2016年2月1日(月)
2016年2月1日(月)日本経済新聞 公告
吸収分割公告
第一園芸株式会社
三井不動産ローン保証株式会社
(記事)
2016年1月30日(土)日本経済新聞 公告
資金決済に関する法律に基づく払戻しのお知らせ
Happy
Elements株式会社
(記事)
2016年1月29日(金)日本経済新聞
円建て金、上昇傾向に 東商取期先が6日続伸 利ざや確保の売却誘う
(記事)
【コメント】
記事の見出しに”円建て金”と書かれています。
わざわざ”円建て金”と書かれているということは、例えばドル建ての金があるということかと思います。
この記事は、金の「先物取引」についての記事ですが、
以下、話の簡単のために、金の「現物取引」(今金の売買を行う取引)を行う場合を考えてみましょう。
金というのは、世界各国で売買されている商品なのだと思います。
それで、簡単に言えば、日本で金が売買される時は日本円建てで金に価格が付き、
アメリカで金が売買される時は米ドル建てで金に価格が付く、ということになるわけです。
ただ、金という商品は世界統一の規格がある商品であると言いますか、
日本でいう「金」とアメリカでいう「gold」とが異なることはあり得ないといいますか、
日本で売買されている「金」とアメリカで売買されている「gold」とは文字通り完全に同じものであるわけです。
記事には、”安全資産”という書き方がされていますが、金は時間が経っても化学変化を起こさないと言われている通り、
「金の価値は絶対に変わらない。」というふうに世界中で見なされているわけです。
それで、金は世界中で取引されているのだと思います。
そうしますと、世界中どこで買っても金1グラムの”価格”は同じでなければならない(取引の結果必然的に同じになる)、
ということになりますと、金の価格は為替レートの変動も受けることになるわけです。
簡単に言えば、1ドル=100円で金1グラム4,500円であった時、1ドル=110円になると、金1グラムは4,950円になるわけです。
記事には、
>28日の東京市場では、円安・ドル高となったため、割安感の出た円建て金が買われた。
と書かれていますが、円安・ドル高となると円建て金の価格は上昇するので、むしろ金は買われないのではないか、という気がします。
記事は先物取引についての内容となっていますので、今現在の金の価格の話とは少し違う部分もあるのかもしれませんが、
少なくとも円安・ドル高となると相対的に円建て金の価格は上昇することだけは確かかと思います。
それで、実は以上の議論で何かおかしいなと感じる人もいるかもしれません。
それは、金の価格は金の取引の結果変動しているわけではない、という点です。
正確に言うと、金の価格は金そのものの取引は全く行われていなくても変動する、という点です。
金そのものの取引は全く行われていないのになぜ金の価格が変動するのかと言えば、為替レートが変動するからです。
これは、ある株式の株価が市場での取引の結果変動する、という通常の価格変動とは根本的に異なる現象なのです。
株価というのは、市場で取引(売買)がなされない限り、絶対に変動しないものなのです。
市場での前回の取引価格、それが株価です。
翻って、金の価格はと言いますと、金そのものの取引によっても金の価格は変動しますが、
金の取引は全く行われなくても、為替レートの変動だけで金の価格は変動するのです。
このこと自体は、金は国際的・統一的・世界市場横断的に価格が付く商品であることを考えれば、
国際的な観点から見れば、致し方ないことだと言わねばならないでしょう。
しかし、「取引」という観点から見ますと、法理的にはその価格変動はおかしい、と言わねばならないと思います。
なぜならば、為替レートの変動の結果金の価格が変動した場合は、
「その価格で金を取引(売買)した者は誰もいない。」
という状態が生じるからです。
例えば、1ドル=100円で金1グラム4,500円であった時、1ドル=110円になると、金1グラムは4,950円になるわけです。
この時、金1グラムを4,950円で取引した人はこの世にいるでしょうか。
実はいないわけです。
金1グラムを45ドルで取引した人はアメリカにいるかもしれませんし、
金1グラムを4,500円で取引した人も日本にいるかもしれません。
しかし、金1グラムを4,950円で取引した人はこの世に1人もいないのです。
この理由は、金1グラムの価格が4,500円から4,950円へ変動した理由は、為替レートが円安・ドル高になったことのみだからです。
株価の変動と対比させて考えてみると価格変動の要因が際立つでしょう。
