2016年2月26日(金)
2016年2月26日(金)日本経済新聞 公告
吸収分割公告
コニカミノルタヘルスケア株式会社
合併公告
コニカミノルタヘルスケア株式会社
コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
合併公告
株式会社ダイヤモンドテレコム
資本金及び準備金の額の減少公告
ウライ株式会社
(記事)
2016年2月26日(金)日本経済新聞 公告
吸収分割公告
桜井通商株式会社
MPアグロ株式会社
合併公告
さくらカード株式会社
(記事)
昨日、テルモ株式会社の記事を題材に、酒税についてコメントを書きました。
今日改めて酒税について考えていて、ある論点が思いつきましたので、一言だけコメントします。
まず、酒税に関する以下の問題を考えてみて下さい。
【問題】
甲社は酒類乙の製造販売を営んでいる。
ある酒類乙100リットルを製造するのに、原材料費100円、労務費100円、経費100円がかかった。
この時、甲社に課税される酒税と法人税を納付した後に甲社に残る手許現金額が100円となるためには、
甲社はこの酒類乙100リットルをいくらで販売しなければならないか。
また、その時の法人税額はいくらか。
ただし、酒類乙の販売に課税される酒税は、1リットル当たり1円、法人税率は課税所得額の40%、
原材料費、労務費、経費は法人税法上損金であるが、酒税は法人税法上損金不算入であるとする。
また、数字が割り切れない場合は小数点以下第3位を切り捨てて答えよ。
【解答例】
酒類乙100リットルの販売価格をX円とすると、以下の式が成り立つ。
(販売価格X円−(原材料費100円+労務費100円+経費100円))×(100%−40%)−1円/リットル×100リットル=100円
これをXについて解くと、X=633.3333...となる。
すなわち、酒類乙100リットルの販売価格は「633.33円」である。
また、この時の法人税額は、
(販売価格X円−(原材料費100円+労務費100円+経費100円))×40%
で求まるので、X=633.3333...を代入すると、法人税額は「133.33円」になる。
【解説】
この問題で何を言いたいのかと言えば、会社が納付した酒税は法人税法上は損金不算入である、という点です。
また、所得税法上も、人が納付した酒税はは損金不算入である、という点です。
現行の法人税法と所得税法は見ていませんが、法理上はどちらの税法においても、納付した酒税は損金不算入です。
以下、話の簡単のために、所得税法とのみ書きます(法人税法においても論点は全く同じです)。
酒税が損金不算入だと何が問題なのかと言えば、人の所得税の担税力なのです。
通常、所得税では、担税力は納税者に完全に備わっていることになっています。
納税者は、獲得した所得額の一定割合を納付するわけですから、理論上は所得税で担税力が問題になることはありません。
むしろ、担税力が問題にならないからこそ、原理的には所得税のみが法理上認められる唯一の税目である、と言っていいわけです。
ところが、酒税のような所得額とは無関係の税目がありますと、
”課税所得額は十分にあるのに納税者は所得税を支払えない”という一種の矛盾とも言える状態が生じます。
上記の例で言えば、甲社は、所得税と酒税を納付した後、手許には100円残る、という状態だったわけですが、
この時の課税所得額は「333.33円」であったわけです。
販売価格「633.33円」から、原材料費、労務費、経費の合計300円を引き算し、酒税100円を引き算し、
所得税「133.33円」を引き算しますと、手許に100円残るわけです。
では、販売価格を引き下げていくと、甲社の手許に残る現金額はどうなっていくでしょうか。
酒税と所得税を納付した後の甲社の手許現金額は0円としますと、次の式が成り立ちます。
(販売価格X円−(原材料費100円+労務費100円+経費100円))×(100%−40%)−1円/リットル×100リットル=0円
この式をXについて解くと、X=466.66...となります。
つまり、販売価格が466.66円の時、酒税と所得税を納付した後、甲社の手許には1円も残らない、ということになります。
では、販売価格が466.66円未満の時は一体どうなるでしょうか。
例えば、販売価格が400円の時はどうなるでしょうか。
販売価格が400円の時、課税所得は400円−300円=100円、そして所得税額は100円×40%=40円です。
一方、酒税は、販売価格に関わらず、1円/リットル×100リットル=100円課税されます。
甲社は酒税と所得税の両方を納付しなければなりません。
しかし、酒税と所得税の合計額は100円+40円=140円である一方、
各税納付前の甲社の手許には、400円−300円=100円しかないわけです。
これでは、甲社は酒税と所得税の両方を全額は支払えないことになります。
所得税では担税力は何の問題もないはずであったのに、他の税目がありますと、やはり担税力が問題になるわけです。
つまり、所得税が担税力の点では何の問題もないのは、納税者に課税される税目が所得税だけの場合、ということになるわけです。
以上の議論をグラフに描きますと、次のようになります。
「販売価格Xと手許に残る現金額Yの関係」
A non-deductible expense deteriorates a capacity to pay an income tax.
損金不算入の費用は、所得税の担税力を悪化させるのです。