2016年5月19日(木)
2015年3月9日(月)日本経済新聞 法務
OECD
国際課税ルール決着 企業、17年末にも対応義務 3文書提出 日本、人材確保が急務
対象は売上高1000億円以上
(記事)
2015年3月12日(木)日本経済新聞
企業への税優遇 情報交換 OECD・G20 関係国に通知、来年にも義務化 課税逃れを防止
(記事)
2015年3月23日(月)日本経済新聞 法務
グローバル企業の税逃れ 新たな対策 米、国外利益に一律課税 10年で61兆円
企業反発
名古屋経済大 本庄名誉教授に聞く 日本、率先し法整備を
(記事)
では、例えば、日本人が商品をアメリカまで持参してアメリカ人に販売を行いアメリカで代金(所得)を受け取ったとしましょう。
この時のこの日本人の所得は、日本の税務当局、アメリカの税務当局、どちらが捕捉することになるでしょうか。
他の言い方をすれば、この時のこの日本人は、所得税を、日本の税務当局、アメリカの税務当局、
どちらに納付することになるでしょうか。
実はこの問いに答えはないのです。
なぜなら、日本人がアメリカ国内で所得を得ることは税法理上想定されないからです。
日本の税務当局は、日本国内のみが担当範囲でありなおかつ日本人のみが担当範囲なのです。
アメリカの税務当局は、アメリカ国内のみが担当範囲でありなおかつアメリカ人のみが担当範囲なのです。
日本の税務当局は、アメリカ国内は言うまでもありませんが、日本国内にいるアメリカ人は担当範囲ではないのです。
アメリカの税務当局は、日本国内は言うまでもありませんが、アメリカ国内にいる日本人は担当範囲ではないのです。
他の言い方をすれば、法理的には、日本人はアメリカの税務当局に対し所得税を納付することはできないのです。
また、法理的には、アメリカ人は日本の税務当局に対し所得税を納付することはできないのです。
ですので、最初の問いに答えはないのです。
人が国境を越えることは、税法理上は全く想定していないのです。
ただ、現実には、そういった国境を越えた行商を行う場合についても、所得の捕捉という意味では、税法に規定を置くべきでしょう。。
しかし、日本の税法はアメリカ国内には及びませんし、アメリカの税法も日本国内には及びません。
ですので、これは、日本とアメリカの両税務当局間の所得の取り扱いについての取り決め・協定の話になってくるわけです。
現在、具体的にどのような取り決め・協定になっているのかについては、私には分かりません。
しかし、法理的なことを言えば、日本人に対してアメリカの税務当局がアメリカに・アメリカで所得税を納付せよ、
と求めることは概念的にはできないことですし、
アメリカ人に対して日本の税務当局が日本に・日本で所得税を納付せよ、と求めることは概念的にはできないことなのです。
この辺り、刑法の考え方が参考になるのかもしれません。
法理的には、日本の刑法は、日本国内のみが適用範囲でありなおかつ日本人のみが適用対象なのです。
法理的には、アメリカの刑法は、アメリカ国内のみが適用範囲でありなおかつアメリカ人のみが適用対象なのです。
日本の刑法は、アメリカ国内は言うまでもありませんが、日本国内にいるアメリカ人は適用対象ではないのです。
アメリカの刑法は、日本国内は言うまでもありませんが、アメリカ国内にいる日本人は適用対象ではないのです。
他の言い方をすれば、法理的には、アメリカの刑事当局は日本人を逮捕・起訴することはできないのです。
また、法理的には、日本の刑事当局はアメリカ人を逮捕・起訴することはできないのです。
なぜなら、そもそも刑法は、人が国境を越えることを想定していないからです。
法理的には、日本国内でアメリカ人が犯罪を犯すことは全く想定されないことなのです。
法理的には、アメリカ国内で日本人が犯罪を犯すことは全く想定されないことなのです。
それが刑法の元来的な考え方なのだと思います。
ところが、20世紀の後半になり、海外旅行が広く行われるようになりますと、
日本国内でアメリカ人が犯罪を犯すことについても刑法上規定を置かなければなりませんし、
アメリカ国内で日本人が犯罪を犯すことについても刑法上規定を置かなければならないわけです。
ここから先は、1国の刑法の話ではなく、両国の刑事当局間のの取り決め・協定の話になってくるわけです。
時々、外国人の犯人の引渡しや強制送還について報道があったりしますが、
それは、両国の刑事当局間のの取り決め・協定の結果に過ぎないわけです。
現在、具体的にどのような取り決め・協定になっているのかについては、私には分かりません。
しかし、大まかな理解になりますが、間違っているかもしれませんが、日本国内でアメリカ人が犯罪を犯した場合は、
日本の刑事当局は、そのアメリカ人を捜査し、逮捕(身柄を拘束)することまではできますが、
しかしその後、日本の刑法に従ってそのアメリカ人に刑罰を与える(刑事裁判を受けさせ刑を確定させ刑を科する)ことは
できない、という取り決め・協定になっているのではないかと思います。
そのアメリカ人を逮捕することまではできると思うのですが、その後は、アメリカの刑事当局に対し犯人の引渡しを行う、
そのアメリカ人はアメリカの刑法に従って刑罰が与えられる(アメリカの所定の手続きに従い刑が科される)、
という流れになっているのではないかと思います。
現在、法の概念として、「属地主義」という用語・考え方があります。
「属地主義」について教科書の記述を引用しますと、
>属地主義とは、法の適用および効力の及ぶ範囲を、当事者の国籍を問わず、自国の領域内に限定する考え方をいいます。
>わが国の刑法においては、属地主義が原則とされています。
>たとえば、東京でA国人がB国人のカバンを盗んだ場合は、日本の刑法(窃盗罪)が適用されます。
と書かれています。
この属地主義に従うと、先ほど私が書いた内容は間違っていることになります。
ただ、元来的には、法に属地主義もないにもないと思います。