ある株式の株価は今まで100円だったがたった今110円になったとしましょう。
その価格変動の理由は、たった今110円で取引がなされたからです。
それはイコール、その株式を110円で売った人が必ずいるということですしその株式を110円で買った人が必ずいる、ということです。
価格変動の要因を対比させて考えてみると、
株価の変動は為替レート変動による金の価格の変動とは根本的に異なることだ、ということが分かるでしょう。
商品の価格は取引の結果変動するのです。
商品価格が先にあるわけではないのです。
株価というのは、「前回の取引成立価格」に過ぎないのです。
企業のキャッシュ・フローや業績予想や将来期待の結果、株価が変動するわけではありません。
企業のキャッシュ・フローを計算したり業績予想を行ったり将来期待を抱くのは、株式市場ではなく投資家なのです。
投資家は、自分の企業のキャッシュ・フローや業績予想や将来期待を判断材料とした上で、
株式を買った方がよいと判断すれば株式を買いますし、株式を売った方がよいと判断すれば株式を売る、というだけなのです。
その投資家間の売買の結果、株価は変動する、というだけなのです。
株式市場では、”現在の株価はいくらである。”という言い方をよくしますが、厳密に言えば実は”現在の株価”などはないのです。
あるのは、「過去の株価」だけなのです。
「前回成立した取引の価格」のことを「株価」と呼んでいるのです。
”現在の株価”と言われるものは実は存在しないのです。
概ね「前回成立した取引の価格」の近傍で売り手の希望売却価格と買い手の希望購入価格とが拮抗している状態に現在あるので、
一定数量だけであれば「前回成立した取引の価格」と同じかわずかに高い価格でその株式を現在市場で買うことができますし、
一定数量だけであれば「前回成立した取引の価格」と同じかわずかに低い価格でその株式を現在市場で売ることができます、
と言っているだけなのです。
”現在の株価”というのは、投資家はその”現在の株価”で株式を売買できるということを決して意味してはいないのです。
このような価格変動のメカニズムを考えれば、本来であるならば、金の価格も「金の取引」のみによって変動せねばならないのです。
しかし、国際的に価格が付く商品となりますと、どうしても「商品の取引」以外の要因によってその価格が変動してしまうのです。
極めて厳密に言うとと言いますか取引の元祖的な原理のことを言えば、この問題は固定為替相場制であっても生じるでしょう。
例えば為替レートは1ドル=100円で固定だとします。
そして金1グラムは今まで45米ドルだったのが、金の取引の結果、金1グラムはたった今46米ドルになったとします。
この一連の取引を日本から見ると、金の取引は行われていない、という言い方になるわけです。
なぜなら、金の価格は日本円では変動していないからです。
金の価格は金の取引の結果、金1グラム4,500円から金1グラム4,600円になったのではないか、と思われるかもしれませんが、
この場合においても、実は金1グラムを4,600円で取引した人は日本にはいないわけです。
アメリカには金1グラムを46米ドルで取引した人がいますが、日本には金1グラムを4,600円で取引した人など1人もいないのです。
国際的な場面に立ちますと、通貨の価値というのは一体何なのだろうか、と思います。
一国内であれば、通貨の価値について悩む必要は全くありません。
なぜなら、通貨は価値を測る尺度だからです。
ロミオとジュリエットであるならば、「おおロミオ、なぜあなたはロミオなの。」と悩むのもよいかもしれませんが、
「1メートルという長さはなぜ1メートルなのだろうか?」となど悩んでも何の意味もないわけです。
1メートルというのは「この長さを1メートルとする。」と人間が決めたに過ぎないわけです。
通貨もそれと同じで、価値を測る基準として、人間がある単位を1円と決めたに過ぎないわけです。
「1円」という通貨単位について悩む人はいないわけです。
「1円」という通貨単位には、尺度や基準としての意味以上の意味は全くありません。
何万円何億円という金銭(現金)に価値があり、その等価交換の結果として取得できる財やサービスに価値があるのです。
もっとお金が欲しいなあ、と悩んだり、もっと価格が安ければあの商品を買えるのに、と悩むことはあると思います。
しかし、通貨の価値自体は、どちらの悩みの場合も全く同じでしょう。
ですので、一国内であれば、通貨の価値について悩む必要は全くないのです。
しかし、国際的な場面に立ちますと、通貨自体が異なりますので、
通貨と通貨の価値の相違をどのように調整するべきかが問題となるわけです。
