2016年8月8日(月)



2016年8月8日(月)日本経済新聞
「お気持ち」きょう発表 天皇陛下 「象徴」あり方示す 動画を収録
(記事)



2016年8月8日(月)日本経済新聞 核心
退位という政治の難題 象徴天皇支える知恵を
(記事)


宮内庁
平成28年8月8日
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば
ttp://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/12

 


【コメント】
天皇陛下のおことばを拝読いたしました。
おことばを拝読する限り、天皇陛下は生前退位をするともしたいともおっしゃってはいないように思います。
おことばの中から、生前退位に関連する部分を引用するならば、次の2文のみが該当するように思います。

>既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,
>これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

>こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

おことばの最初の方で、”現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら”とおっしゃっていますので、
ご自身ではこのようにしていきたいというお気持ちは敢えておっしゃらなかった、ということだと思います。
ただ、生前退位を行った方よいと考えていらっしゃると感じさせる部分もやはりありまして、
それは、天皇の終焉に当たっては、”葬儀に関連する行事が,1年間続きます。”とおっしゃっていることです。
仮に、生前退位が行われた場合は、そういった”葬儀に関連する行事”は行われなくなる、ということだろうかと思いました。
今上天皇が亡くなられたからこそ、様々な葬儀に関連する行事を行う、というわけでもないようにも思いました。
生前退位を行った後、陛下が亡くなられた場合でも、一定度の葬儀に関連する行事というのは行われるのではないかと思いました。
在職中の公務員が亡くなろうが定年退職後の公務員がなくなろうが、人の尊さやその死の重さに違いはない、と私は思っています。

 

 


2016年8月8日(月)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
三菱化学株式会社
Mitsubishi Chemical Europe GmbH
(記事)

2016年8月5日
株式会社三菱ケミカルホールディングス
当社連結子会社による日本合成化学工業株式会社に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/pdf/00448/00510.pdf


2016年8月5日
日本合成化学工業株式会社
三菱化学株式会社及び三菱化学ヨーロッパ社(Mitsubishi Chemical Europe GmbH)による
日本合成化学工業株式会社株券等(証券コード4201)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.nichigo.co.jp/news/file_info/jtk1608052.pdf


2016年8月5日
日本合成化学工業株式会社
支配株主である三菱化学株式会社及び三菱化学ヨーロッパ社(Mitsubishi Chemical Europe GmbH)による
当社株券等に対する公開買付けの実施及び応募推奨に関するお知らせ
ttp://www.nichigo.co.jp/news/file_info/jtk160801.pdf

 

「当社連結子会社による日本合成化学工業株式会社に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」
1.買付け等の目的等
(1) 本公開買付けの概要
(3/25ページ)

>公開買付者らは、本取引を通じて、対象者に対する三菱化学の議決権保有比率を95%、
>三菱化学ヨーロッパの議決権保有比率を5%とすることを想定しており、
>三菱化学ヨーロッパの議決権保有比率が5%になるまでの数(4,869,846 株)の対象者株式については、
>全て三菱化学ヨーロッパが買付け等を行い、それを超える数の対象者株式については、全て三菱化学が買付け等を行います。

 


【コメント】
このたび実施される日本合成化学工業株式会社に対する公開買付には、公開買付者が2人いるようです。
しかし、それは実務上できないと思います。
公開買付に応募のあった株式を決済するために、公開買付者は「買付け等の決済をする金融商品取引業者」を定めねばなりません。
このたびの公開買付では三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社が指名されています。
「買付け等の決済をする金融商品取引業者」のことは、「公開買付代理人」とも言うようです。
いずれにせよ、公開買付に応募のあった株式を決済するために、公開買付者は、担当の証券会社に口座を開設し、
決済のための現金を予め証券会社に保管してもらわねばならないわけです。
決済のための現金が予め証券会社で保管されない限り、公開買付は金融商品取引法上開始できない定めとなっています。
それで結局のところ、その証券会社の口座の名義人というのは当然1人であるわけです。
その名義人というのは、当然公開買付者その人であるわけです。
ですので、2人で共同して公開買付を実施する(公開買付者が2人)ということが、口座の名義的にできないわけです。
一言で言えば、2人では証券会社の口座を一本化することができない(口座の共同保有という考え方はない)わけです。
また、証券会社に2人分、すなわち計2つの口座をそれぞれ開設して、
三菱化学ヨーロッパ社は5%分の決済代金を予め保管しもらい、また、
三菱化学株式会社は残りの全ての分の決済代金を予め保管しもらい、共同で公開買付を実施する、
ということも概念的には考えられるものの、法理的には、そして、商取引の観点から言って、やはりおかしいわけです。
以前、公開買付は株主と公開買付者との間の相対取引である、と私は書きました。
公開買付で行われる取引は相対取引ですから、株主は誰に株式を売却するか当然選べるわけです。
株主が公開買付者に株式を売却しようと思った場合は、株主は公開買付に応募すればよいというだけであるわけです。
ところが、公開買付者は2人となりますと、株主はどちらの公開買付者が自分が応募した株式を買い付けるのか分からないわけです。
目的物の売り手は買い手が誰か分からない(売り手は買い手を選べない)、というのは商取引の根本の原理原則に反しているでしょう。
株主にとって、公開買付に応募するか否かの判断材料には、買付価格や公開買付成立前後の公開買付者の株式所有割合だけではなく、
「公開買付者その人」(人柄や経営手腕やその後の経営計画等々)(すなわち、誰が取得するのか)も当然に含まれるのです。

