2016年6月1日(水)


2016年6月1日(水)日本経済新聞
預金保険、借入金利0% 史上初、マイナス金利背景
(記事)


金融再生勘定(預金保険機構)
ttp://www.dic.go.jp/kikotoha/zaimu/jokyo/kanjyo/kinyusaisei.html

 


【コメント】
記事を何回読んでも、預金保険機構と金融機関はどのような取引を行ったのか分からないなと思いました。
借入金利競争入札とは何か、金融再生勘定とは何か、全く想像もつかないと思いました。
それで、インターネットで検索してみましたら、上記の預金保険機構の解説ページがヒットしました。
この解説図から判断する限り、記事で言っているのは、民間金融機関から預金保険機構への貸し付け、なのだと思います。
記事で言っている落札金利というのは、民間金融機関が預金保険機構へ貸し付ける際の利率のことを指しているのだと思います。
預金保険機構は、最も低い金利を提示した金融機関からお金を借り入れる、と言っているのだと思います。
それで、借入金利競争入札の結果、金利は0%でもよいので貸し出したいと思います、と申し出た金融機関があったので、
預金保険機構はその金融機関からお金を借り入れることになった、と記事では言っているわけです。
金利が0%でも貸し出すと金融機関が申し出た背景としては、いわゆるマイナス金利があるようです。
現在では、金融機関が日銀当座預金にお金を預けると、マイナス0.1%の利息が付くようです。
金融機関としては、マイナスの利息が付くくらいならば、日銀当座預金にお金を預けるのではなく、
金利が0%の貸し出しを行った方が損益が相対的にプラスになる、と判断したわけです。
預金保険機構への貸出金には、国の保証が付くようでして、貸し倒れが発生しないことが分かっているのならば、
金利が0%でも金融機関としては経営上は有利な取引だ、という判断を行ったのでしょう。

 


ところで、日銀当座預金と聞いて、貸出金に付くマイナス金利について、ふとあることを思いました。
金利がマイナスということは、貸出金に付く利息は、金融機関が借入人に対して支払うことになるわけです。
利息というのは通常、「お金を貸すことの対価」なのですから、借入人が金融機関に支払うわけなのですが、
金利がマイナスということを考えますと、逆に金融機関が借入人に対して利息を支払うことになるわけです。
お金を貸す方が借りる方へ「お金を貸すことの対価」を支払うというのは話が完全にあべこべであるわけです。
サービス(融資)の提供を受けたことに対する対価の側面は、マイナス金利には全くないわけです。
ですので、金融機関が借入人に対して支払う利息については、
法人税法上はやはり寄付金(損金不算入)という取り扱いになるかと思います。
ところが、金融機関は日銀当座預金へお金を預けなければならない、と法令で定められているとなりますと、
サービス(融資)の提供を受けたことに対する対価の側面はやはりないものの、
金融機関の立場からすると、なぜ無理やり払わされた利息が損金不算入になるのだ、と言いたくなるのではないかと思いました。
金融機関は法的義務を履行したまでであるわけです。
寄付金というのは、法的な義務でもなければ何かの対価でもないわけです。
法的な義務でもなければ何かの対価でもないからこそ、法人税法上は損金不算入なのです。
ところが、マイナス金利下において、金融機関が日銀当座預金へお金を預けることは法的な義務となりますと、
金融機関が日銀へ利息を支払うことも法的な義務となるわけです。
金融機関にとっては、日銀へ支払う利息は、業務執行上・営業遂行上必要となる費用、という言い方ができないでしょうか。
また、金融機関にとって日銀へ支払う利息は損金不算入だということになりますと、
日銀は金融機関に対して寄付を強要していることにならないでしょうか。
”金融機関が日銀へ支払う利息については損金算入を認める”とでも条文で定めるならば話は別でしょうが、
現行の法人税法上は、金融機関が日銀へ支払う利息については損金不算入となるかと思います。
金銭消費貸借契約は、お互いの自由意思で締結するからこそ、マイナス金利下の利息は、寄付金(損金不算入)となるわけです。
金融機関が日銀当座預金へお金を預けることは、到底自由意思に基づくものとは呼べず、
むしろ金融機関にとっては法的義務であると言わねばならないでしょう。
金融機関が日銀へ支払う利息については損金算入を認めるべきである、との考えに分があるのではないかと思いました。

 

The interest rate of zero is more profitable than that of less than zero.

利率がゼロの方が、利率がゼロ未満よりも利益が上がります。

 

Asset accounts represent a result.
An equity account represents a result of the result.

資産勘定は、結果を表しています。
資本勘定は、結果の結果を表しています。