禁止する旨の特段の定めはない)わけです。
しかし、経営的な視点や財務的な視点から言えば、「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」とは
完全に矛盾するわけです。
より焦点を絞って言えば、「自己株式の取得」と「新株式の発行」とが、経営上・財務上完全に矛盾すると言えるでしょう。
上場企業を題材にしていますので、議論(紹介している公告)の都合上、
「自己株式の取得」に公開買付が絡んでいるだけであり、「新株式の発行」に公募という募集方法が絡んでいるだけです。
いずれにせよ、経営的な視点や財務的な視点から言えば、
「自己株式の公開買付」(自己株式の取得)と「新株式の公募増資による発行」(新株式の発行)とは完全に矛盾するわけです。
実務上、上場企業が「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」を同時に行うことなどあるのか、
と思われるかもしれませんが、紹介している株式会社幸楽苑ホールディングスによる公開買付でも
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社による公開買付でも、有り体に言えば、
会社は創業者から所有株式を買い取ってもらいたい旨の話があったので、
会社は「自己株式の公開買付」により株式の売却に応じることにした、と両社のプレスリリースには記載されています。
一方で、金融商品取引法上は、通常、上場企業による新株式の発行(公募増資)には、意思決定から最短で14日強かかるようです。
金融商品取引法による届出を事前に提出しておくと、この期間はさらに短くできるのかもしれませんが、いずれにせよ、
上場企業が「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」を同時に行うことは実務上も十分考えられるわけです。
会社としては公募増資については数ヶ月前から計画していたのだが、ちょうど公募増資の実施時期に創業者から株式売却の連絡を
受けたために、「自己株式の公開買付」と「新株式の公募増資による発行」とが同時期になった、ということはあり得るわけです。
ただ、そういった行為というのは、経営的な視点や財務的な視点から言えば、完全に矛盾しているわけです。

 


それで、この「金融商品取引法上可能な『自己株式の公開買付』と『新株式の公募増資による発行』の同時実施」という行為・取引
を題材にして何が言いたいのかと言えば、何事も「法律を守ってさえいればよい。」というわけではない、ということです。
法律というのは結局のところ、最低限度のルールを定めているに過ぎないわけです。
法律を守ってさえいれば、会社の経営が上手く行くわけでは決してありませんし、人の人生が上手く行くわけでは決してないのです。
会社の経営を上手く行う方法というのは法律とは別にありますし、
人生を上手く生きていく方法というのは法律とも別にあるわけです。
ただ、法律の中に、自分の目的を達成できる手段が様々な形で提供されているわけです。
その手段をどう使うかはその人次第であるわけです。
法律自体は万人に共通ですが、その人がどう生きたいかは千差万別であるわけです。
直接的に法律の規定に沿った法律行為を自分が行うという形で、法律を活用する場合もあれば、
法律の定めや考え方を、自分が生きていく指針や人生のヒントにするという形で、法律を活用する場合もあるでしょう。
いずれにせよ、社会のルールとして法律がある以上、人は法律の定めとは無縁ではいられないわけですから、
何らかの形で法律を活用するということが、社会で生きていく上では大切なのです。
例えば、民法には金銭消費貸借についての定めがあります。
すなわち、人は、民法上、金銭消費貸借を行うことができる、ということです。
ところが、Shakespeare は「ハムレット」の中でこう言っています。
"Neither a borrower nor a lender be." (借り手にも貸し手にもなるな。)
と。
民法に金銭消費貸借についての定めがあるからといって、人は金銭の消費貸借をしなければならないわけではないわけです。
金銭の消費貸借をするかしないかは、あなた次第なのです。
「民法に金銭消費貸借についての定めがあるから、金銭の消費貸借をすれば幸せになるのだろう。」
と考えたら負けであるわけです。
Shakespeare の言っていることが正しいとすれば、金銭の消費貸借をしても人は幸せにはなれないわけです。
それなら民法にそのような定めがなければよいのではないか、という考え方も一理ありますが、
民法に金銭消費貸借についての定めがあったので助かった、という人も世の中にはいるかもしれないわけです。
ですので、法律の定めに振りまわれるのではなく、自分はその定めにある法律行為を行うのか行わないのかまで含めて、
法律をどう活用するのかを自分の頭で考えなければならないわけです。
法律には、あなたが幸せになる方法は書かれていないのです。
あなたが幸せになる手段の1つとして、法律があるだけなのです。

 

Law itself is common to all people.
But, people are various in what is happiness.

法律自体は万人に共通です。
しかし、何が幸せかは人それぞれなのです。
(Law is common but people are various. (法律は共通だが人は皆違う。))