2016年4月25日(月)
2016年4月20日(水)日本経済新聞 公告
ライフ&ネット共済会と株式会社クローバー少額短期保険との間で締結した「業務及び財産管理の委託契約」の終了の公告
ライフ&ネット共済会
(記事)
株式会社クローバー少額短期保険
ttp://www.clover-ins.jp/company/
すると、ここで以下の2つの疑問が出てくるわけです。
○ライフ&ネット共済会は法人ではないので、記載されている住所の建物は誰の所有物なのか。
○この公告はどの法律に基づき行われたものなのか。
ライフ&ネット共済会は法人ではないので、法人所有のビルというわけではないわけです。
理事長や他のメンバーが所有(もしくは賃貸)しているビルを会の拠点にしている、ということなのだろうとは思います。
そうしますと、あることに気付きます。
例えば、大学で何十年も続いているサークル(大学公認サークルなど)を思い浮かべてみてください。
大学のサークルでは、いずれメンバーは大学を卒業していき、サークルからも卒業していくわけですが、
そうすると基本的には、サークルの拠点も失われることになると思います。
卒業後も後輩のためにその拠点をOBが貸してくれるのであればよいのですが、
そうでない場合は、リーダーが卒業するたびにサークルの拠点を移さなければならないわけです。
この状態というのは、サークルとして続いていると言えば続いているわけです(同じ名称が使われ続けている)が、
中にいる人・メンバーとして活動をしている人というのは毎年変わっている(拠点もリーダー毎に変わり得る)わけです。
そのような状態というのは、サークルというのは極めて属人的である、ということを示しているように思うわけです。
極端に言えば、同じ名称が使われ続けているものの、実体としては毎年解散し毎年作っているようなものに近いわけです。
それはつまり、会・集まりが法人ではないというのは、メンバーが主体であり、会・集まりはメンバー次第だ、
という言い方ができるように思うわけです。
一方、会・集まりが法人の場合は、名称も当然に同じ名称のままですし、
拠点として所有している建物もメンバーの入れ替わりとは無関係に当然に法人が所有し続けるわけです。
会・集まりが法人の場合は、少なくとも法律上は法人が主体だ、という言い方ができるように思うわけです。
逆から言えば、会・集まりが法人ではない場合は、その会・集まりはメンバー依存であり、
メンバーが脱退すると自然に消滅・解散する、という言い方ができると思います。
一方、会・集まりが法人の場合は、その会・集まりは存続という点ではメンバーには一切依存せず、
その会・集まりはメンバーが脱退しても自然には消滅・解散せず、
むしろ、その会・集まりはメンバーが脱退・交代することを組織として前提にしている、という言い方ができると思います。
他の言い方をすると、会・集まりが法人ではない場合は、その会・集まりはどちらかというと短期間の活動を前提にしている
という言い方ができ、そして、会・集まりが法人の場合は、その会・集まりはどちらかというと長期間の活動を前提にしている、
という言い方できるように思います。
もちろん、極小数の仲間内だけの集まりであれば、会が法人ではなくても何十年も続くことはあるわけですが、
会が商行為や組織だった事業活動を行う場合は、会の活動はメンバー次第であるとは言えるわけです。
以上のようなことを踏まえますと、ライフ&ネット共済会は法人組織に比べれば短期の活動を前提とした会である、
という言い方ができるのかもしれません。
例外的なことはいくらでも考えられはしますが、概念的には以上のようなことが言えると思います。
次に、この公告の根拠法についてですが、まず最初に思ったのは、
当事者が締結した「業務及び財産管理の委託契約」が終了したことを公告する必要があるのか、という点です。
当事者はどちらも保険に関連した業務を行っているようですので、保険業に関する法律が公告の根拠法なのかもしれません。
ただ、そうすると、株式会社クローバー少額短期保険も同じ趣旨の公告を行わねばならないようにも思います。
日本経済新聞には掲載されていないだけなのかもしれませんが、
日本経済新聞を見る限り株式会社クローバー少額短期保険は公告を行っていないわけです。
仮に、株式会社クローバー少額短期保険は同じ趣旨の公告を官報等にも全く行っていないのだとすると、
その理由は何だろうかと思ったわけです。
想像に過ぎませんが、私が思い付いた理由は2つです。
1つ目は、委託者か受託者かの違いがあるのかもしれない、という点です。
両者が締結した「業務及び財産管理の委託契約」では、どちらが委託者でどちらが受託者かは書かれていませんが、
おそらく、ライフ&ネット共済会が委託者、株式会社クローバー少額短期保険が受託者ではないかと思います。
すると、委託者のみに公告する義務があり受託者には公告する義務はない、ということなのかもしれないなと思いました。
2つ目は、法人か法人ではないかの違いがあるのかもしれない、という点です。
株式会社クローバー少額短期保険は法人であり当然に登記をされています。
権利義務の帰属主体は、法律上は登記により明確であるわけです。
一方、ライフ&ネット共済会は任意団体です。
権利義務の帰属主体は、法律上は明確ではないわけです。
敢えて言うならば、代表者(この場合は理事長)が権利義務の帰属主体という位置付けになると思います。
その辺りのことが、商号からは判然とはしない(会が法人でない場合はその商号の帰属主体すら法律上はない)わけです。
それで、法人の場合は公告の義務はないが法人ではない場合は公告の義務がある、
というような定めになっているのかもしれないなと思いました。
上記2つの理由はどちらも完全に私の想像や憶測に過ぎませんが、
広告であれば媒体に広告料さえ支払えば広告は出せると思いますが、
公告は根拠法がなければ任意には公告は行えない(官報にも日刊紙にも行えない)のではないだろうかと思いましたので、
想像や憶測も交え公告の根拠法について考えてみました。
A legal announcement can't be made without being based on the related
law, I suppose.
法定公告は、関連する法令に基づかなければ行うことはできない、と思います。