 

I can understand what they are going to do, but it can't be done in practice.

公開買付者らが何をしようとしているのかは分かりますが、実務上それはできません。

 

In this talkeover bid, a shareholder will sell his shares
at once to Mitsubishi Chemical Corporation and to Mitsubishi Chemical Europe GmbH.

このたび公開買付においては、ある株主は所有している株式を、
三菱化学株式会社と三菱化学ヨーロッパ社の両方に同時に売り渡すことになります。

 

 



2016年8月8日(月)日本経済新聞 経営の視点
会社法より十七条憲法 取締役会、全会一致のなぜ
(記事)

 



【コメント】
細かな定めを言い出すときりがありませんので、話を簡略化してコメントを書きたいと思います。
株主総会での決議も取締役会での決議も、議決をする権利の過半数でもって行われる、と会社法に定められています。
ただし、株主総会の決議要件は、過半数を上回る割合を定款で定めた場合は、その割合が決議要件になる、
と会社法に定められています。
そして、取締役会の決議要件についても、定款で定めることにより、決議要件を加重することができる、
と会社法に定められています。
極端な話をすれば、定款に定めれば、株主総会の決議は全会一致によると定めることは会社法上できますし、
取締役会の決議は全会一致によると定めることも会社法上できるわけです。
ここで、仮に、取締役会の決議要件については、過半数でもって行われるとのみ会社法に定められているとしましょう。
つまり、取締役会の決議要件は定款で加重可能であるとは会社法に定められていないとしましょう。
ところが、会社法の定めに関わらず、定款には取締役会の決議は全会一致によると定めたとしましょう。
このような状態の時、取締役会決議が過半数のみで取られたとしましょう。
つまり、取締役会決議(取締役会議案)に反対の取締役がいたにも関わらず、
賛成が過半数であったため取締役会決議が取られたとしましょう。
この時、反対の取締役は、裁判所にその取締役会決議の無効を訴えることはできるでしょうか。
結論だけ言えば、定款の定めに関わらず、その取締役会決議は無効にはならない(有効である)と思います。
なぜならば、この場合会社法には取締役会の決議要件は定款で加重可能であるとは定められていないからです。
逆から言えば、会社法に取締役会の決議要件は定款で加重可能であると定められている場合にのみ、
取締役会の決議要件は定款で加重可能となるわけです。
定款自治とは言いますが、それはあくまで会社法に規定のある事柄・範囲内でのみ、会社運営を定款で自由に定めることができる、
という意味であって、会社法に規定のない事柄について定款で定めを置いても、その定款の定め自体が会社法上無効なのです。
上記の設例で言えば、株主総会決議を過半数のみで取った場合は無効になりますが、
取締役会決議を過半数のみで取った場合は有効なのです。
なぜならば、株主総会決議については会社法と定款の両方に定めが置かれているのに対し、
取締役会決議については会社法には定めはなく定款に定めを置いているのみだからです。

 



他の言い方をすれば、定款自治のためには「定款の定めに会社法の裏付けがなければならない」ということです。
会社法の裏付けがない場合は、定款の定め自体が無効になるのです。
定款に会社法の裏付けはないわけですから、議案への反対者がいくら決議の無効を訴えても、法的には意味がないのです。
また、以前も書きましたが、基本的考え方としては、会社法に裁判所に申し立てることができる旨定められていない場合は、
たとえ不服があっても裁判所に申し立てることはできないのです。
会社法のその旨定めがない場合は、不服を訴える法的手段はないのです。
このことは、会社法に限らず、基本的には全ての法律について言えることだと思います。
端的に言えば、法律に定めがない場合は、法的に争う手段自体がない、ということになります。
結局のところ、裁判所というのは、法律に関連して争う場であって、紳士協定に関して争う場ではない、
というふうに理解をするべきなのだと思います。

 


Any agreement which is not well supported by law is no more than a gentlemen's agreement.

法の裏付けがない同意というのは全て、紳士協定に過ぎないのです。

 

A court is where you dispute an issue with checking law.
A court is not where you dispute about your gentlemen's agreement.

裁判所というのは、法律に照らしながら論点について争う場です。
裁判所というのは、紳士協定について論じ合う場ではないのです。