敢えて言うなら、日本の法は、日本の領域内に適用される、というだけなのだと思います。
元来的には、「属地主義」という日本語すらなかったのではないかと思います。
また、元来的には、法には、「日本の領域内に適用される=日本人にのみ適用される」という自然の法理があると思います。
他の言い方をすると、日本の領域内に他国人が存在することは法理上想定されない、という自然な前提があると思います。
法理的に言えば、日本国で言えば、法は、場所的適用範囲は日本の領域内のみ、かつ、人的適用範囲は日本人のみ、
という法の前提があると思います。
ただ、現在では、国際化が進み、日本の領域内に他国人が存在することは全くおかしなことではないわけです。
ですので、日本の領域内に他国人が存在することを想定した定めが現実には置かれているのが現状です。
「属地主義」の例外として、属人主義、保護主義、世界主義、といった言葉があるようですが、
現行の刑法では、犯罪の大きさによって、
属地主義を取る犯罪もあれば、属人主義を取る犯罪もあれば、保護主義を取る犯罪もあれば、世界主義を取る犯罪もある、
といった具合に、刑法の中には4つの考え方が混在しているようです。
私が先ほど書きました例は、世界主義(条約で定めた犯罪)に基づく考え方になるようです。
法体系としては刑法が整理されていないかのように感じるかもしれませんが、結局のところ、法理的・元来的には、
日本の領域内に他国人が存在することは刑事法理上想定されない、他の言い方をすると、
日本の刑事当局が他国人に対し刑罰を科することは刑事法理上想定されない、
という、言わば法と呼ばれるものの限界・構造的な限界が法には内在していますので、
現実に対応するために、法理的な考え方に修正を加えた統一感はない定めになっているわけです。
他の言い方をすると、これは日本の刑法だけの問題ではなく、
必然的に他国間との取り決め・協定・条約ありきの問題になりますので、
他国人が犯した犯罪に関しては刑法の適用および効力の及ぶ範囲が統一的ではない、ということになってしまうわけです。
刑法の記述が長くなってしまいましたが、私が言いたいのは、税法でも基本的考え方は同じだ、ということです。
概念的に言えば、刑法では犯罪をどのように補足するか、が問題だといえるでしょう。
同様に、税法では所得をどのように補足するか、が問題だといえるわけです。
その際、国際的な場面では、法理的な考え方を必然的に修正せざるを得ないわけです。
国際的な商取引を鑑みますと、所得の捕捉は日本の税法だけの問題ではなく、
必然的に他国間との取り決め・協定・条約ありきの問題になります。
そういった点に、刑法と税法で共通点があると思ったわけです。
先ほど刑法に関して書いた内容が、税法にも当てはまる、と言えると思います。
以上の議論では、税法の中でも主に所得税法と法人税法が議論の前提としてあったわけですが、
国際的な取引に関連し、最後に消費税についても一言だけ書きたいと思います。
消費税に関する議論の中に、輸出業者が受ける消費税の還付があります。
簡単に言えば、輸出業者が国内の事業者から購入した商品代金には消費税が含まれているわけですが、
輸出業者は仕入れた商品を海外の人に販売するわけです。
この時、輸出業者は海外の人からは消費税を受け取れないので、商品購入の際に支払った消費税が言わば損税になってしまう、
ですので、輸出業者が仕入先に支払った消費税については後に還付を受けることになる、という消費税に関する議論です。
現行の消費税法の規定は見ていませんが、消費税の基本概念から言えば、
輸出業者は海外の人からも消費税を受け取る(受け取らなければならない)、ということになると思います。
他の言い方をすると、事業者の商品販売に消費税が課されるかどうかは販売相手とは無関係、ということになると思います。
販売相手が国内の人であろうが海外の人であろうが関係はないわけです。
さらに他の言い方をすると、輸出業者には、輸出にも消費税はかかる、ということになります。
仮に、”消費税は国内の消費者が負担する”といった定めになっているとすると、
確かに輸出業者は海外の人からは消費税を受け取れないということになるでしょう。
他の言い方をすると、”消費税は国内の消費者が負担する”とは、消費税は国内の消費活動に対して課税する、という意味になります。
At which are the profits taxable generated or to whom do the profits taxable belong?
課税される収益はいつの時点で発生したのですか?
もしくは、それら課税される収益は誰に帰属しているものなのですか?
The information the authorities need for taxation is the name and address of a taxable income.
税務当局が課税のために必要とする情報は、課税所得の氏名と住所なのです。
It is not the company but the tax authorities who are to blame.
この文脈で悪いのは、適法に税逃れを行った会社ではなく、制度構築を行った税務当局の側なのです。
The Consumption Tax Act has nothing to do with consumers, actually.
消費税法は、実は消費者には関係がないのです。
The reason for it is that they don't pay the tax.
その理由は、消費者は消費税を納付しないからです。
A taxpayer at once pays a tax and doesn't pay the tax, that is an indirect tax.
納税者は、ある税を支払ったが支払ってはいない、それが間接税です。