例えば、1ドルは日本円でいうと一体いくらであれば同じ価値であると表現できるでしょうか。
100円でしょうか、それとも110円でしょうか、それとも90円でしょうか。
そこに絶対的な整合点はないのです。
1ドルは日本円でいくらであっても、同じ価値であるとは言えないのです。
現在の国際的な外国通貨管理制度では、他国通貨のことは自国から見ると金融商品の一種のように捉え、
通常の商品のように、取引によりその価格(すなわち為替レート)が決まる、というふうに考えます。
いわゆる変動為替相場制です。
しかし、日本人にとって通貨(日本円)の価値そのものは決して変動しないように、
アメリカ人にとっても通貨(米ドル)の価値そのものは決して変動しないわけです。
そうしますと、相手方(アメリカ人)の立場からすると、為替レートの変動の結果、米ドルの価値が変動した、
と言われも、やはり通貨の価値など全く変動していない、とそのアメリカ人は答えたくなるわけです。
為替レートは変動するとは言いますが、相手国から見ると通貨の価値など何ら変動していないわけです。
もちろん、日本人から見ても、自国通貨(日本円)の価値は何ら変動してはいないのです。
これが、為替レートや外国通貨の両替に関する解決不能の問題点なのです。
為替レートには絶対的な答えはない、という点について考えさせられる描写が漫画にありましたので紹介します。
海外旅行や海外留学や海外での勤務や生活を想定すると、外国通貨を購入しなければならない関係上、
為替レートが実務上問題になるだけのことであり、外国通貨を一切使用しないならば、
為替レートは1ドル=1円でも1ドル=1万円でも、実は何の問題もないのです。
「課長
島耕作」 第2巻 STEP12 「ムーンリバー」より(1985年3月頃連載)
The market price of international goods is determined
not only by the
value of the object itself but also by the foreign exchange rate.
In other
words, the market price of international goods is
a mix of the value of the
object itself and the change of the foreign exchange rate.
But, ultimately
speaking, neither the value of the object nor the foreign exchange rate
has
an effect on a holder or a seller of the object.
What matters to a holder or
a seller of the object is only the market price of it.
For a holder or a
seller of the object bought the object by means of his home country's
currency
and is to sell the object by means of his home country's
currency.
It means that the transaction of it is made not by way of the U.S.
dollar.
国際的な商品の市場価格は、目的物の価値そのものだけではなく、外国為替レートによっても決まります。
他の言い方をすれば、国際的な商品の市場価格は、目的物の価値そのものと外国為替レートの変動とを足し合わせたものなのです。
しかし、究極的なことを言えば、目的物の価値そのものも外国為替レートも、
その目的物の所有者すなわちその目的物の売り手には影響を与えません。
その目的物の所有者すなわちその目的物の売り手にとって重要なことは、その市場価格だけなのです。
というのは、その目的物の所有者すなわちその目的物の売り手は、自国通貨を用いて目的物を購入したわけですし、
そして、これから自国通貨を用いて目的物を売却するからです。
取引ではドルは経由しないということです。
The foreign exchange rate has no effect
on those who earn income in the
Japanese yen and purchase goods in the Japanese yen.
外国為替レートは、日本円で所得を得て日本円で商品を買う人には何の影響も与えません。